Appleは将来的に独自開発した5Gモデムをメインチップセットへ統合する計画を進めている。現在、iPhone 16eには初の自社製モデム「C1」が搭載されているが、これはまだ限定的な導入に留まる。今後、C2、C3と進化するにつれ、最終的にはQualcomm製モデムを完全に置き換える方針だ。
モデム統合の狙いは、コスト削減と電力効率の向上にあるとされるが、実現には少なくとも3年を要すると見られている。Appleが将来的にすべてのデバイスでセルラー機能を標準搭載するのか、それともモデムなしモデルも併存させるのかは未だ不透明だが、モバイル市場に大きな変化をもたらす可能性がある。
Appleの5Gモデム開発の進展と次世代チップ統合の可能性

AppleはこれまでQualcomm製モデムに依存してきたが、ついに独自の5Gモデム開発を進める段階に入った。iPhone 16eに搭載されたC1モデムはその第一歩であり、今後数年をかけて技術が進化していく予定だ。特にC2、C3と開発が進むにつれ、Appleはモデムを独自プロセッサへ統合する計画を進めている。
現状では、C1モデムはまだ限られたモデルにのみ搭載されており、性能面でも完全な独自路線に踏み切るには至っていない。しかし、Gurman氏の報告によれば、Appleは少なくとも2028年までにはモデムをメインチップに統合することを目標としている。これが実現すれば、Apple製デバイスの電力効率や通信性能に大きな変化が訪れる可能性がある。
ただし、モデムの統合には技術的な課題も多い。通信チップは独自の最適化が求められるため、現時点でAppleがQualcommの水準を超えるモデムを開発できるかどうかは不透明だ。それでも、Appleが独自設計を推し進める理由は、コスト削減や最適化だけでなく、長期的な製品の差別化戦略の一環と見ることができる。
Apple独自モデムがもたらすパフォーマンスと電力効率の変化
Appleの独自モデム開発の目的のひとつは、パフォーマンスと電力効率の向上にある。現在のC1モデムは、iPhone 16eに限定的に搭載されており、バッテリー寿命の向上という点で一定の成果を上げている。現行の6.1インチiPhoneの中で最も長いバッテリー駆動時間を実現していることからも、電力効率の改善が進んでいることが分かる。
ただし、パフォーマンス面ではまだ課題が残る可能性がある。C1モデムは初の自社開発品であり、現在のQualcomm製モデムに比べて通信速度や安定性の面で完全に追いついているとは言い難い。これを克服するために、AppleはC2モデムやC3モデムの開発を進め、段階的に性能向上を図っていくと考えられる。
最終的にAppleは、モデムをメインチップセットに統合することで、より効率的な電力管理を実現しようとしている。iPhoneだけでなく、iPadやMacにもこの技術が応用される可能性があり、Apple製品全体のパフォーマンスに影響を与えることになりそうだ。しかし、モデム統合には数年の開発期間が必要であり、実際にユーザーがその恩恵を受けるのは2028年以降になると予測されている。
モデム統合で変わるiPhoneのモデル構成と通信の未来
モデムがメインチップに統合されることで、iPhoneのモデル構成や通信プランにも変化が生じる可能性がある。現在、iPadやApple WatchではWi-Fiモデルとセルラーモデルが分かれており、セルラー版は追加料金を支払うことで選択できる。しかし、Appleがモデムを統合した場合、すべてのモデルでセルラー通信が標準搭載されるのか、それとも従来のようにWi-Fi専用モデルと分けるのかが注目される。
もしすべてのAppleデバイスにセルラー通信が標準搭載されると、モバイルデータの利用方法にも影響が出る可能性がある。これまでWi-Fi接続を前提に使用していたiPadやMacBookが、常時ネットワークに接続できるようになれば、データ通信のあり方自体が変わるかもしれない。ただし、モデム統合が行われても、通信キャリアとの契約が必要である点は変わらないため、実際の運用面でどのような変化があるかは未知数だ。
また、モデムの統合によってiPhoneのハードウェア設計にも変化が生じるだろう。内部のスペースが最適化されることで、バッテリー容量の増加や冷却機構の改良が期待できる。さらに、Appleが独自の通信技術を確立することで、通信の安定性や接続の最適化が進み、ユーザー体験の向上につながる可能性がある。今後の開発の進展が注目されるポイントだ。
Source:9to5Mac