Windows 11の最新アップデートである24H2が、一部のWestern Digital製SSDを搭載したPCで深刻な不具合を引き起こしている。この問題により、PCが頻繁にブルースクリーン(BSOD)を発生させ、「Critical Process Died」というエラーメッセージが表示される。特に影響を受けるのは、DRAMを持たないWD Blue SN580やWD Black SN770といったモデルで、これらのSSDはHost Memory Buffer(HMB)機能に問題があるとされている。

特定のWestern Digital製SSDで発生する問題の詳細

Windows 11の最新アップデートである24H2が、Western Digital製の一部SSDに深刻な不具合を引き起こしていることが明らかになった。特に、WD Blue SN580およびWD Black SN770といったDRAMを搭載していないSSDが影響を受けており、これらのSSDを使用するPCがブルースクリーン(BSOD)を頻繁に発生させる事例が報告されている。

BSODが発生した際、エラーメッセージとして「Critical Process Died」が表示され、イベントログにはSSDコントローラやNVMeドライバに関連するエラーが記録される。この問題は、10月初旬からユーザーによってフォーラムに投稿されており、問題の規模が拡大している。

特定のWestern Digital SSDが影響を受ける理由としては、DRAMを搭載していないSSDが、Host Memory Buffer(HMB)という機能を利用していることが関係している。このHMB機能がWindows 11 24H2のアップデートにより変更されたため、現在の問題が発生していると見られている。

問題の原因と技術的背景

問題の根源は、Host Memory Buffer(HMB)機能にある。HMBは、DRAMを持たないSSDがパフォーマンスを向上させるために用いる技術で、SSDがメモリのマッピングテーブルをPCのメインメモリに保持することで、より高速なデータアクセスを可能にしている。WD Blue SN580やWD Black SN770は、このHMB機能を利用しており、最大200MBまでのメモリを割り当てて使用する。

しかし、Windows 11の24H2アップデートでは、このHMBに割り当てられるメモリ量が大幅に増加している。以前のWindowsでは、最大でも64MBのメモリしかHMBに割り当てていなかったが、新しいバージョンでは、搭載メモリの64分の1、もしくは最大で1GBが割り当てられるようになった。これにより、特定のSSDでエラーが発生している。

この問題が発生するSSDは、主にDRAMを持たないWD製SSDに限られている。他のメーカーのSSDではこのような問題は確認されておらず、Western Digital製品固有の問題である可能性が高い。

MicrosoftとWestern Digitalの対応策

MicrosoftとWestern Digitalは、この問題を認識しており、現在修正に向けた対応を進めている。報道によれば、Microsoftは問題のあるSSDを搭載したPCに対して、24H2アップデートの自動配信を一時停止している。この対応により、影響を受けるユーザーがさらに増加することは回避できる見込みである。

ただし、すでにアップデートを適用してしまったユーザーに対しては、MicrosoftおよびWestern Digitalから公式な修正パッチが提供されるまで、いくつかの回避策が推奨されている。その一つが、Host Memory Buffer(HMB)機能を無効にすることであり、これによりSSDの安定性は回復するが、パフォーマンスが低下する可能性がある。

また、HMB機能のメモリ割り当て量を64MBに制限することで、一部の問題を解決できる方法もある。GitHub上には、この設定を簡単に適用できるレジストリスクリプトが公開されているが、あくまで自己責任での利用が推奨されている。

回避方法とパフォーマンスへの影響

すでに24H2アップデートをインストールしてしまったユーザーに対して、MicrosoftおよびWestern Digitalは一時的な回避策を提供している。その最も効果的な方法の一つが、Host Memory Buffer(HMB)機能を完全に無効にすることである。この方法によって、ブルースクリーンの問題を解消することができるが、パフォーマンスに影響が出る可能性が高い。

HMB機能を無効にした場合、SSDはマッピングテーブルをすべてNANDフラッシュメモリに保存するため、アクセス速度が低下する。特に、頻繁にデータの読み書きを行う場合には、その影響が顕著に現れる可能性がある。

もう一つの回避策として、HMBのメモリ割り当て量を64MBに制限する方法がある。これにより、パフォーマンスをある程度維持しながら、問題の発生を抑えることができる。ただし、これも完全な解決策ではなく、一部のケースではブルースクリーンが再発する可能性があるため、慎重な判断が求められる。