Samsungの最新フラッグシップ「Galaxy S25」は、スタンダードモデルながらハイエンド体験を提供する。前モデルと比較してハードウェアの進化は控えめだが、新たに搭載された「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」により、バッテリー持続時間とカメラの処理性能が向上。

6.2インチAMOLEDディスプレイのコンパクトなデザインは、持ちやすさと視認性を両立させる。最大の懸念点は、シャッターラグが依然として解決されていないこと。しかし、Generative AIを活用した画像処理機能や、Google Gemini AIとの統合によるスマートなユーザー体験は魅力的だ。

特に799ドルという価格設定を考慮すると、バランスの取れた選択肢といえる。コンパクトながら妥協のないパフォーマンスを求めるユーザーにとって、今年最も注目すべきスマートフォンの一つだ。

Snapdragon 8 Eliteの実力は?実使用で見えた違い

SamsungがGalaxy S25シリーズに採用した「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」は、前世代のSnapdragon 8 Gen 3と比較して処理能力の向上が図られている。しかし、ベンチマークスコアでは大幅な飛躍が見られないため、実際の使用感が重要となる。

特にカメラ処理ではAIを活用したノイズリダクションと色補正が強化されており、夜景撮影時のディテール表現が向上している。さらに、バッテリー効率の改善により、同じ容量でも駆動時間が延びたことが確認されている。これにより、動画視聴やSNSの利用が多いユーザーにとって、充電の頻度が減るという恩恵がある。

一方で、S25 Ultraと比較すると、処理性能の違いが体感しにくいという指摘もある。Ultraは冷却性能やRAM容量が強化されており、負荷の高いゲームや動画編集では明確な差が出る。そのため、Snapdragon 8 Eliteの恩恵を最大限活かせるかは、使用用途によるところが大きい。S25は普段使いでは十分なパフォーマンスを発揮するが、極限の性能を求める場合は上位モデルが選択肢に入るだろう。

Galaxy S25のデザインは本当に使いやすいのか

Galaxy S25は、スリムで軽量なボディを採用しているが、実際の持ちやすさや使い勝手はどのように感じられるのか。前モデルのGalaxy S24と比較すると、フレームの形状がわずかに丸みを帯び、手へのフィット感が向上している。特に長時間の使用時において、エッジ部分が手に食い込む感覚が軽減されている点は評価できる。

ディスプレイサイズは6.2インチで、片手操作が可能なコンパクトサイズを維持。さらに、視認性にも優れたAMOLEDディスプレイを搭載している。しかし、上位モデルのS25 Ultraに採用されている「Gorilla Armor 2」の反射防止加工が省かれているため、直射日光下での見やすさは若干劣る。

デザイン面での課題として、指紋の付きやすさが挙げられる。背面はガラス仕様でありながら、マット仕上げではなく光沢が残るため、頻繁に手で触れると汚れが目立つ。ケースなしで使う場合、この点は気になるかもしれない。ただし、スピーカー配置やボタンの位置は絶妙で、日常の操作において不便を感じることはほとんどない。

カメラの実力は?シャッターラグの問題とその影響

Galaxy S25のカメラは、ハードウェアの変更が少ないものの、ソフトウェアの最適化により写真の仕上がりが向上している。特に、AI処理の強化により色再現性とダイナミックレンジが改善され、逆光や暗所でもディテールが損なわれにくくなった。

一方で、Galaxyシリーズで長年指摘されている「シャッターラグ」の問題は依然として解決されていない。特に動く被写体を撮影する際、シャッターを切った瞬間の画像がわずかに遅れて記録されるため、決定的な瞬間を逃しやすい。これは、画像処理に時間がかかるためと考えられるが、他社のスマートフォンではこの遅延を感じさせないモデルも増えているため、改善の余地がある。

また、望遠カメラの仕様は3倍光学ズームにとどまり、より高倍率のズームを求める場合にはS25 Ultraのペリスコープ望遠カメラが必要になる。動画撮影では新たに「Galaxy Log」機能が追加され、後から色補正が可能になったが、この機能を活用するユーザーは限られるかもしれない。シャッターラグの改善が進めば、より万能なカメラデバイスとなる可能性があるが、現時点では動きの少ない被写体の撮影に適した仕様といえる。

Source:ZDNET