マイクロソフトがWindows 7のサポートを終了してから2年が経過したが、いまだに一定数のユーザーがこのOSを使用し続けている。Googleをはじめとする多くの企業がWindows 7向けのブラウザサポートを終了する中、Mozillaは異なる選択をした。
当初、FirefoxのWindows 7向けサポートは2024年3月までとされていたが、昨年の発表で2025年3月まで延長。そして今回、新たに2025年9月までの延長が決定した。Firefox 115 ESRのセキュリティアップデートは引き続き提供され、Windows 8.1や一部の旧MacOSも対象となる。
この決定は、Windows 7ユーザーにとって大きな朗報だ。依然としてウェブアクセスの約2%を占めるこのOSの利用者にとって、安全にブラウジングできる選択肢が確保された形となる。ただし、Firefox 115 ESRは2023年の技術水準のままであり、最新機能が適用されない点には留意すべきだ。
Windows 7向けFirefoxの延長サポートはなぜ重要なのか
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Windows 7の公式サポートは2023年に終了したが、現在も一定数のユーザーがこのOSを利用し続けている。Statcounterの統計では、ウェブアクセスの約2%がWindows 7経由で行われており、これは数百万台のデバイスが依然として使用されていることを意味する。
こうした状況の中、MozillaがFirefox 115 ESRのサポートを2025年9月まで延長したのは、単なる企業戦略ではなく、多くのユーザーにとって実用的な選択肢を提供するためでもある。特に、レガシー環境を維持せざるを得ない業務用PCや、特定のソフトウェアとの互換性を理由にWindows 7を使用し続けている個人にとって、セキュリティ更新が提供されるブラウザの存在は極めて重要だ。
しかし、Firefox 115 ESRは新機能の追加が行われないため、最新のウェブ技術への対応は限定的である。例えば、新しいレンダリングエンジンの最適化や、AIを活用した検索アシスタント機能などが搭載されない可能性が高い。そのため、延長サポートがあるからといって、完全に安心できるわけではない点も理解しておく必要がある。
他の主要ブラウザと異なるMozillaの対応
Google ChromeやMicrosoft EdgeはすでにWindows 7のサポートを終了している。Googleは2023年1月のアップデートを最後に、Windows 7およびWindows 8.1向けの更新を打ち切った。Microsoft Edgeも同様に、Windows 7でのサポートは終了済みだ。これにより、主要なブラウザの中で、Mozilla Firefoxは数少ない「Windows 7でも利用可能な最新のブラウザ」となった。
Mozillaは過去にも独自の方針を貫いてきた企業であり、プライバシー保護やオープンソース開発の観点から、競合とは異なる動きを見せている。今回のサポート延長もその流れの一環と考えられる。特に、最新OSへの移行が困難なユーザーに向けて、安全なブラウジング環境を維持するという判断は、企業としての理念にも合致している。
ただし、Firefox 115 ESRのサポート延長はあくまで「一時的な延命措置」に過ぎず、Windows 7の根本的な問題を解決するものではない。Mozilla自身も2025年8月に再評価を行うとしており、これが最終的な延長かどうかは未確定である。ユーザーとしては、いずれOSのアップグレードを検討する必要があるだろう。
Windows 7ユーザーは今後どうするべきか
Firefoxのサポートが延長されたことで、Windows 7ユーザーは少なくとも2025年9月まではセキュアな環境でブラウジングを続けられる。しかし、根本的な問題は、OS自体のサポートが終了していることにある。Microsoftのセキュリティ更新が行われないため、たとえ最新のブラウザを利用していたとしても、OSレベルの脆弱性が放置されるリスクは避けられない。
そのため、可能であれば新しいOSへの移行を検討するのが最善の選択肢となる。Windows 10やWindows 11にアップグレードすることで、最新のセキュリティパッチが適用され、より安全な環境を確保できる。ただし、古いハードウェアではWindows 11のシステム要件を満たさないケースも多く、場合によってはハードウェアの買い替えも必要になる。
一方で、現状の環境を維持せざるを得ない場合は、Firefox 115 ESRのサポートが続く間に、セキュリティ対策を徹底することが求められる。例えば、不要なネットワーク接続を遮断し、定期的にオフラインでデータをバックアップすることで、リスクを最小限に抑えることができる。Mozillaの判断により一時的な猶予が与えられたが、長期的な視点では、OSの移行を視野に入れるべきだろう。
Source:gHacks Technology News