Appleは2024年9月のイベントでAirPods Maxの新モデルを発表し、USB-C対応と新色追加にとどまった。この変更は歓迎されるものの、それ以外の進化が見られない点には疑問が残る。競合他社が最新の機能を盛り込む中、AirPods Maxは依然として2020年に発売された初代モデルとほぼ変わらない仕様を維持している。
市場に出てから数年経つが、BoseやSonyといったメーカーが提供するノイズキャンセリングやトランスペアレンシーモードなどで対抗し、Appleのヘッドホンの「プレミアム感」が薄れているのは否めない。
AirPods Maxのアップデート内容とその限界
2024年9月、AppleはAirPods MaxにUSB-Cポートを追加し、いくつかの新色を発表した。しかし、それ以外の仕様に大きな変更はない。これは、期待していた多くの消費者にとって失望を招いた。AppleはEUの規制に対応するためにUSB-Cを急遽採用したと推測されるが、他の部分に手を加えない姿勢には疑問が残る。
特に、H1チップのままで、最新のH2チップが搭載されていない点は大きな問題である。H2チップによって得られる「アダプティブオーディオ」や「会話認識」といった機能は、今後のオーディオ体験を大きく変える可能性があるが、AirPods Maxにはそれがない。Appleが最初のモデルで「完璧」と考えているのかもしれないが、市場は急速に進化しており、そのままでは取り残されるリスクが高い。
競合製品が提供する最新機能との比較
AirPods Maxは、2020年に登場した当初は高い評価を受けたが、その後の市場の進化に対応できていない。特にBoseやSony、さらにはSonosのようなメーカーが、ノイズキャンセリングや透明モードといった機能で大きな進歩を遂げている。Boseのノイズキャンセリング性能は特に評価が高く、音質や機能面での差は年々縮まっている。
さらに、価格面でも競合製品はAirPods Maxよりも手頃でありながら、同等もしくはそれ以上の性能を提供している。AirPods Maxの強みであった透明モードも、最近のSonos Aceなどの製品に迫られている。このように、他社製品との機能比較において、AirPods Maxは一時的にリードしていたが、現在ではその差が縮まりつつある。Appleが今後のアップデートでどのように競争力を取り戻すかが注目される。
AirPods Maxの市場シェアと消費者の反応
AirPods Maxは、その高額にもかかわらず、特に都市部での人気が衰えていない。ニューヨークやミルウォーキーといった大都市では、日常的にAirPods Maxを身につけている人々を目にすることができる。さらに、TikTok上ではAirPods Max用のアクセサリーを紹介する動画が流行しており、その人気を裏付けている。
一方で、「デュープ」と呼ばれる廉価版の偽物も流通しており、これがAirPods Maxのブランド価値に影響を与える可能性もある。こうした状況の中で、Appleがどのようにしてこの市場でのシェアを維持し続けるかが問われる。USB-Cへの対応だけでは、消費者の期待に応えきれていないという声が多く聞かれるが、今後のアップデートや新機能が求められている。
高価格帯ヘッドホンとしての価値は維持できるか?
AirPods Maxは発売当初、そのプレミアム感と高い品質で多くの消費者を魅了したが、2024年現在、その価格に見合う価値があるのか疑問視されている。特に、USB-C対応以外に大きな進化が見られない点は、550ドルという価格に対して妥当性を欠く。競合他社がより多機能で手頃な価格の製品を提供している中、AirPods Maxは高価格ヘッドホンとしてのポジションを維持できるかが課題となる。
Appleのエコシステムとの親和性や音質は依然として評価が高いが、それだけで競争に勝ち続けるのは難しい。特に、ヘッドホン市場全体が進化を続けている中、Appleが同じペースで進化しない限り、プレミアムヘッドホンとしての価値は揺らぎかねない。