ソニーが2022年に買収したHaven Studiosが開発する「Fairgames」が、PlayStation 5およびPC向けの新たな協力型強盗シューティングゲームとして発表された。しかし、初公開トレーラーはCG中心でゲームプレイの詳細に乏しく、批判的な意見が少なくなかった。
Haven Studiosは元Ubisoftのジェイド・レイモンドによって設立され、「アサシンクリード」などの実績を持つ開発者たちが集うスタジオであり、期待が寄せられている一方で、その成功は未知数である。ソニーは過去のライブサービスゲームから多くの教訓を得て、Fairgamesに対する品質管理と内部テストを強化する方針を示しており、同作が新たな支持を獲得する可能性は決して低くはない。
Haven Studiosの実力とソニーが期待するライブサービス市場への挑戦
Haven Studiosは「Fairgames」を通じて、ソニーが新たに力を注ぐライブサービス市場で成功を収めることが求められている。設立者のジェイド・レイモンドは「アサシンクリード」や「ウォッチドッグス」の共同クリエーターであり、Haven Studiosには彼女のもとにUbisoftやレインボーシックス シージに関わった実力派クリエイターたちが集まっている。
ソニーは2022年にこのスタジオを買収し、ライブサービスゲームの開発に注力してきたが、未経験の市場への挑戦には高いリスクが伴う。過去にBungieを買収して投入した「Marathon」や、Naughty Dogによる「The Last of Us: Online」と並ぶ新しいタイトルとして「Fairgames」が加わり、ソニーのポートフォリオは広がりつつある。
Haven Studiosのスタッフがこれまで手掛けたタイトルから見ると、「Fairgames」が新たな層の支持を集める可能性は決して低くないだろう。ソニーはライブサービス市場での成功を目指し、Haven Studiosに求めるのは短期間での成果ではなく、プレイヤーを長期間にわたり引きつけ続ける力である。この期待に応えられるかどうかが、今後のソニーのライブサービス戦略全体の成否を左右する鍵となる。
PlayStation Showcaseでの反応と「Fairgames」の今後
「Fairgames」が初めてPlayStation Showcaseで発表された際、プレイヤーからの評価は芳しくなかった。トレーラーがCG中心で、ゲームプレイの実態が不透明だったことが批判の主な原因であった。また、ゲームのテーマが強盗を扱っていたことから、既存の人気タイトル「Payday」の二番煎じではないかという指摘も多く寄せられた。
Haven Studiosにとってこれはデビュー作であり、同社が初めて世に問う作品の第一印象が良好でなかったことは、今後のマーケティング戦略にとっても痛手となり得る。
だが、ソニーはこれまでのライブサービスゲームの教訓を活かし、内部テストの強化や徹底した品質管理を通じて「Fairgames」を磨き上げる意向を示している。特にソニーのCFO十時裕樹が述べたように、ライブサービスへの取り組みを撤退するつもりはなく、シングルプレイヤータイトルとライブサービスゲームの両輪で事業を展開する方針は変わらない。
こうした背景を考えると、「Fairgames」が発売される頃には、初期の不安を払拭し、魅力的なコンテンツと高い品質でプレイヤーの支持を得る可能性がある。
ライブサービス市場への投資とPlayStationのブランド戦略
ソニーはもともと高品質なシングルプレイヤーゲームを主力としてきたが、近年の市場動向を踏まえ、ライブサービス市場への投資を拡大している。「Helldivers 2」は成功を収めた一方で、「Concord」は失敗に終わったように、ライブサービス市場はソニーにとっても試行錯誤の連続である。
しかし、GAAS(ゲーム・アズ・ア・サービス)の可能性を信じるソニーは、こうした失敗から学びを得て次の作品に生かしている。
ソニーはこれまで、シングルプレイヤー中心の一貫したブランド戦略で強力な地位を築いてきたが、ライブサービスゲームの導入は新しい顧客層を獲得するための重要な手段となりつつある。「Fairgames」もまた、そうした取り組みの一環であるが、ソニーが過去に築き上げてきたブランドイメージに負担をかけるリスクも抱えている。
ソニーがライブサービス市場での成功を収められれば、PlayStationのブランドがさらに多様化し、次世代のゲームプレイヤー層にも影響を与えるだろう。その一方で、成功には過去の失敗からの徹底的な学びと革新が欠かせない。