Snapdragon 6 Gen 4とMediaTek Dimensity 6400は、realme、OPPO、HONOR、Redmi、POCOなどの新しいエントリーおよびミドルレンジスマートフォンに搭載される予定のチップセットである。特に、HONORはSnapdragon 6 Gen 4の採用を公式に発表している。

これらのチップセットは、前世代と比較して性能が向上しており、ユーザーにとってどちらがより適しているかを検討する価値がある。Snapdragon 6 Gen 4は4nmプロセスで製造され、1つのCortex-A78プライムコア(2.3GHz)、3つのCortex-A78パフォーマンスコア(2.2GHz)、および4つのCortex-A55効率コア(1.8GHz)で構成されるオクタコアCPUを搭載している。

一方、Dimensity 6400は6nmプロセスで、2つのCortex-A76コア(2.5GHz)と6つのCortex-A55コア(2.0GHz)を備えている。MediaTekの方がクロック速度は高いが、Qualcommの方が新しいCPUアーキテクチャを採用しており、持続的なパフォーマンスに優れていると考えられる。​

GPU性能に関して、Snapdragon 6 Gen 4は前世代比で約29%の性能向上を実現したAdreno GPUを搭載している。これに対し、Dimensity 6400は前世代と同じMali-G57 MC2 GPUを採用しており、Snapdragon 6 Gen 4のAdreno GPUに対して約13%の性能差がある。

さらに、Snapdragon 6 Gen 4はフルHD+@144Hzのディスプレイをサポートしており、ゲームや動画視聴時の滑らかな表示が期待できる。​カメラ性能では、Snapdragon 6 Gen 4は最大200MPの静止画撮影や4K HDR動画録画(@30FPS)に対応している。

これに対し、Dimensity 6400は最大108MPのシングルカメラや2K動画録画(@30FPS)に対応しており、解像度や動画撮影能力においてSnapdragon 6 Gen 4が優位性を持つ。​通信面では、Snapdragon 6 Gen 4はmmWaveとSub-6GHzの5Gに対応し、最大ダウンロード速度は2.9Gbpsである。

一方、Dimensity 6400はSub-6GHzのみ対応で、最大ダウンロード速度は約2.5Gbpsとされている。さらに、Snapdragon 6 Gen 4はWi-Fi 6EやBluetooth 5.4をサポートしており、最新の接続規格に対応している。​

メモリとストレージに関して、Snapdragon 6 Gen 4はLPDDR5 @ 3200MHzのRAMとUFS 3.1ストレージをサポートしており、アプリの起動速度や全体的なレスポンスが向上する可能性がある。​総合的に、Snapdragon 6 Gen 4はCPU、GPU、カメラ、通信性能など多くの面で優れており、次世代のエントリーおよびミドルレンジスマートフォンにおいて有望な選択肢となるだろう

Snapdragon 6 Gen 4の電力効率は実用面でどこまで違いを生むのか

Snapdragon 6 Gen 4は4nmプロセスを採用し、前世代からの消費電力削減を実現している。一方、Dimensity 6400は6nmプロセスのままであり、これがバッテリー持続時間にどのような影響を与えるかが注目される。プロセスノードが小さいほどトランジスタの密度が高まり、同じ性能をより低い消費電力で実現できるため、4nmのSnapdragon 6 Gen 4が有利といえる。

特にゲームや動画編集などの負荷がかかる用途では、Snapdragon 6 Gen 4のAdreno Frame Motion Engineが電力効率を向上させつつパフォーマンスを維持する役割を果たす。また、Qualcomm 5G PowerSave 2.0技術により、5G通信時のバッテリー消費を最適化している。

Dimensity 6400も低消費電力設計を施しているものの、Wi-Fi 6EやBluetooth 5.4などの最新規格が非対応のため、特定の場面ではSnapdragon 6 Gen 4の方が省エネ性能が期待できる。実際の使用では、Snapdragon 6 Gen 4搭載スマートフォンの方が長時間駆動できる可能性がある。

ただし、バッテリーの持続時間はSoCだけでなく、最適化されたソフトウェアやバッテリー容量にも左右されるため、一概に数値だけで比較するのは難しい。とはいえ、次世代のエントリーモデルにおいて電力効率を重視する場合、Snapdragon 6 Gen 4がより優れた選択肢になるだろう。

ゲーム体験に影響するGPU性能と最適化の違い

Snapdragon 6 Gen 4とDimensity 6400はどちらもエントリーからミドルレンジのスマートフォン向けに設計されているが、ゲーミング性能には明確な違いがある。Snapdragon 6 Gen 4は新しいAdreno GPUを搭載し、前世代比で約29%の性能向上を実現している。一方、Dimensity 6400のGPUはMali-G57 MC2であり、これはDimensity 6300と同じものであるため、進化が少ない。

Snapdragon 6 Gen 4には、Snapdragon Game Super ResolutionやAdreno HDR Fast Blendなど、ゲーム向けの最適化機能が備わっている。これにより、ゲームプレイ時の画質向上やフレームレートの安定化が期待できる。特に、フルHD+@144Hzのディスプレイサポートにより、対応するスマートフォンではより滑らかな映像表現が可能になる。

一方、Dimensity 6400は標準的なフルHD+ディスプレイまでの対応にとどまっている。また、発熱とパフォーマンスの持続性にも違いが生じる可能性がある。Adreno GPUは効率的な電力管理が特徴であり、長時間のプレイでも安定したフレームレートを維持できることが期待される。

Dimensity 6400のMali-G57 MC2は、前モデルから大きな改良が加えられていないため、負荷の高いゲームでは性能差が顕著になる場面があるかもしれない。高リフレッシュレート対応や電力効率の面を考慮すると、ゲーム用途ではSnapdragon 6 Gen 4が優勢といえそうだ。

カメラ性能はSnapdragon 6 Gen 4が圧倒的に優位か

スマートフォンのカメラ機能は、チップセットのISP(画像処理プロセッサ)に大きく依存する。Snapdragon 6 Gen 4は最大200MPの静止画撮影が可能であり、4K HDR動画録画やマルチフレームノイズリダクション(MFNR)など、高品質な写真・動画撮影を実現するための技術が搭載されている。

一方、Dimensity 6400は最大108MPのシングルカメラをサポートしているが、4K動画撮影ができず、2Kまでの対応となっている。夜間撮影や暗所でのパフォーマンスに関しても違いがある。Snapdragon 6 Gen 4は、Snapdragon Low-Light Vision(LLV)と呼ばれるノイズリダクション技術を搭載し、低照度環境でも明るくクリアな写真を撮影できる。

一方、Dimensity 6400には特に強化された夜間撮影機能の記載がなく、ここでもSnapdragon 6 Gen 4が優位に立つと考えられる。また、動画撮影時の安定性も重要なポイントだ。Snapdragon 6 Gen 4は、電子式手ブレ補正(EIS)や高ダイナミックレンジ(HDR)撮影に対応しており、動きのあるシーンでも滑らかで鮮明な映像を記録できる。

Dimensity 6400はこれらの機能に関する情報が少なく、特に動画撮影を重視する場合はSnapdragon 6 Gen 4が有利になる可能性が高い。このように、静止画・動画ともにSnapdragon 6 Gen 4はワンランク上の性能を備えている。カメラを重視するユーザーにとっては、このチップセットが搭載されたスマートフォンの方が魅力的な選択肢となるだろう。

Source:Smartprix