最近の輸送記録により、NVIDIAの新型グラフィックカードの存在が浮上した。このモデルは、96GBのGDDR7メモリを搭載するとされ、一般的なゲーミング向けGPUを大きく超える仕様を持つ。これはGeForce RTX 5090の上位モデルではなく、ワークステーション向けの「RTX 6000 Blackwell」である可能性が高い。
RTX 6000 Adaの後継とみられるこのGPUは、プロ向けのレンダリングやAI処理を想定しており、大容量メモリと強力な演算性能を備えると推測されている。輸送記録には「テスト用」との記載があり、正式発表前の試作機である可能性が高い。2025年3月のGTC 2025でNVIDIAがこのカードを発表するかが注目される。
96GBのGDDR7メモリは何を意味するのか 圧倒的な処理能力の可能性

RTX 6000 Blackwellに搭載されると推測される96GBのGDDR7メモリは、これまでのGPUとは一線を画す性能を意味する。従来のコンシューマー向けGeForce RTX 5090が32GBのGDDR7を採用するとされる中、その3倍ものメモリ容量を備えるこのモデルは、ゲーム用途ではなくAI、機械学習、科学計算、レンダリングといった専門的な処理を前提に設計されている可能性が高い。
この96GBメモリを実現する方法としては、32ビットのメモリコントローラーごとに2枚の3GBメモリチップを積層する「クラムシェル構成」が考えられる。この手法を用いれば、512ビットのメモリインターフェースと合致し、超高速なデータ転送が可能となる。また、今回の輸送記録ではメモリ速度が32Gbpsに達すると記されており、これは従来のGDDR6X(最大24Gbps)を大幅に上回る。
この仕様は、特にAIモデルのトレーニングや推論の高速化において大きな利点をもたらす。近年、LLM(大規模言語モデル)をはじめとするAI技術の進化が加速しており、こうしたモデルを効率的に運用するには膨大なメモリが必要になる。そのため、NVIDIAがこのGPUをAI市場向けに投入するのは十分に考えられる展開といえる。
RTX 6000 Blackwellの可能性 既存のGPUとの違いを探る
RTX 6000 BlackwellがRTX 5090とは別のカテゴリーに属するGPUである可能性は高い。その最大の理由は、これまでのNVIDIAの製品ラインナップにある。コンシューマー向けのGeForceシリーズと、クリエイターやエンタープライズ向けのRTXシリーズは、仕様やターゲット市場が明確に分かれている。
例えば、現在のRTX 6000 Adaは主にワークステーション向けであり、その後継機が登場するのは自然な流れといえる。また、輸送記録に記載されていた「PG153」という内部PCB設計番号も、既存のGeForceシリーズとは異なる点だ。
従来のGeForce RTX 4090やRTX 3090といったハイエンドモデルは異なる設計番号を持ち、プロフェッショナル向けモデルはそれとは別の体系で管理されている。この点からも、新たに発見されたGPUがGeForce RTX 5090ではなく、RTX 6000 Blackwellに属する可能性が強い。
さらに、ワークステーション向けのGPUは通常、ECC(エラー訂正コード)メモリを搭載し、より安定した処理を提供する。96GBというメモリ容量も、この用途に適していると考えられる。もしこのカードが本当にRTX 6000 Blackwellであるなら、従来のワークステーション向けGPUを大幅に超える性能を持つことになり、業界に大きなインパクトを与えるだろう。
GTC 2025での発表が鍵となる 期待される新技術とは
今回の情報が事実であれば、RTX 6000 Blackwellは2025年3月の「GPU Technology Conference(GTC 2025)」で正式発表される可能性が高い。NVIDIAは例年、GTCでプロフェッショナル向けの新製品を発表しており、AIやデータセンター関連の技術革新が示される場となっている。
特に、近年のNVIDIAはAI向けハードウェアの開発に力を入れており、H100やA100といったデータセンター向けGPUが市場を席巻している。もしRTX 6000 Blackwellがこれらの技術を取り入れた新世代GPUなら、従来のワークステーション向けGPUと比べて飛躍的に性能が向上する可能性がある。
また、Blackwellアーキテクチャの詳細も注目される。これまでのAmpereやAda Lovelaceに続くこの新アーキテクチャは、消費電力とパフォーマンスのバランスをどのように最適化するかが鍵となる。
特に、デュアル12V-2×6電源コネクタを採用することで、1,200ワットもの電力供給が可能になるという噂もあり、これが事実ならNVIDIA史上最も電力を消費するワークステーション向けGPUとなるかもしれない。
正式な発表が待たれるが、もしこのGPUが本当にRTX 6000 Blackwellであるならば、AI研究者やクリエイターにとって革新的なツールとなることは間違いない。GTC 2025では、その詳細が明かされることを期待したい。
Source:TechRadar