AppleがARスマートグラスの開発を継続していることが明らかになった。BloombergのMark Gurman氏によると、Appleはカリフォルニア州サンタクララの秘密施設でmicroLEDディスプレイ技術を研究し、新バージョンの「visionOS」も開発中だという。
AppleのARグラスは「技術的な課題」により遅れ、実現には3年以上かかる可能性がある。しかし、SamsungとGoogleが「Android XR」搭載のARデバイスを準備する中で、Appleの対抗製品がどのような新機軸を打ち出すのかが焦点となる。
さらに、Appleはカメラ搭載AirPodsや廉価版Vision Proの開発も進めており、ウェアラブル市場の競争は一層激化しそうだ。
Appleが進めるARグラス開発の実態 秘密施設で進行する最先端技術
Appleは、カリフォルニア州サンタクララの秘密施設でARスマートグラスの開発を進めていることが明らかになった。この施設ではmicroLEDディスプレイ技術の研究が行われており、ARグラスに適した軽量かつ高解像度のディスプレイの実現を目指しているとされる。
microLEDは、従来のOLEDよりも消費電力が少なく、視認性が向上する技術として注目されている。特にウェアラブルデバイスにおいては、バッテリー寿命の向上が求められるため、この技術の導入が鍵となる。Appleが独自に開発を進めることで、他社との差別化を図る狙いがあると考えられる。
また、AppleはARグラス専用の「visionOS」の改良にも着手しているという。Vision Pro向けの既存のvisionOSをベースに、より軽量なARグラスに適したインターフェースや機能が追加される可能性がある。これにより、スマートフォンやMacとの連携を強化し、Appleのエコシステム内での利用価値を高める狙いがあるだろう。
競争が激化するAR市場 SamsungとGoogleの動向がカギを握る
AR市場では、Appleの動向だけでなく、SamsungやGoogleの取り組みも重要な要素となる。SamsungはすでにARグラスの開発を進めており、Googleと共同で新たな複合現実(MR)デバイスを準備していることが報じられている。これらのデバイスは「Android XR」という専用OSを搭載する可能性があり、AppleのvisionOSに対抗する形となる。
SamsungとGoogleが共同で開発を進める理由の一つとして、技術リソースの共有が挙げられる。Googleは長年にわたりAR技術を研究しており、「Google Glass」や「ARCore」といった技術を持つ。一方で、Samsungはディスプレイ技術やハードウェア開発に強みを持つ。両社が協力することで、競争力のある製品を市場に投入する可能性が高まる。
AppleがARグラスを開発する上で直面するのは、単なる技術革新だけではなく、競争の激化にもある。SamsungとGoogleが先行して市場に製品を投入した場合、Appleはその後追いとなり、市場シェアの獲得に苦戦する可能性もある。そのため、Appleがどのように差別化を図るかが、今後の焦点となるだろう。
Appleの戦略と課題 高価格帯の壁をどう乗り越えるか
AppleのARグラスが直面する最大の課題の一つが価格設定である。Vision Proは高価格帯のデバイスとして登場したが、その価格の高さが普及を妨げる要因となった。Appleが次世代のARグラスを開発する上で、より手頃な価格帯で提供できるかどうかが重要なポイントとなる。
BloombergのMark Gurman氏によれば、Appleは廉価版のVision Proを開発中とされており、ARグラスにも同様の戦略が採用される可能性がある。高性能ながらもコストを抑えた製品を提供することで、より広い市場にアピールする狙いがあると考えられる。
しかし、価格を抑えることは技術的な制約も生む。高品質なmicroLEDディスプレイや専用OSの開発には膨大なコストがかかるため、低価格化と性能維持のバランスを取ることが難しい。Appleがどのような価格戦略を採用するのか、その決断次第で市場の反応は大きく変わるだろう。
Source:Android Headlines