2025年のCESで注目を集めたのはNVIDIAの新型GPU、RTX 5000シリーズの華々しい発表だった。一方でAMDは、次世代RDNA 4アーキテクチャに関するプレゼンを直前で取り下げ、多くの注目を集めながらも疑問を残した。

AMDはRadeon 9000シリーズを3月に投入する予定だが、NVIDIAが1月末から2月にかけてRTX 5000を市場に送り込むことで、競争において優位性を先行する可能性がある。AMDが競争力ある価格と性能を提示できるかが、今後のGPU市場を左右する焦点となる。

AMDがRDNA 4発表を延期した背景とその意図

AMDはCES 2025でRDNA 4に関する発表を行う予定だったが、直前で計画を変更した。公式説明では、プレゼンテーションの45分という時間制限が理由とされている。しかし、同イベントでNVIDIAがRTX 5000シリーズを発表したタイミングを考えると、AMDが競争戦略の一環として計画を再調整した可能性が指摘されている。

RDNA 4アーキテクチャは、4nmプロセス技術や次世代AIアクセラレータといった革新技術を含む。一方で、CESの資料からは詳細な性能や価格帯に関する情報が欠けており、NVIDIAのRTX 5000シリーズとの比較が難しい状況であった。AMDが発表を遅らせたことで、NVIDIAのRTX 5070や5070 Tiの市場評価を見極める余裕を得る意図がある可能性は否めない。

競争の激しいGPU市場では、性能だけでなくタイミングや価格戦略が重要な鍵を握る。AMDがRDNA 4を市場に投入するタイミングは、競合とのパフォーマンスギャップを最小限に抑えるための計算がなされている可能性がある。

NVIDIAの先行戦略がもたらす優位性

NVIDIAは、RTX 5000シリーズを1月末から2月にかけて順次市場に投入し、早期のシェア拡大を狙っている。特にRTX 5090や5080は高性能モデルとして注目を集め、DLSS 4による性能向上が購入者にとっての大きな魅力となっている。これにより、AMDのRDNA 4カードが市場に出回る3月までの間、NVIDIAは先行する販売実績を確立する可能性が高い。

また、RTX 5070は価格が549ドルと抑えられており、性能と価格のバランスが市場で評価される要因となる。Tom’s Hardwareによると、このモデルはRTX 4090に匹敵する性能を持つとされ、ハイエンド市場だけでなくコストパフォーマンスを重視するユーザー層にもアピールする狙いが明確だ。

AMDにとっての課題は、RTX 5000シリーズが消費者の購買意欲を先取りしてしまうことである。特に、NVIDIAがDLSS 4や新しいレイトレーシング技術の優位性を全面に押し出している点に対抗するには、AMDも独自のAIアクセラレータやFidelityFX Super Resolution 4の実力を市場で証明する必要がある。

AMDとNVIDIAの競争が示唆する未来

AMDがRDNA 4で真のブレイクスルーを果たせば、NVIDIAのRTX 5000シリーズに匹敵する性能を備えた新たなGPUが市場を賑わせる可能性がある。その場合、NVIDIA製品を早期に購入したユーザーが価格性能比を再評価し、後悔するケースも考えられる。

しかし、AMDが戦略的な価格設定で市場に参入する可能性も大いにある。たとえば、性能面で劣勢が予想される場合には、価格を引き下げることでコストパフォーマンス重視の消費者を取り込むシナリオが考えられる。このような価格調整は、GPU市場における競争の激化をさらに加速させるだろう。

GPU市場は今後も技術革新と価格競争の波に揺れるだろうが、AMDとNVIDIAの競争が市場にどのような影響を及ぼすのか注目が集まる。消費者にとっては、性能と価格、そして発売タイミングを慎重に見極めることが重要である。

Source:Windows Central