市場調査会社Canalysによると、2024年の世界スマートフォン市場は前年比7%の成長を記録し、出荷台数は12億2,000万台に達した。この中でAppleは市場シェア23%を占め、Samsungを2年連続で上回り首位の座を確保した。特にインドや東南アジアでの販路拡大が功を奏し、新興市場での存在感を強化した。

一方、Xiaomiも前年比成長を達成し、トップ3に位置する中で唯一のプラス成長を遂げた。競争の激化や端末買い替えサイクルの長期化が一部の市場での成長を制限したものの、Appleの戦略的な製品展開とマーケティングが引き続き功を奏している。

Appleが新興市場で成長を遂げた要因

Canalysの調査によれば、Appleは2024年にインドや東南アジアといった新興市場での成長を実現した。これに大きく寄与したのが、積極的な販路拡大と現地に特化したマーケティング戦略である。特に東南アジアでは、需要の高まりに応じた販売促進キャンペーンが効果を上げ、現地パートナーとの協力体制を強化したことが奏功したとされる。

さらに、新型iPhoneシリーズのラインナップが多様な価格帯をカバーしたことにより、幅広い消費者層へのアプローチが可能となった。Canalysのレ・スアン・チュウ氏は、競争が激化する中でAppleが高価格帯市場だけでなくミドルレンジ市場でも確固たる地位を築いた点を強調している。

一方で、新興市場ではコストパフォーマンスを重視する傾向が強いため、端末価格の戦略が今後の課題となる。Appleが引き続きシェアを維持するためには、現地のニーズに対応した柔軟なモデル展開が鍵を握るだろう。

Android勢の攻勢とAppleの競争優位

XiaomiやTRANSSIONといったAndroidメーカーは、販路ネットワークの拡張と在庫管理の最適化によって二桁成長を遂げた。これにより、特に新興市場で競争力を高めている。Canalysの報告では、これらの企業が大衆向け市場を中心にシェアを広げた一方で、中価格帯の端末は停滞を見せたことが明らかとなっている。

これに対し、Appleは「iPhone 16」シリーズの発売によって、革新的な機能とハードウェアの進化を武器に競争優位を確保している。特にA18チップの高性能さが評価され、長期的な製品価値を重視する消費者の支持を集めた。

Apple Intelligenceの採用は、同社のさらなる成長を後押しする重要な要素とされているが、専門家は過度な市場集中がリスク要因になると指摘している。競争が激化する市場環境の中で、Appleが高付加価値を武器に新たな需要を創出できるかが注目される。

2025年に向けた市場の見通しと課題

トビー・ジュー氏は、2024年の成長を再現するのは容易ではないと述べている。前年の成長は在庫補充や特定地域の景気回復といった一時的な要因に支えられていたため、持続的な成長には市場環境の安定が必要となる。特に、地政学的なリスクや経済状況の変動は引き続き市場の足かせとなり得る。

一方、Appleや他の主要メーカーは、AI機能の統合や製品ラインナップの刷新を通じて高価格帯市場の開拓を進める見込みである。しかし、成熟市場における平均販売価格の上昇は一部の消費者層の離反を招く可能性があり、価格設定のバランスが問われる。

また、地域ベンダーによる市場進出が進む中で、グローバル企業はより戦略的な販路構築と地域ニーズの把握が求められる。市場集中度が低下する中、Appleが引き続き市場の主導権を維持するためには、技術革新だけでなく柔軟な戦略展開が不可欠である。