Googleの新世代折り畳みスマートフォン「Pixel 9 Pro Fold」は、前モデルに比べて大きな進化を遂げた。特にデザインとディスプレイ面では、ブック型のフォームファクターを採用し、より使いやすくなっている。さらに、8インチの内側ディスプレイは、メディア消費やマルチタスクを最大限に活用できる機能を提供しているが、いくつかの課題も見逃せない。

Pixel 9 Pro Foldのデザインとディスプレイの進化

Google Pixel 9 Pro Foldは、前モデルから大きな進化を遂げたデザインを特徴とする。従来のパスポート型デザインを廃止し、ブック型のフォームファクターを採用したことで、より自然な折り畳み操作が可能となった。スマートフォンの厚さは10.5mmで、重さは257gと持ち運びやすさも向上している。ガラス製の背面にはマット仕上げが施され、アルミニウムフレームとメタルレールがスマートで洗練された外観を演出する。

ディスプレイは6.3インチのカバー画面と、8インチの内側画面の2つからなる。カバー画面にはGorilla Glass Victus 2が採用され、120Hzのリフレッシュレートと2700ニットの最大輝度を誇る。内側ディスプレイも同じリフレッシュレートと輝度を持つが、プラスチック製のため傷がつきやすいという欠点がある。ベゼルのサイズは適度に縮小され、誤タッチを防ぐ役割を果たしている。

このディスプレイ構成は、メディア視聴やマルチタスクに最適であり、特に内側画面の大きさを活かした使い勝手が魅力的だ。しかし、オーディオ出力の低さが唯一の難点となっている。Googleは今後、この点を改善する必要があるだろう。

パフォーマンスとカメラの評価

Google Pixel 9 Pro Foldは、Googleの自社製SoCであるTensor G4チップセットを搭載している。このチップセットは、Pixel 9シリーズ全体に共通しているが、Pixel 9 Pro Foldでもその性能は申し分ない。16GBのRAMと256GBのストレージ構成が標準で、アプリの起動や画面切り替えなどの日常的な操作は非常にスムーズに行える。複数のアプリを同時に利用しても、動作が遅れることはほとんどない。

ただし、ゲーミング性能に関しては、他のSnapdragon 8 Gen 3を搭載したスマートフォンに比べると若干の遅れを感じる場面がある。特に、高グラフィックのゲームをプレイすると、デバイスが若干温まる傾向が見られる。これにより、特に長時間のゲームプレイ時にパフォーマンスが落ちることが懸念されるが、日常の使用には問題はない。

カメラは48MPのメインカメラを中心に、10.8MPの望遠レンズ、10.5MPの超広角レンズを搭載している。屋外での撮影では色鮮やかで詳細な写真が撮れるが、Pixel 9 Pro XLのカメラ性能には及ばない。特に望遠や超広角レンズでの画像がややソフトになる傾向があるのが残念な点である。

折り畳みスマートフォンとしての実用性とメディア体験

Google Pixel 9 Pro Foldは、折り畳みスマートフォンとしての実用性が非常に高い。8インチの内側ディスプレイを活用することで、2つのアプリを同時に表示し、マルチタスクを効率的に行うことができる。YouTubeを視聴しながらTwitterを閲覧するなど、日常の作業をより効率的にこなせる点が大きな魅力だ。また、カメラを使ったセルフィー撮影やビデオ通話にも、この大画面は非常に役立つ。

特に注目すべきは、折り畳み機構によってスマートフォンを自立させ、テーブルの上に置いた状態でメディア視聴やビデオ通話ができる点である。この機能により、ユーザーは手を自由に使いながら、コンテンツを楽しむことが可能となる。Googleのアプリ群もこの大画面に最適化されており、ユーザーの作業効率を向上させている。

しかし、オーディオ性能には改善の余地がある。2つのスピーカーグリルを備えているにもかかわらず、音量が十分に大きくないため、映画や音楽を楽しむ際にはやや物足りなさを感じる。次世代モデルでの改善が期待される部分である。

結論:価格に見合う価値があるか?

Pixel 9 Pro Foldは、折り畳みスマートフォンの中でも非常に完成度が高く、特にデザインやディスプレイのクオリティは秀逸である。約1,72,999円という価格は決して安くはないが、折り畳み機構を活かした生産性の向上や、日常の使い勝手の良さを考慮すれば、その価値は十分にあると言える。

ただし、カメラ性能が他のPixel 9シリーズに比べてやや劣る点は、特にカメラ重視のユーザーにとっては大きなマイナスポイントとなるかもしれない。また、オーディオ性能も改善の余地があり、今後のモデルでのアップグレードが期待される。全体的には、特に折り畳みスマートフォンとしての利便性を重視するユーザーにとっては非常に魅力的な選択肢である。

Googleは、このモデルで折り畳みスマートフォン市場における確固たる地位を築くことができるだろう。次世代の進化が期待されるが、現時点では価格に見合う価値がある一台である。