Nvidiaの最新GPU「RTX 5080」に欠陥がある個体が存在し、特定の条件下で最大11%の性能低下が確認された。Gamers Nexusの調査によると、ROPユニットの欠損が原因で、特に4K解像度での影響が大きく、ゲームによってはRTX 5070 Ti並みにまで性能が落ちるケースもあることが分かった。

Nvidiaは当初、ROP欠損の影響を受けるGPUはごく一部と発表したが、今回の調査でRTX 5080でも問題が発生していることが判明した。通常112基あるはずのROPが104基しか搭載されていない個体が発見され、実際のゲームパフォーマンスにも影響を及ぼしている。特に『Total War: Warhammer 3』では、4K環境で最大11%のフレームレート低下が見られた。

一方、1440p以下の解像度では、影響は3〜4%程度にとどまることが多いが、『Dying Light 2』では8.8%の低下が記録された。Nvidiaは、ドライバーレベルでの識別機能を導入するなどの対応策を取るべきだが、現状ではユーザー側で個別に確認しない限り、欠陥品かどうかを見極めるのは難しい。メーカーや販売店が迅速な対応を取ることが求められる。

欠陥のあるRTX 5080はどのように発見されたのか

Gamers Nexusが発見したRTX 5080の欠陥は、ユーザー報告と独自の検証によって明らかになった。この問題の発端は、ROPユニットが不足している疑いがあるGPUが市場に出回っているという指摘だった。同チャンネルのスティーブ・バーク氏は、証拠となる個体を見つけるために500ドルの報奨金を提供し、ユーザーからの提供を募った。

その結果、Zotac製の正常なRTX 5080と引き換えに、欠陥のあるFounders Editionを入手することに成功した。Nvidiaは、ROP欠損の影響を受けるGPUはごくわずかであると発表していた。しかし、Gamers Nexusが手に入れた欠陥品を解析したところ、112基あるはずのROPが104基しか搭載されておらず、その影響でパフォーマンスが低下していることが確認された。

TechPowerUpは以前からこの可能性を指摘していたが、実際のデータを伴った検証が行われたのは今回が初めてだった。Nvidiaは、ROP不足による影響は平均で4%程度だと説明していた。

しかし、実際のゲームではタイトルによってパフォーマンス低下の度合いが異なり、特に4K解像度では最大11%のフレームレート低下が見られた。具体的には、『Total War: Warhammer 3』では顕著な性能差が発生し、一部のゲームではRTX 5070 Tiと同等のパフォーマンスまで落ちるケースも確認された。

ROPユニットの欠損はどのように影響を与えるのか

ROP（ラスタライズ・オペレーション・パイプライン）は、GPUのグラフィック処理において不可欠な役割を果たしている。このユニットの数が減ることで、GPUが処理できるピクセル数が減少し、高解像度になるほど影響が大きくなる。今回のRTX 5080のケースでは、ROPが104基しかないため、特に4K解像度でのフレームレートが大きく低下した。

Gamers Nexusのベンチマーク結果によると、『Total War: Warhammer 3』の4K環境では最大11%のパフォーマンス低下が見られた。一方、1440pではほとんどのゲームで3〜4%の低下に収まり、『Dying Light 2 Stay Human』では最大8.8%の差が記録された。

これは、ROPの処理能力が解像度に比例して重要になるためだと考えられる。このようなパフォーマンス低下が起こることで、ユーザーは本来のRTX 5080の性能を得られないリスクを抱えることになる。

特に、4Kゲーミングを前提として購入したユーザーにとっては、実質的に下位モデルであるRTX 5070 Tiと同等の性能しか発揮できない可能性がある。NvidiaはROP不足が影響する可能性が低いと説明していたが、実際にはゲームタイトルによって大きな差が生じることが明らかになった。

欠陥品の流通を防ぐために求められる対策

今回の問題は、ROPが欠けたRTX 5080が市場に出回っているという点で、ユーザーにとって大きな懸念材料となる。一般的なユーザーがハードウェアの詳細な仕様を確認することは難しく、不良品を購入してしまうリスクがあるため、NvidiaやAIB（アドインボード）メーカーによる対応が求められる。

最も実効的な対策の一つは、ドライバーレベルでの識別機能を実装することだ。GPU-ZやHWiNFOのようなサードパーティ製ツールを使えばROP数を確認できるが、一般ユーザーがそれらを使用するとは限らない。そのため、Nvidiaが公式ドライバーでROP不足のGPUを警告する仕組みを導入すれば、不良品をつかまされるリスクを減らせるだろう。

また、流通の段階で欠陥品を発見し、適切な処置を施すことも重要だ。メーカー側でROPユニットの欠損を検出できる仕組みを導入し、不良品が市場に出回る前に排除すれば、ユーザーに不要なトラブルをもたらさずに済む。さらに、問題が発覚したGPUの交換や返金対応を迅速に行うことも、ブランドの信頼維持に不可欠だ。

今回のRTX 5080のケースでは、欠陥品がRTX 5070 Tiレベルの性能にまで低下する可能性が示唆されている。GPUの高性能化が進む中で、こうした問題が続けば、消費者の信頼を損なうことになりかねない。今後、NvidiaやAIBパートナーがどのような対応を取るのかが注目される。

Source：Tom’s Hardware