Windows 11のタスクマネージャーが、CPU使用率の計算方式を見直し、業界標準に準拠した方法へと統一される。これにより、「プロセス」「パフォーマンス」「ユーザー」タブで表示されるCPU使用率が一貫性を持つようになり、サードパーティ製ツールとの整合性も向上する。
従来のタスクマネージャーでは、異なる計算方法が使用されていたため、プロセスごとのCPU使用率の合計が全体の使用率と一致しないことがあった。特に「プロセス」タブでは、CPUコアの総数を考慮しない計算方法が採用されており、一部のユーザーにとっては誤った表示に見えるケースもあった。
今回の修正では、総コア数を考慮した計算方式へと変更され、例えば8コアのCPUで1つのコアのみを使用するプロセスがある場合、従来の「100%」ではなく「12.5%」と表示されるようになる。これにより、システム全体の負荷をより正確に把握できるようになるという。正式リリースは今後数週間以内に予定されており、Windows 11 24H2およびバージョン23H2にも適用される見込みだ。
タスクマネージャーのCPU使用率が統一される背景とは

Windows 11のタスクマネージャーは、これまで「プロセス」「パフォーマンス」「ユーザー」タブで異なる計算方法を用いていた。例えば「プロセス」タブではCPU時間を基準とした独自の算出方法が使われていたのに対し、「パフォーマンス」タブではクロックブーストを考慮した「% プロセッサー・ユーティリティ」が表示されていた。
このため、各タブの数値が一致せず、全体のCPU使用率とプロセスごとの使用率の合計が合わないことがあった。今回の変更により、タスクマネージャーのすべてのページで業界標準の計算方式が採用される。具体的には、総CPUコア数を考慮し、すべてのタブで一貫したCPU使用率を表示するようになる。
例えば、8コアのシステムで1つのコアのみを使用するプロセスがある場合、これまでは「100%」と表示されることがあったが、新しい計算方法では「12.5%」と適切に表示されるようになる。
この変更は、タスクマネージャーの使いやすさ向上を目的としたものだ。これまでは、システムが「CPU使用率100%」と表示されていても、実際には負荷が分散していたケースもあった。新たな仕様では、表示される情報がより直感的になり、システム負荷の判断がしやすくなると考えられる。
新しい計算方式で何が変わるのか
Windows 11の最新ビルド26120.3360では、新しい計算方式が導入される。変更点のひとつは、各プロセスのCPU使用率を総CPUコア数で割る計算方式だ。例えば、16スレッドのCPUを搭載したPCで1つのスレッドのみを使用している場合、これまでは「100%」と表示されることがあったが、新方式では「6.25%」と計算される。
この変更によって、CPUの負荷がより正確に反映されるようになる。特に、タスクマネージャーを使って特定のプロセスの影響を調査する際、過大評価された使用率が誤解を生むことがなくなる。例えば、あるプロセスがシステム全体のCPUを圧迫していると思っていたが、実際には特定のコアのみを使用していた、というケースが減るだろう。
また、「パフォーマンス」タブで表示されるCPU使用率も、同様の計算方法へと統一される。これにより、「プロセス」タブとの数値の不一致がなくなり、システム全体の負荷を把握しやすくなる。ただし、従来の表示方法を好む場合は、タスクマネージャー内のオプションで「レガシー計算方式」を選択することも可能だ。
ユーザーにとってのメリットと今後の課題
今回の変更によるメリットのひとつは、CPU負荷の正確な把握が可能になることだ。特に、PCの動作が重くなった際にタスクマネージャーを開いて原因を特定する際、これまでよりも誤解のない数値を確認できる。また、サードパーティ製のモニタリングツールとタスクマネージャーの数値が統一されることで、異なるツール間の食い違いに悩まされることも減るだろう。
一方で、従来の計算方式に慣れたユーザーにとっては、初めのうちは違和感を覚える可能性がある。特に、これまで「100%」と表示されていたプロセスが「12.5%」と表示される場合、直感的に「負荷が減った」と誤解する可能性もある。Microsoftは旧方式を選択できるオプションを残しているが、今後の正式リリースでこの選択肢が維持されるかは不明だ。
また、タスクマネージャーの他の部分についても改善が求められる。例えば、ディスクやメモリの使用率表示においても、より詳細な情報が一目でわかるような改良があると、システム管理の利便性がさらに向上するだろう。今回のCPU使用率の修正が、今後のタスクマネージャー全体の改善につながるかが注目される。
Source:Windows Latest