GoogleのAIアシスタント「Gemini」が、iPhone向けに新たな進化を遂げた。今回のアップデートでは「Deep Research(ディープリサーチ)」機能が追加され、複雑な情報収集や分析をより効率的に行えるようになった。

もともとAndroidで提供されていたこの機能が、ついにiPhoneにも導入される。Deep Researchは高度な推論能力を活用し、長文のコンテキストを処理しながら包括的なリサーチを実行するのが特徴だ。ユーザーが入力したクエリに対して、複数の検索を繰り返し、最適な答えを導き出す。しかし、その過程は即時的ではなく、5分から10分ほどかかることもある。

この新機能は、Geminiの「1.5 Proモデル」で利用可能となる。Googleは段階的に展開を進めており、全iPhoneユーザーが使用できるようになるまでにはもう少し時間がかかるとみられる。処理時間の長さや利用回数の制限といった課題もあるが、詳細な情報収集を求めるユーザーにとっては強力なツールとなるだろう。

Gemini 1.5 Proの新機能「Deep Research」とは何か

GoogleのAIアシスタント「Gemini 1.5 Pro」に新たに追加された「Deep Research」は、従来の検索アシスタント機能とは一線を画す。通常の検索エンジンでは、ユーザーが求める情報を即座に提示することが目的だが、Deep Researchはそれとは異なり、複雑なリサーチを長時間かけて行う仕組みとなっている。

この機能では、指定したトピックに関する詳細な情報を検索し、検索結果を元に長文のレポートを作成する。単純な検索とは異なり、複数の検索プロセスを重ね、より正確で包括的な情報を提供する点が特徴だ。また、AIが調査中に新たな疑問点を見つけた場合、それをさらに掘り下げて調査するため、従来の検索よりも深い分析が可能となる。ただし、このプロセスには5分から10分の時間を要することがある。

さらに、検索の進行状況を確認し続ける必要はなく、処理が完了すると通知が届くため、他の作業をしながらリサーチの結果を待つことができる。一方で、利用回数の制限があるため、無制限に使えるわけではない。この制約がどの程度影響を与えるのかは、今後のユーザーの使い方次第といえる。

即時性よりも深い分析を求めるユーザー向けの機能

Deep Researchは、素早い検索結果を求めるユーザーには向かないかもしれない。しかし、膨大な情報の中から正確なデータを抽出し、深い考察を必要とする場面では大いに役立つ機能だ。たとえば、特定の科学的テーマについて詳細な背景情報を知りたい場合や、専門的な分野のリサーチを行う際に、その真価を発揮する。

一般的な検索では、ユーザーが求める情報を瞬時に取得できるが、検索結果が断片的になりがちである。一方、Deep Researchは時間をかけて多角的に情報を集め、統合されたレポートを提供するため、より総合的な理解が可能になる。この点は、学術研究や専門的な情報収集を求めるユーザーにとって大きなメリットとなるだろう。

また、調査中にAIが新たな疑問を見つけて再検索を行う点も重要だ。通常の検索エンジンでは、ユーザーが明確なキーワードを入力しない限り、関連情報を網羅するのは難しい。しかし、この機能では、検索の過程で新たな関連情報を自動的に探索し、ユーザーが気づかなかった視点まで提供できる。この点が従来の検索との差別化ポイントとなる。

iPhoneユーザーへの提供は今後どうなるのか

Androidで先行提供されていたDeep ResearchがiPhoneでも利用可能になったことで、多くのユーザーがこの新機能に関心を寄せている。しかし、Googleは段階的な展開を行っており、現時点ではすべてのiPhoneで即座に利用できるわけではない。Digital Trendsのテスト端末でもまだ利用できないと報告されているが、数日以内にはより多くのユーザーが使えるようになると予想される。

この段階的な提供には、技術的な最適化やサーバー負荷の調整が関係していると考えられる。Deep Researchは高度な処理を必要とするため、Googleとしても一気に全ユーザーへ展開するのではなく、慎重に展開を進めているのだろう。また、利用回数の制限が設けられている点からも、この機能がまだ試験的な要素を含んでいることがうかがえる。

今後、iPhone向けの最適化が進み、すべてのユーザーが利用できるようになれば、検索のあり方に大きな変化をもたらす可能性がある。特に、AIによる自動リサーチ機能が普及すれば、従来の「検索して情報を拾う」という作業から、「AIに調査を任せ、結果を受け取る」という新しいスタイルへと移行する流れが加速するかもしれない。

Source:Digital Trends