Microsoftは、Windows Server Update Services(WSUS)のドライバー同期機能を4月18日に廃止することを正式に発表し、IT管理者に対して再度通知を行った。この変更により、企業はWindows AutopatchやAzure Update Manager、Microsoft Intuneなどのクラウドベースの管理ソリューションへの移行を求められることになる。
従来のオンプレミス環境ではMicrosoft Updateカタログを利用してドライバーを取得できたが、WSUSへのインポートは不可となる。Microsoftは代替手段としてデバイスドライバーパッケージの活用や、クラウドベースのドライバー管理へ移行することを推奨している。
今回の発表は2024年6月以降に行われた2回の警告に続くものであり、WSUSの将来的な廃止も視野に入っている。さらに2025年のWindows ServerからはWSUSの開発が停止されることが明らかになっており、企業は今後のアップデート管理戦略を見直す必要がある。
WSUSのドライバー同期廃止がもたらす影響とは

WSUSのドライバー同期機能が4月18日に廃止されることで、企業や組織のIT環境にいくつかの影響が生じる。これまでWSUSは、企業内ネットワークの一元管理を可能にし、インターネット接続の制限がある環境でもWindowsの更新を適用できる手段として活用されてきた。しかし、今回の変更により、ドライバーの管理方法を見直す必要がある。
特に、オンプレミス環境ではMicrosoft Updateカタログからの手動取得が求められ、これまでWSUSで自動化されていた部分が手作業へと移行する。このため、大規模な環境では管理負担が増す可能性がある。一方、Microsoft IntuneやWindows Autopatchといったクラウドベースのソリューションへ移行すれば、従来のWSUSを介した更新管理と同等の機能を利用できる。
また、企業ごとのポリシーによっては、セキュリティやコンプライアンス上の理由からクラウド移行が難しいケースも考えられる。こうした環境では、代替策としてデバイスドライバーパッケージを活用する手段が検討される。しかし、これも手動プロセスが増えることを意味し、IT管理者にとっては新たな負担が発生することになる。
WSUSの将来とWindows Serverへの影響
今回のドライバー同期機能の廃止は、WSUSの将来的な方向性を示唆するものでもある。Microsoftは2024年9月にWSUSの廃止を発表しながらも、「WSUSを通じた更新配信は継続する」と述べている。しかし、WSUSの新機能開発はすでに終了しており、2025年のWindows Server からは「削除または開発停止される機能のリスト」に記載されている。
WSUSは2005年にSoftware Update Services(SUS)として導入され、約20年にわたりWindows環境の更新管理を担ってきた。しかし、クラウドベースのソリューションが主流になりつつある中で、オンプレミスの更新管理ツールとしての役割は徐々に縮小している。
その背景には、クラウド型の管理ツールが提供するリアルタイムの更新適用やAIによる最適化といった新機能の登場がある。これにより、企業のITインフラ管理はより柔軟で効率的な方向へ進んでいる。一方で、クラウドサービスを利用できない環境にとっては、WSUSの機能縮小が更新管理の課題を生む可能性がある。
Windows NTLMの廃止と今後求められるセキュリティ対策
WSUSの変更と同時に、MicrosoftはWindows NTLM認証プロトコルの正式な廃止も発表している。NTLMは長年にわたりWindowsの認証手段として利用されてきたが、セキュリティリスクが指摘され続けていた。Microsoftは開発者に対し、KerberosまたはNegotiation認証への移行を推奨しており、これが今後の標準となる見込みだ。
NTLMの廃止により、企業ネットワーク内の認証プロセスに変更が必要となる。特に、古いシステムやアプリケーションがNTLMを前提としている場合、移行がスムーズに進まない可能性がある。そのため、事前に環境を精査し、影響を受けるシステムを特定した上で適切な認証方式へ移行することが求められる。
また、MicrosoftがNTLM廃止を決定した背景には、ゼロトラストセキュリティの強化がある。近年、リモートワークの普及やサイバー攻撃の高度化により、従来の認証方式では十分な安全性を確保できないケースが増えている。今後、Windows環境のセキュリティを強化するためにも、最新の認証プロトコルへの対応が必須となるだろう。
Source:BleepingComputer