AMDは、ノートパソコン向けの最新チップ「Ryzen AI Max」を発表し、その性能をAppleのM4シリーズと比較した。Ryzen AI Maxは16コアの高性能チップとして、AIやグラフィックス性能を重視する設計が特徴である。

公式プレゼンテーションでは、Appleの12コアM4チップに対する優位性と、14コアM4 Proとほぼ互角であることが強調された。しかし、比較対象として16コアのM4 Maxが意図的に除外されている点が議論を呼んでいる。

M4 Maxは最大40コアのGPUを搭載するハイエンドチップであり、Ryzen AI Maxと直接比較すれば異なる結果となる可能性が高い。AMDが選択的なデータを強調することで、自社製品の優位性を主張したとの見方も出ている。この比較の公平性について、専門家の意見が注目されている。

AMDのRyzen AI Maxが注目される理由

AMDの新チップ「Ryzen AI Max」は、16コアという強力なスペックを誇り、クリエイターやゲーマー向けに最適化されている。特筆すべきはAI処理能力とグラフィックス性能への注力であり、特にv-rayやBlenderといった主要なレンダリングソフトにおけるパフォーマンスでApple M4シリーズに対し優位性を主張している点である。

しかし、このアプローチは単なる性能強化にとどまらない。Ryzen AI Maxは、マルチスレッド処理とリアルタイムAIワークロードに対応する新技術を採用しており、従来のRyzenチップと比較しても大幅な進化を遂げた。特に高解像度グラフィックスの処理やAI支援機能において強みを発揮し、データ解析や3Dモデリングを行うプロフェッショナルユーザーに適した設計がなされている。

この点で、AppleのM4 ProおよびM4 Maxに対抗するAMDの戦略は明確だ。高性能を求める市場の需要に応えつつ、価格とパフォーマンスのバランスを重視した製品設計である。

Apple M4 Max省略が意味するもの

AMDがApple M4シリーズと比較する際、最上位モデルである16コアのM4 Maxを省いたことは多くの技術者や専門家の注目を集めた。M4 MaxはGPUコアが40基という圧倒的なスペックを誇り、通常の作業負荷だけでなく、複数の高負荷タスクを同時に処理できる。

Tom’s GuideのPaul Alcorn氏も指摘している通り、AMDは14コアM4 Proと比較してほぼ互角としつつも、Cinebench 2024のマルチスレッドテストでリードを許した。この点から、16コアのM4 Maxをベンチマークに加えなかった理由については、戦略的な選択だったとの見解が濃厚である。

さらに、AppleのM4 Maxは高負荷環境において抜群のパフォーマンスを示すため、特にGPU性能においてRyzen AI Maxを凌駕する可能性がある。このことから、AMDはあえて「最も不利な条件」を避け、自社チップの優位性をアピールしやすい形で比較データを提示したと考えられる。

パフォーマンス評価と市場競争の行方

Ryzen AI MaxとM4シリーズの比較から浮かび上がるのは、両社が異なるアプローチでパフォーマンスを定義している点である。AMDは従来からコア数やマルチスレッド性能を強調し、CPU/GPU統合アーキテクチャを武器としている。一方、Appleは独自開発のチップセットを採用し、ソフトウェアとハードウェアを一体化させた効率性を強調する戦略を取っている。

特にRyzen AI Maxのような高性能チップは、ゲーム開発、動画編集、AI解析といった負荷の高い用途を求めるユーザーに向けた製品であり、市場シェアの拡大が期待されている。しかし、AppleのM4 Maxが持つGPUコア数の優位性やエネルギー効率は依然として大きな魅力であるため、次世代プロセッサ市場の覇権争いは一層激化する見通しである。

最終的に重要なのは、ユーザーが自身の用途や環境に応じて最適な選択をすることである。その選択を左右するのは、各社が示すデータの透明性と公正さであり、今後もベンチマーク結果やレビューに注目が集まるだろう。