10月にリリースされたWindows 11 24H2で、Armデバイスにおけるプリンタ互換性問題が多発し、ユーザーの不満が高まっていた。特にHPやCanon、Brotherといった主要プリンタブランドにおいて、ドライバのインストール不良や一部機能の動作不全が報告されており、Microsoftのサポートフォーラムでも多くの苦情が寄せられている。
この問題を受け、Microsoftは暫定的な対策を発表。手動でのプリンタ追加を推奨し、設定画面から「Bluetoothとデバイス」→「プリンターとスキャナー」→「デバイスの追加」を利用するよう案内している。また、USB接続も提案されている。
Armデバイスに限定された問題としているが、AMD64システムでも同様の問題が一部報告されている点にも注目が集まる。
プリンタ互換性の不具合、なぜArmデバイスで特に顕著か
Windows 11 24H2が10月にリリースされて以降、特にArmデバイスにおいてプリンタの互換性問題が浮き彫りになった背景には、Armと従来のAMD64(IntelおよびAMD)アーキテクチャの構造的な違いがある。Armアーキテクチャは、低消費電力やモバイルデバイス向けに最適化されているが、従来のデスクトップPCやラップトップ向けの周辺機器との互換性が十分に整っていないケースがある。
特にプリンタドライバのようなハードウェア依存性の強いソフトウェアでは、その影響が顕著に現れる。Microsoftはこの問題を認識しており、公式フォーラムでのユーザーからのフィードバックに対応する形で暫定的な回避策を提示した。
ユーザーにはプリンタのUSB接続や手動設定を提案し、設定メニューからの追加方法も推奨している。Armデバイスを新たに導入したユーザーが増加する中、今回の問題は今後の互換性向上への課題とも言えるだろう。
AMD64システムでも一部報告されるプリンタ不具合、その拡大の可能性
Windows 11 24H2のリリース直後から、主にArmデバイスに関連するプリンタ問題が注目された一方で、AMD64システムにおいても一部ユーザーからプリンタが正常に動作しないといった報告が見受けられる。しかし、Microsoftは現段階でこのAMD64システム上の不具合に対して正式な声明を出していない。
これが一時的なトラブルに過ぎないのか、それとも将来的に広範囲で影響を及ぼす可能性があるのかは今後の対応次第である。もしAMD64システムでの問題が今後さらに拡大すれば、影響はWindows 11 24H2ユーザー全体に波及する恐れがある。
Microsoftが今回、Armデバイスでの不具合を優先的に解決したことは評価できるが、全ユーザーに向けた安定した環境提供が求められる。従来のAMD64システムと新興のArmアーキテクチャの両方での互換性を維持するための取り組みが、今後のMicrosoftの信頼性にも関わってくるだろう。
Armデバイスユーザーへの対応策とMicrosoftの今後の方針
Microsoftは、Armデバイスユーザーに対し、プリンタの手動設定やUSB接続を通じて一時的な回避策を提供しているが、根本的な修正が必要とされているのは明らかである。プリンタ追加の手順を簡略化したガイドを提供するなど、ユーザーサポートの充実を図る一方で、特にCopilot+ PCなどの最新Armデバイスの互換性改善が期待されている。
Windows Reportによれば、Microsoftはプリンタドライバの互換性向上に取り組んでいるが、具体的な改善が実現するまでの時間については不明である。また、メーカー側がWindows on Arm PC向けの特別な指針を提供しているケースもあるため、利用者がメーカーの公式ガイドラインに従うことが、当面の解決策として推奨される。
今回の問題は、Microsoftが今後のWindowsアップデートでどれだけ迅速かつ包括的な対応を行えるかを試される場面となるだろう。