AMDは、Ryzen AI 300「Strix Point」のメモリ仕様をアップグレードし、従来のLPDDR5X-7500からLPDDR5X-8000のサポートへと進化させた。これにより、デュアルランクDDR5-5600メモリも新たにサポートされ、より高速なメモリ対応が可能となる。
最初にこのLPDDR5X-8000対応モデルを搭載するノートPCは、HPの「EliteBook X G1a」であり、12月に発売される見込みである。この新しいメモリ仕様は、高速処理を求めるハンドヘルドゲーム機にも適応される可能性があり、AMDとIntelの競争がさらに加熱するとみられる。
AMDのこの動きは、Intelの次世代Core Ultra 200V「Lunar Lake」(LPDDR5X-8533対応)との競争に向けた布石ともいえるだろう。今後、より多くの製品でこの高速メモリ仕様が採用されることが期待される。
AMDが追求するRyzen AI 300シリーズの新メモリ対応の狙い
AMDがRyzen AI 300「Strix Point」のメモリ仕様を従来のLPDDR5X-7500からLPDDR5X-8000に拡張した背景には、パフォーマンスのさらなる向上と市場競争力の強化がある。特に、今回のメモリ対応強化により、メモリ転送速度が向上するため、AI処理やマルチタスクにおいてもレスポンスが向上すると考えられる。
AMDはHPの「EliteBook X G1a」などのビジネス向けデバイスでこの性能をアピールすることで、エンタープライズ市場でのプレゼンスを高める狙いもあるだろう。また、AMDがLPDDR5X-8000の対応を新たに取り入れたことは、メモリの高速化を加速するIntelのCore Ultra 200V「Lunar Lake」シリーズ(LPDDR5X-8533対応)に対抗する姿勢を示しているといえる。
特に、AMDはRyzen AI 300シリーズのようなAPUにおいて高性能なNPUを備えており、GPUやNPUの性能を活用することで、競合他社に対する性能差を詰める戦略をとっている。メモリ速度の強化により、今後さらに高度なAIアプリケーションや画像処理、ゲーム性能が求められる分野での競争力が高まるだろう。
HPの「EliteBook X G1a」が示す、LPDDR5X-8000の実力とその可能性
HPの「EliteBook X G1a」は、最初のLPDDR5X-8000メモリ搭載ノートPCとして注目されており、AMDの最新APU「Strix Point」を採用している。このノートPCは、ビジネス用途においても高度なデータ処理やリアルタイムの分析が求められる場面で、そのパフォーマンスを遺憾なく発揮することが期待される。
AMDによると、Strix PointがLPDDR5X-8000をサポートすることで、従来の7500 MT/sと比較してデータの転送速度が向上し、アプリケーションの応答性やマルチタスク処理がスムーズに行えるようになるとされている。
LPDDR5X-8000の導入により、これまで以上に低消費電力で高速処理を実現するという点も注目に値する。高いパフォーマンスを保ちながらも省電力を図れることから、モバイル環境でも持続的に高負荷の作業が可能となり、長時間稼働に対応することが期待される。
また、LPDDR5X-8000の高速メモリは、次世代のゲーム用ハンドヘルドデバイスやAI処理を強化したデバイスにも搭載される可能性があり、その用途は幅広く、今後も拡大していくだろう。
Intelとの競争激化の中で生まれるRyzen AI 300シリーズの位置づけと期待
AMDのRyzen AI 300シリーズは、最新のAI機能と強力なグラフィック性能を備えた高性能APUで、12コア24スレッドのRyzen AI 9 HX 375を筆頭に、さまざまなラインナップが用意されている。特に、Ryzen AI 300シリーズはAMDの最先端GPUアーキテクチャ「XDNA2」を採用しており、AI推論の性能も飛躍的に向上している。
また、最大55 TOPSのNPU(Neural Processing Unit)を備え、AI処理においても競合と遜色のない処理能力を誇っている。一方、Intelも「Lunar Lake」シリーズの新世代Core Ultra 200VでLPDDR5X-8533メモリを提供予定であり、メモリ速度の面では引き続き優位性を維持している。
AMDの動きにより、今後両社は次世代デバイスのパフォーマンスを巡ってさらに激しい競争が展開されることが予想される。市場において、AMDとIntelのAPUを比較検討するユーザーにとって、メモリ速度やNPU性能の高さは重要な判断材料となるだろう。今後、AMDが次世代の製品展開においてこの流れをどう取り入れていくかが注目される。