Intelが2025年に投入予定のノートPC向け「Panther Lake」、および2026年リリース予定のデスクトップ向け「Nova Lake」において、自社工場での生産比率を70%以上に引き上げる方針を打ち出した。これにより、半導体製造大手TSMCへの依存を減らし、Intel独自の技術力で製品の競争力を強化する狙いがある。

特にPanther Lakeは、メモリ仕様が見直され、内蔵メモリ方式が廃止されることでメモリ拡張の柔軟性が向上する見込みだ。この変革は、AIチップ「Gaudi 3」の販売目標未達やDow Jones工業株価平均からの除外という厳しい市場環境下で、Intelにとって大きな成長機会となる可能性がある。

Intelの自社工場での生産比率拡大と競争力向上への挑戦

Intelは、自社工場での次世代プロセッサの生産比率を大幅に拡大する方針を発表した。具体的には、2025年に登場予定のノートPC向け「Panther Lake」や2026年のデスクトップ向け「Nova Lake」の生産において、全体の70%以上を自社工場で賄う計画である。

これにより、Intelは半導体の巨人TSMCへの依存を低減し、独自の技術基盤を強化しようとしている。この動きは、特に半導体産業における供給リスク軽減と技術革新を加速させる狙いがある。IntelのCEO、パット・ゲルシンガー氏は、次世代プロセッサの一部を外部に委託する可能性を残しつつも、自社工場での生産が主要な戦略であると強調した。

この生産体制の転換は、半導体業界において他社に対する競争優位性を確保し、より安定した供給網を築くための一環である。出典であるGIGAZINEによれば、Intelは自社の「Intel 18A」技術を利用して、他社製品向けの半導体生産も計画しており、これにより自社の技術力を外部にもアピールしようとしている。

自社工場での生産拡大が進めば、Intelの収益基盤はさらに強固になるだろうが、その成否は今後の市場の反応と生産技術の進展に左右されるだろう。

メモリ仕様の見直しによるノートPCの拡張性強化

Intelは、Panther LakeおよびNova Lake世代のプロセッサで、内蔵メモリ方式を廃止し、メモリの拡張性を高める方針を明らかにした。これまでのLunar Lakeでは、CPUやGPU、NPUに加えてメモリも統合されていたため、メモリの追加や交換が不可能であった。

しかし、新世代のプロセッサでは、従来のようにメモリを外付けできる設計に戻ることが予定されている。この変更は、特にビジネスユースやゲーマー向けのパフォーマンス向上を求めるユーザー層にとって大きな利点となりそうだ。

ゲルシンガー氏によると、この新しいメモリ設計は、ユーザーが自由にメモリ容量を拡張できるため、システムの柔軟性が高まるという。メモリ容量が限定されるデバイスでは、処理速度やアプリケーションの同時実行能力に制約が生じるが、メモリ拡張が可能になることで、Intel製プロセッサ搭載PCの市場価値が向上する可能性がある。

また、競合製品との差別化も狙っていると考えられ、特にPC市場におけるIntelの存在感を一層高める戦略といえるだろう。

Gaudi 3の販売目標未達とAI分野での苦戦の背景

Intelは2024年第3四半期にリリースしたAIチップ「Gaudi 3」において、2024年末までに5億ドルの収益目標を掲げていたが、結果として未達に終わった。パット・ゲルシンガー氏は、Gaudi 2からGaudi 3への移行時における製品の導入障壁や、ソフトウェア利用の難易度が採用率に影響を与えたと説明している。

AI分野は急成長しているものの、Gaudiシリーズが予想を下回る収益にとどまったことは、IntelがAIチップ市場で課題を抱えていることを示している。この状況に対し、Intelはソフトウェア開発者向けのサポートを強化し、Gaudi 3が市場に適応できるよう改善を図る必要がある。

NVIDIAの台頭が進む中で、AI市場での競争力を取り戻すためには、ハードウェア性能の向上に加え、開発環境の整備やユーザーサポートの充実が不可欠だろう。市場の需要を捉えた製品戦略が求められる中で、Intelがどのような改善策を講じるかが注目される。