スマートフォン業界ではAI機能の進化が大きく取り上げられているが、実際のユーザーの関心は低いようだ。中古スマホ取引プラットフォーム「SellCell」の調査によると、iPhoneユーザーの73%、Galaxyユーザーの87%が「AI機能にほとんど、またはまったく価値を感じない」と回答。

特にGalaxyユーザーの75.4%が「どちらのAIも優れていない」とし、iPhoneユーザーの46.7%も「比較するほど知らない」と答えた。一方で、新機種購入時にAIを重要視するとしたiPhoneユーザーは47.6%と一定数存在するが、Galaxyユーザーでは23.7%にとどまる。

また、AI機能のサブスクリプションには大半のユーザーが興味を示さず、iPhoneの「Writing Tools」やGalaxyの「Circle to Search」などの機能は一部で活用されているものの、AI全体の利用率は低い。ブランド忠誠度の低下も見られ、今後のAI戦略がスマホ市場にどう影響を与えるのかが注目される。

iPhone・Galaxyユーザーの大半がAIに価値を感じない理由

SellCellの調査によると、iPhoneユーザーの73%、Galaxyユーザーの87%が「AI機能に価値を感じない」と回答している。これは、各メーカーがAIを前面に押し出しているにもかかわらず、実際のユーザーにとっては実用性を感じられていないことを示している。

iPhoneユーザーの57.6%が「最新のソフトウェアにアップデートしていない」とし、Apple Intelligenceにアクセスできない環境であることが主な理由として挙げられる。また、36.7%は「AI機能が役に立たない」と答えており、AIの精度や利便性に対する疑問が根強いことが分かる。一方、Galaxyユーザーは「AIが役に立たない」とする回答が44.2%に達し、35.5%が「AIの精度が低い」と感じている。加えて、プライバシーやセキュリティの懸念を理由にAIを敬遠するユーザーも30.1%存在する。

この結果から、多くのユーザーがスマートフォンのAI機能を「なくても困らない」と考えていることが分かる。企業側はAIを新機種の売りにしているが、日常的に使うアプリや機能と比較して、AIが提供する利便性がそれほど高くないと判断されている可能性がある。

最も使われているAI機能と、それでも低い利用率

AI機能全体に対する評価は低いものの、特定の機能に関しては一定のユーザーが活用している。iPhoneユーザーの中で最も利用されているのは「Writing Tools」で、72%が使用経験がある。この機能は文章の校正や異なるスタイルでの文章作成を支援し、日常的にテキスト入力を行うユーザーにとっては便利なツールとなっている。また、「通知の要約」は54%、「メールアプリの優先メッセージ機能」は44.5%が利用しており、日々の情報管理を助ける機能が比較的支持されている。

一方、Galaxyユーザーの中で最も人気があるのは「Circle to Search」で、82.1%の利用率となっている。画面上の任意の部分を円で囲むだけで検索ができるため、直感的な操作が可能であり、多くのユーザーがこの機能を試したことがあるようだ。他にも、「写真アシスト」（55.5%）、「チャットアシスト」（28.8%）、「ノートアシスト」（17.4%）が利用されているが、総じて利用率は低めだ。

これらのデータを見ると、ユーザーはAIそのものではなく、あくまで「便利なツール」としてAI機能を認識していることが分かる。AIと意識せずに使える機能は比較的支持されているが、AIが前面に出る機能には関心が薄い。メーカーがAI機能の訴求を強化しているにもかかわらず、実際には日常の使用頻度が低いため、AIの価値を感じないユーザーが多いのかもしれない。

AIの進化はスマートフォン選びの決め手になるのか

AI機能に対する評価が低い一方で、スマートフォンの購入時にAIを「非常に重要」または「やや重要」と考えているユーザーも存在する。iPhoneユーザーの47.6%がAIを考慮すると答えているのに対し、Galaxyユーザーでは23.7%にとどまる。

さらに、iPhoneユーザーの16.8%は「サムスンがより優れたAI機能を提供すれば乗り換えを検討する」と回答しており、Galaxyユーザーの9.7%は「アップルがより良いAIを提供すれば乗り換える」としている。この結果から、一部のユーザーにとってはAIの性能がブランドの選択に影響を与える可能性があると考えられる。

しかし、AI機能のサブスクリプションに関しては関心が低い。iPhoneユーザーの86.5%、Galaxyユーザーの94.5%が「AIのために追加料金を払いたくない」と明言している。このことから、ユーザーは「無料で提供されるなら使うかもしれない」が、「お金を払うほどの価値はない」と考えていると推測できる。

現在のスマートフォン市場では、カメラ性能やバッテリー持続時間、デザインといった要素が重要視される傾向にある。AIがこれらの要素と同じレベルで評価されるためには、ユーザーにとって明確な利便性が必要となる。今後のAI進化がスマートフォンの選び方にどの程度影響を与えるのかは、ユーザーがAIのメリットをどれだけ実感できるかにかかっているだろう。

Source：PhoneArena