インテルの次世代モバイル向けプロセッサ「Core Ultra 5 225H」がGeekbenchでその性能を示した。前世代に比べ、シングルコア性能が14%、統合グラフィックス(iGPU)の性能が16%向上する一方、マルチコア性能は8%の上昇にとどまった。

この結果は、Arrow Lakeアーキテクチャの進化を示すが、低消費電力で高い性能を発揮するLunar Lakeとの性能差は依然として存在している。また、統合グラフィックスにはArc 130Tが採用され、OpenCLで優れた性能を発揮することが確認された。

しかし、ゲーム性能など実用面での真価はドライバの最適化とソフトウェアの対応に依存すると見られる。次世代プロセッサの可能性を秘めながらも、競合製品との比較では課題も浮き彫りになった形だ。

Core Ultra 5 225Hの設計思想を探る――進化したアーキテクチャの核心

Core Ultra 5 225Hは、Arrow Lake-Hファミリーの一員として、性能と効率の両立を目指した設計が特徴的である。このCPUは、14コア(4つのPコア、8つのEコア、2つのLPEコア)を採用し、最大4.9GHzというクロック速度を実現している。特に、LPEコアの導入は省電力性能を向上させる狙いがあり、ノートPC向けとしての優れたバランスが意識されている。

さらに、18MBのL3キャッシュはデータアクセスの高速化を図るものであり、これにより負荷の高いアプリケーションやマルチタスク環境でも安定した動作が期待できる。Geekbenchの結果では、シングルコア性能が前世代比で14%向上しているが、マルチコア性能の伸びが8%にとどまる背景には、ハイパースレッディングが搭載されていない点が影響していると考えられる。

インテルがこのCPUで示した方向性は、次世代アーキテクチャの一貫性と新たな省電力技術の融合であるといえる。ただし、これらの進化が市場の多様な需要に十分応えられるかは今後の評価に委ねられるだろう。

統合グラフィックスArc 130Tの性能分析――進化と課題

Core Ultra 5 225Hに搭載されたArc 130T iGPUは、Xe-LPG+アーキテクチャを基盤としており、7基のXeコアと112のXeベクトルエンジンを搭載している。最大動作クロックは2.2GHzで、OpenCLの合成ベンチマークにおいて注目すべき性能を発揮した。特に、同じく7基のXe2コアを採用した製品よりも高いスコアを記録した点は、インテルのアーキテクチャ改良が効果を上げていることを示している。

しかし、この結果が実際の使用環境でどれほど反映されるかは未知数である。統合グラフィックスは、特にゲームやクリエイティブアプリケーションにおいてドライバの最適化が重要であり、現在の性能評価が将来の実際のパフォーマンスを保証するものではない。また、競合する製品群が高いグラフィックス性能を備えていることから、Arc 130Tが市場で優位性を発揮するにはさらなる改良が求められる。

こうした中で、インテルが提示する次世代統合グラフィックスのビジョンは、単なるベンチマーク性能ではなく、消費電力やドライバ最適化による実用性の向上に重点を置くべきだと考えられる。

Lunar Lakeとの競争から見える未来――性能と省電力の攻防

Core Ultra 5 225Hは、同じインテル製品であるLunar Lakeと比較される中で、低消費電力という観点で後れを取っている。Lunar LakeはTDPを17Wから37Wに抑えながらも高いシングルコア性能を発揮しており、これはアーキテクチャ改良とドライバ最適化による成果とされる。

一方で、Arrow Lake-HシリーズとしてのCore Ultra 5 225Hは、iGPU性能でMeteor Lakeを超える16%の向上を記録している点で一定の進化を示している。ただし、これがLunar Lakeの優位性を覆すには至っておらず、特にモバイル環境での競争においてはさらなる工夫が必要だ。

今後、インテルは2025年のCESにおいて新たなプロセッサラインナップを発表するとされており、この中でLunar Lakeおよびその後継製品との性能差がどのように縮まるのかが注目される。現在の状況から見れば、性能向上と省電力の両立が市場での地位を確立する鍵となるだろう。