サムスンは、折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Flip 7」と「Galaxy Z Fold 7」の生産目標を前モデル比で39％削減する方針を示した。韓国メディアの報道によれば、これらの次世代機の生産台数は合計500万台となり、従来の820万台から大幅に縮小する見込みである。

一方で、「Galaxy S25」シリーズの生産は7％増を計画し、新たなモデル「S25 Slim」を含む全体で4000万台超の生産を目指すとされる。折りたたみスマートフォン市場の低迷はサムスンだけに限らず、中国メーカー各社も同様の課題に直面している可能性がある。

価格高騰や需要の停滞が背景にあり、同社はフラッグシップモデルの強化を通じて競争力を維持する戦略に舵を切った。

サムスンの折りたたみスマホ戦略に見える苦境と挑戦

サムスンが次世代折りたたみスマートフォンの生産台数を大幅に削減する決断を下した背景には、価格設定と進化の停滞がある。「Galaxy Z Fold 6」の価格引き上げは市場の反応を鈍らせ、前世代との差別化が不十分であるとの批判を招いた。

この状況は、折りたたみスマホの需要が特定の層に限定されている現実を反映している。また、折りたたみスマホ市場全体の成長が鈍化している点も重要である。ディスプレイ専門家Ross Young氏による分析では、中国メーカーも需要の低迷により計画を修正する可能性があるとされ、業界全体が変化に直面していることが分かる。

このような状況下で、サムスンが生産戦略を見直すのは適切な一手といえるが、同時に、折りたたみスマホの革新が求められているのも事実である。

Galaxy S25シリーズへの注力が示す未来の方向性

サムスンは、「Galaxy S25」シリーズの生産を増やす計画を公表した。これには新モデル「S25 Slim」の導入が含まれており、この製品がコストパフォーマンス重視の消費者に向けた重要な選択肢となる可能性がある。

「S25 Slim」は約300万台の生産目標が設定され、サムスンの製品ラインナップを多様化させる戦略の一環とみられる。これにより、「Galaxy S25」シリーズの生産目標は合計4000万台を超える見通しで、折りたたみスマホに代わる収益源として期待されている。

この動きは、サムスンがフラッグシップモデルを通じてブランドの強化を図るだけでなく、収益の安定化を目指していることを示唆している。しかし、競合他社もフラッグシップモデルに注力しており、サムスンが市場シェアを維持するためには、技術革新と価格戦略の両立が不可欠である。

折りたたみスマホの未来と市場の革新

サムスンの折りたたみスマホ戦略の見直しは、単なる生産調整以上の意味を持つ。折りたたみスマホが「未来のデバイス」として登場して以来、その独自性は一時的なトレンドに終わる可能性が指摘されている。特に、価格の高さと限定的なユースケースが市場の拡大を阻んでいる現状は無視できない。

同時に、技術の進化が停滞している点も需要低迷の一因である。「Galaxy Z Flip 6」や「Z Fold 6」が前モデルと大差ない仕様であったことは、アップグレード意欲の減退を招いた。これを打開するためには、より実用的で画期的な技術の導入が必要だろう。

また、競合する中国メーカーも類似した課題を抱えており、業界全体の再構築が求められている。サムスンがこの転換期をどう乗り越えるかが、折りたたみスマホの未来を左右する重要な要素となる。