インテルの第14世代Raptor LakeシリーズのP-Coreのみ搭載されたプロセッサが、中国のオンラインマーケットで販売されていることが明らかになった。これらのCPUは本来、産業用や組み込みシステム向けに設計されたもので、一般の消費者に向けた製品ではない。しかし、現在、第三者販売業者によって一般市場に流通している。驚くべきことに、その価格はインテルの推奨価格を大きく下回っている。

P-Coreのみ搭載のRaptor Lake CPUとは

インテルが発表したRaptor Lakeシリーズの一部には、P-Core(Performance Core)のみを搭載した特別なモデルが存在する。このモデルは、第14世代のプロセッサにあたるが、通常のデスクトップ向けバージョンとは異なり、E-Core(Efficiency Core)を省略している。E-Coreは軽い処理やバックグラウンドタスクを効率よく処理するために設計されたが、このP-Coreのみのモデルは、特定の用途向けに高いパフォーマンスを維持しつつ、消費電力の効率よりも安定性を重視している。

これらのCPUは、産業用機器や組み込みシステムといった特殊な環境での使用を想定して設計されている。一般的なPCや家庭向けの製品ではないため、パワーユーザーやゲーマーには直接関係しない。しかし、LGA 1700ソケットに対応しているため、物理的にはデスクトップマシンにも装着可能であり、特に中国のオンライン市場ではその点に目をつけた消費者が注目している。

中国市場における第三者販売の状況

中国のオンラインマーケット、特にGoofishと呼ばれるサイトで、インテルのP-Coreのみ搭載されたRaptor Lake CPUが第三者によって販売されていることが報告されている。これらのCPUは本来、一般の消費者向けに販売されるべき製品ではなく、産業用や組み込みシステム向けに設計されたものである。しかし、中国ではこれらの特殊なプロセッサが容易に手に入る状況になっており、その販売経路は不透明である。

これまでインテルは、こうしたプロセッサを一般市場に供給する意図を示していなかったが、なぜか一部の販売者がそれらを市場に流通させている。特に、中国では個別に入手したCPUを転売する傾向が強く、パワーユーザーやDIY愛好家の間で、これらのP-Coreモデルが注目を集めている。この状況が他国にも広がるかはまだ不明だが、価格の安さやパフォーマンスの高さから、需要が高まる可能性は十分にある。

組み込みシステム向けCPUが一般消費者に渡る理由

P-Coreのみ搭載されたRaptor Lakeプロセッサが、組み込みシステム向けでありながら一般消費者の手に渡っている理由は、その汎用性にある。これらのCPUは、LGA 1700ソケットに対応しており、通常のデスクトップマシンにも物理的に装着可能であるため、消費者が自身でマザーボードから取り外し、別のPCに装着することができるのだ。

さらに、P-Coreのみの設計は、特に高いパフォーマンスが求められる用途では非常に魅力的である。通常のE-Coreが省略されている分、P-Coreが効率的にパワフルな処理を行うことができるため、プロフェッショナル用途や特殊な作業環境では、そのメリットが際立つ。これが、組み込みシステム向けであるにもかかわらず、一部の消費者によって注目され、第三者販売によって一般に流通している背景にある。

インテル推奨価格を大幅に下回る価格で販売

さらに驚くべきは、これらのP-Coreのみ搭載されたRaptor Lakeプロセッサがインテルの推奨価格を大幅に下回る価格で販売されている点である。たとえば、Core i9-14901KEは通常、557ドルでの販売が推奨されているが、現在、中国のオンライン市場では420ドル程度で購入可能である。また、Core i7やCore i5のモデルも同様に、推奨価格よりもかなり安く提供されている。

この価格のギャップは、転売市場ならではの現象であり、消費者にとっては魅力的な要素となっている。一方で、価格が下がっている理由については明確に説明されていないが、販売元が正規のルートを経ていない可能性がある。インテルは、こうした第三者販売について公式にコメントしていないが、この状況が長期的に続けば、正式な対応が求められるかもしれない。