AMDが最新のBIOSアップデートでRyzen 7000シリーズに搭載されるZen 4 CPUのループバッファを無効化したと報じられている。この変更は性能に影響を与えないことが確認され、CPU効率の向上を支える技術としてOp Cacheの役割が浮き彫りになった。

AMDの技術的選択は、次世代アーキテクチャの設計にも影響を与えると見られている。

新BIOSアップデートでのループバッファ無効化の詳細

AMDは最新のBIOSアップデートを通じ、Zen 4アーキテクチャを採用するRyzen 7000シリーズCPUにおけるループバッファ機能を無効化した。この変更は、AGESA 1.2.0.2aパッチを適用したAM5マザーボードにより実現された。ループバッファは、繰り返し実行される命令を保持する小型のメモリストレージとして設計されていたが、十分な効果を発揮していないと判断された。

この発見は「Chips and Cheese」がASRock製マザーボード上で行ったテストにより確認された。旧BIOSバージョン1.21ではループバッファが動作していたが、新BIOSバージョン3.10では完全に無効化されていたという。特筆すべきは、この変更が性能に悪影響を与えることなく実施された点である。

AMDの判断には、Op Cache(オペレーションキャッシュ)の存在が背景にある。Op CacheはCPUの効率的な命令実行を支える技術であり、これによりループバッファの非活用が可能になったとされる。このアップデートは、Ryzen 7000シリーズCPUの安定性と効率を高めるための重要だ。

Op Cacheが支えるZen 4 CPUの高効率

Zen 4アーキテクチャにおいて、Op Cacheはフロントエンドパイプラインを効率的に処理する重要な役割を果たしている。これは、小さな命令を保持し、高速かつ省電力で繰り返し処理を行うキャッシュメモリである。ループバッファが持つべきだった機能をOp Cacheが十分に代替できることが、今回のBIOSアップデートで明らかになった。

前述の通り、Op Cacheにより、ループバッファが無効化されても性能に影響がないことが確認されたが、これは命令実行時にメモリアクセスの必要性を削減し、全体のプロセスを最適化する仕組みに起因している。AMDの技術者たちはOp Cacheの最適化を進め、将来のCPU設計でもこの技術が中心的な役割を果たすと見られる。

参考
Wccftech : AMD Disables Loop Buffer In Zen 4 CPUs Without Affecting The Performance Through The Latest BIOS Update