Microsoftは、Windows 11への移行を促すため、新しいPCの購入を推奨しているが、この動きは「無駄遣い」との批判を浴びている。Windows 11は旧型のハードウェアでも問題なく動作するにもかかわらず、Microsoftは新しいハードウェアを推進している。
これは、電子廃棄物問題をさらに悪化させるだけでなく、Copilot+デバイスの販売促進が背景にあるとの見方も強い。
Windows 11は旧型ハードウェアでも十分動作
Windows 11はそのリリース当初から、厳しいハードウェア要件を設けていた。特にTPM 2.0(トラステッド・プラットフォーム・モジュール)をサポートしていない古いCPUは、OSのインストールが不可能であるとされた。これにより、多くの消費者が「新しいPCを買わなければならない」と考えた。
しかし、実際には古いハードウェアでもWindows 11は十分に動作することが証明されている。特に、最新のアップデート「Windows 11 24H2」では、旧型のプロセッサでも驚くほどパフォーマンスが向上するケースが報告されている。このため、物理的な処理能力よりも、セキュリティモジュールの有無が問題視されていることがわかる。
つまり、性能的には旧型ハードウェアでもWindows 11を快適に使用できるが、Microsoftはあえて新しいPCの購入を促している。この方針が持続可能な技術使用という観点から問題視されているのは明白である。
Microsoftの推奨が引き起こす電子廃棄物問題
Microsoftが新しいPC購入を推奨することは、電子廃棄物問題をさらに深刻化させる要因となっている。現在、世界中で増加し続けている電子廃棄物の多くは、不要になったPCやモバイルデバイスであり、その多くが適切にリサイクルされていない。
特に、性能上は問題なく使用可能な古いPCを廃棄し、単にTPM 2.0がサポートされていないという理由だけで新しいPCを購入させることは、持続可能な社会の構築に逆行している。Microsoftがこの方針を維持し続ける限り、廃棄されるハードウェアの量は増加し、環境への悪影響も拡大するだろう。
このような背景から、多くの消費者は新しいPCを購入することに対して疑問を感じており、旧型ハードウェアを維持し続ける選択を取るようになっている。
Copilot+販売の背景にある狙い
Microsoftが新しいPCを推奨する背後には、同社が販売している「Copilot+」デバイスの存在がある。このデバイスは、AI技術を活用して業務効率を向上させることを目的としており、最新のWindows 11環境下で最大の性能を発揮するように設計されている。
しかし、Copilot+の一部機能は有料サブスクリプションで提供されており、月額20ドルの「Copilot Pro」に加入しなければ利用できない機能も多い。これは、新しいハードウェアを購入させた上で、さらに追加費用を消費者に負担させるというビジネスモデルである。
消費者にとって、単にAI機能のために新しいPCを購入することは、多くの場合必要性が感じられず、Microsoftの商業的な戦略に対する反発も生んでいる。
旧PCを有効活用する選択肢
古いハードウェアを廃棄するのではなく、別の方法で有効活用する選択肢も多く存在する。たとえば、非Windows OSに切り替えることで、依然として快適に使用することが可能である。
LinuxベースのOSはその代表例であり、低スペックのハードウェアでも安定したパフォーマンスを提供できる。Windows 11への移行にこだわらず、こうした代替OSを活用することで、古いPCに新しい生命を吹き込むことができる。
Microsoftが推奨する新PC購入に従うだけが選択肢ではなく、環境にも配慮した形でテクノロジーを持続可能に活用する道が存在することを、消費者は再認識するべきである。