MicrosoftがWindows向けに、広告付きの無料版Officeをテストしていることが明らかになった。これにより、Microsoft 365のサブスクリプションを契約していないユーザーでも、WordやExcel、PowerPointの基本機能を利用できるようになる可能性がある。

無料版Officeでは、文書の作成・編集が可能だが、データの保存はOneDriveに限定されており、5GBの無料ストレージが提供される。また、バナー広告や動画広告が表示される仕様となっており、マクロや高度なデータ分析機能などは利用できない。

このテストは一部の地域で実施されており、Microsoftの広報は「現時点で正式リリースの計画はない」とコメントしている。しかし、無料のオフィススイートが市場に増える中、Microsoftが広告モデルを活用しつつ、より多くのユーザーを取り込もうとしている可能性がある。

無料版Officeの仕組みと利用の流れ

Microsoftがテスト中の無料版Officeは、広告収益モデルを採用している。ユーザーは、WordやExcel、PowerPointの基本機能を利用できるが、作成したファイルはOneDriveに限定され、ローカル保存は不可となっている。OneDriveには5GBの無料ストレージが提供され、一定の範囲内でのファイル管理が可能だ。

この無料版には、画面上にバナー広告が表示されるほか、動画広告が定期的に流れる仕組みとなっている。広告の頻度や種類は明らかになっていないが、ユーザーの作業中に割り込む形で表示される可能性もある。また、デザイン機能やマクロ、データ分析機能などの高度なツールは使用できず、ビジネス用途には制限がある。

利用の流れとしては、Microsoftの公式サイトからOfficeアプリをダウンロードし、サインイン画面で「今はスキップ」を選択する。その後、「無料で続行」をクリックすることで、広告付きの無料版が利用できる。ただし、現在は一部の地域でのみテストされており、すべてのユーザーが試せるわけではない。

Microsoftが無料版を提供する狙いとは

Microsoftが無料版Officeをテストする背景には、無料のオフィススイート市場の拡大がある。特にGoogleドキュメントやLibreOfficeなど、クラウドベースやオープンソースのツールが普及し、多くのユーザーがサブスクリプションなしで基本的な文書作成を行える環境が整ってきた。Microsoftはこうした動きに対抗しつつ、新たなユーザー層を取り込む戦略を模索していると考えられる。

この無料版は、Microsoft 365の有料版へ移行させるための「入り口」としての役割を果たす可能性がある。基本機能を無料で提供しつつ、より高度な編集機能やオフライン利用を求めるユーザーに対しては、有料プランへのアップグレードを促す仕組みとなっている。特に、ローカル保存ができない点は、ユーザーに不便を感じさせ、Microsoft 365の契約を検討させる要素となるだろう。

また、広告付きの無料版を導入することで、新たな収益モデルの確立も視野に入れている可能性がある。従来のサブスクリプションモデルに加え、広告による収益を組み合わせることで、より幅広いユーザーにアプローチする狙いがあると考えられる。

無料版Officeはどのようなユーザーに向いているのか

この無料版Officeは、主に簡単な文書作成や編集を行うユーザーに向いていると考えられる。特に、学生や一時的にOfficeを使いたい人にとっては、有料版を契約せずに利用できる点はメリットだ。クラウド保存が前提となるため、複数のデバイスで作業するユーザーにとっても利便性が高い。

一方で、ローカル保存ができない点や高度な機能が制限されているため、ビジネス用途には不向きな面もある。特に、オフライン環境での作業が必要な人や、マクロやデータ分析機能を活用するユーザーにとっては、制限が多く感じられるかもしれない。

また、広告の表示頻度や内容によっては、作業の集中を妨げる可能性もある。広告の種類によっては、ユーザー体験に影響を与え、長時間の利用には適さないと感じる人もいるかもしれない。Microsoftがどのような形で広告を実装するかによって、ユーザーの受け入れ方は大きく変わるだろう。

Source:ExtremeTech