GPUクラウド企業のCoreWeaveは、Core Scientificから追加で120MWのインフラを確保する契約を締結した。これにより、CoreWeaveが利用する総容量は500MWに達する。Core Scientificは、契約に基づき2025年後半からインフラの改造を開始し、2026年後半には新たなデータセンターが稼働する予定だ。

CoreWeaveが新たに120MWを確保

CoreWeaveは、2023年6月にCore Scientificとの契約に基づき、追加で120MWのインフラを確保した。この契約により、CoreWeaveが利用するGPUクラウドの総容量は500MWに到達する。CoreWeaveは、Nvidiaの高性能GPUを活用してAIや機械学習、データ解析といった次世代の計算需要に応えるインフラを構築しており、今回の追加契約によってその対応能力を大幅に強化した。

Core Scientificは、米国内のデータセンターにてCoreWeaveのGPUをホスティングするためのインフラ整備を進めており、2025年後半に改造工事を開始する予定だ。これにより、2026年後半には新たに120MWの容量が稼働し始める見通しである。Core Scientificは高性能コンピューティング(HPC)分野への進出を強化しており、今回の契約はその戦略の一環とされる。

この契約は、12年間にわたるホスティング契約であり、CoreWeaveに対して約20億ドルの累積収益をもたらすと予想されている。これまでの契約と合わせると、CoreWeaveとの協力による収益は累計67億ドルに達する見込みである。こうした契約の拡大は、CoreWeaveが今後も急成長するGPUクラウド市場において、確固たる地位を築いていくことを示している。

Core Scientific、契約の裏にある戦略的判断

Core Scientificは、今回のCoreWeaveとの契約において、同社の買収提案を却下するという大胆な戦略を選択した。AIクラウド企業であるCoreWeaveからの買収提案は、Core Scientificにとって「企業の価値を著しく過小評価している」と判断され、結果として拒否された。これは、単なるホスティング契約に留まらない、Core Scientific自身の成長戦略を反映している。

Core Scientificは、ビットコインマイニングで培ったインフラを活用し、次世代の高性能コンピューティング(HPC)需要を取り込むことで、データセンター業界のリーダーとなることを目指している。このため、CoreWeaveとの協力関係はそのビジョンを実現するための重要なステップであり、長期的な成長に向けた土台となると見込まれている。

さらに、Core Scientificは既存のデータセンターでの電力供給能力を拡大し、新たなサイトの開発にも注力している。こうした動きにより、次世代コンピューティングの需要に応える体制を整えると同時に、自社の事業基盤を強化する狙いがある。これにより、Core Scientificは今後も競争力を維持しつつ、データセンター事業における影響力を拡大していく計画である。

高性能コンピューティング需要の急成長

高性能コンピューティング(HPC)の需要は、AI、機械学習、データ解析などの分野で急速に拡大している。これに伴い、クラウドインフラに対する要求も増加しており、企業は高効率で大規模な計算能力を提供できるパートナーを求めている。特にNvidiaのGPUを活用したソリューションは、このような需要を支える技術の中核となっている。

CoreWeaveは、GPUベースのクラウドソリューションを提供する企業として、こうした市場の変化にいち早く対応している。彼らはAIモデルのトレーニングや大規模データセットの解析といった高度なコンピューティング作業を迅速かつ効率的に行うためのインフラを提供しており、これにより企業は自身の業務に集中しつつ、計算リソースを最適化することができる。

今回の120MWの追加契約は、この成長するHPC市場においてCoreWeaveがリーダーシップを発揮し続けるための重要な一手である。高まる需要に対応するためのインフラ整備は、同社にとって今後の競争優位性を確保するための戦略的な投資と位置付けられている。さらに、2026年には500MWという大規模なクラウドインフラが稼働する見込みであり、この進展が市場にどのような影響を与えるかが注目される。

データセンターインフラの未来像

データセンター業界は、今後さらに高まる計算需要に対応するため、インフラの拡充を急速に進めている。特に、AIやビッグデータといった分野における高度な計算作業をサポートするためには、電力供給や冷却システム、ネットワークの強化が不可欠である。こうした要求に応えるため、データセンター企業は次世代の技術に対応した施設の建設に注力している。

Core Scientificは、今回のCoreWeaveとの契約を通じて、将来に向けたインフラ拡充の第一歩を踏み出した。同社は現在、既存のデータセンターにおける電力配分を拡大するとともに、新たな施設の建設も進めており、次世代の高性能コンピューティング需要に対応する体制を整えている。このようなインフラ投資は、今後のデータセンター業界における競争を大きく左右する要因となるだろう。

今後、AIやデータ解析分野における計算需要はさらに増大し、それに伴ってデータセンターの役割も一層重要になると予想される。Core Scientificのような企業が積極的にインフラを拡充することで、こうした需要を支える土台が整えられ、未来のコンピューティング環境が形作られていくことになる。