NVIDIAの次世代GPU「RTX 5090」が、公式の推奨仕様である4本の8ピンコネクタ(600W供給)ではなく、3本の8ピンコネクタ(450W供給)でも問題なく動作することが明らかになった。ドイツのハードウェアメディアが実施した4Kベンチマークテストでは、450W運用時でもパフォーマンスの低下はわずか5%にとどまり、ほぼフルスペックに近い性能を維持できることが確認された。

RTX 5090は新しい12V-2×6コネクタを採用せず、従来の8ピンコネクタをアダプター経由で使用する仕様となっている。しかし、3本の8ピンコネクタで運用することで、消費電力や発熱を抑えながらも十分な性能を引き出せる可能性がある。一方、2本の8ピンコネクタ(300W供給)では起動すらしないことが判明しており、最低でも3本の8ピンコネクタが必要となる。

電源ユニットの容量やケーブル配線の都合で4本の8ピンコネクタが用意できない環境でも、3本の運用で十分なパフォーマンスを確保できる点は、多くのユーザーにとって朗報となるだろう。今後、サードパーティ製のカスタムモデルや消費電力を抑えた設計が登場することで、さらに柔軟な運用が可能になると考えられる。

RTX 5090の電力供給仕様はなぜ柔軟性が高いのか

RTX 5090は公式には4本の8ピンコネクタ(600W)を推奨しているが、3本の8ピンコネクタ(450W)でも問題なく動作することが確認されている。このような柔軟性を持つ理由の一つは、NVIDIAが新しい12V-2×6コネクタを採用せず、従来の8ピンコネクタをアダプター経由で利用する設計を取ったことにある。

8ピンコネクタ1本あたりの最大供給電力は150Wであり、3本で合計450Wとなる。RTX 5090のTDP(熱設計電力)は575Wだが、ピーク時以外はフルパワーを必要としないため、450Wの供給でも多くのシナリオで十分な性能を発揮できる。この仕様は、電源ユニット(PSU)の負担を減らし、ユーザーが既存の環境で無理なくアップグレードできるように配慮したものとも考えられる。

また、GPUには電力管理技術が搭載されており、供給電力に応じて動作クロックを適切に調整する。実際、4Kベンチマークでの性能低下はわずか5%にとどまっており、消費電力を抑えつつ高いパフォーマンスを維持できる点は大きな魅力となる。一方で、2本の8ピンコネクタ(300W)では起動すらしないことが判明しており、最低限450Wの供給が必要な点には注意が必要だ。

3本の8ピンコネクタ運用が持つメリットとデメリット

3本の8ピンコネクタによる450W運用には、いくつかのメリットがある。まず、最大600W運用時と比べて消費電力が抑えられるため、発熱の低減や静音性の向上が期待できる。特に、小型ケースやエアフローが限られた環境では、この低発熱設計が安定した動作に寄与する可能性が高い。

また、電源ユニットの負担が軽減されるため、高出力のPSUを新たに購入せずとも運用できるケースが増えるだろう。一方で、デメリットも存在する。450Wでの運用時は、ピーク時の電力不足により、動作クロックが制限される場面が発生する可能性がある。実際に、フルパワーの600W運用時と比べ、4K解像度でのベンチマークスコアが5%低下している。

一般的なゲームプレイではほとんど影響を感じないが、極限までパフォーマンスを求めるユーザーにとってはデメリットとなる。また、すべてのRTX 5090モデルが450W運用を前提に設計されているわけではない。

特に、ASUS ROG Astralなどのハイエンドモデルは、600Wの電力供給を前提にクロック設定が調整されているため、3本の8ピンコネクタ運用では本来のポテンシャルを十分に発揮できない可能性がある。このため、安定した性能を求めるなら、電源ユニットを含めたシステム全体の構成を慎重に検討する必要がある。

将来的な電源仕様の進化とRTX 5090の立ち位置

NVIDIAは今回、RTX 5090で12V-2×6コネクタを採用せず、従来の8ピンコネクタを引き続き活用する方針を取った。この決定は、多くのユーザーが既存の電源ユニットを使い続けられるという利便性をもたらす一方で、次世代GPUの電源設計にも影響を与える可能性がある。

近年、GPUの消費電力は年々増加傾向にある。RTX 4090では450W、RTX 5090では最大600Wという高出力が求められるようになったが、今後もこのトレンドが続けば、従来の8ピンコネクタの限界が近づくことは避けられない。そのため、次世代モデルでは新たな電源規格の導入が本格化する可能性がある。

ただし、現時点では多くの電源ユニットが12V-2×6コネクタに完全対応しておらず、NVIDIAとしても急な移行には慎重な姿勢を見せていると考えられる。RTX 5090が3本の8ピンコネクタでも問題なく動作することは、現行の電源環境で柔軟な運用ができることを示しており、電源ユニットの選択肢を広げる点で大きなメリットがある。

今後、より効率的な電源供給技術が普及すれば、RTX 5090の後継モデルでは新たな電源仕様が採用される可能性もある。しかし、今回の検証結果からもわかるように、RTX 5090の柔軟な電力供給設計は、多くの環境で適応可能な仕様となっており、ユーザーにとって選択の幅が広がる要因となるだろう。

Source:TweakTown