Appleが新たに発表したiPhone 16シリーズとApple Watch Series 10は、斬新さが謳われているが、実際にはAndroidデバイスからの「借り物」機能が多く含まれている。特に、ウェアラブルデバイスやカメラ機能において、Android陣営がすでに導入していた技術が目立つ。Appleの革新性はどこまで続くのか、今回の発表を振り返ってみたい。

スリープ無呼吸症候群警告:先に進んでいたGalaxy Watch

Apple Watch Series 10で注目を集めた新機能の一つが、スリープ無呼吸症候群を検知する機能である。この機能は、睡眠中に呼吸が一時的に停止する状態を検知し、ユーザーに警告を送るもので、健康管理の一環として大きな注目を浴びている。

しかし、この機能は実際にはSamsungのGalaxy Watch 7やGalaxy Watch Ultraが既に搭載しているものである。Samsungは、Appleの約1カ月前にこの技術を発表しており、さらに、この機能は昨年のGalaxy Watch 6シリーズにもアップデートを通じて提供されている。

対して、Apple Watchでは最新のSeries 10のみでしかこの機能が利用できない点が大きな違いだ。つまり、Appleは新しい機能として打ち出したが、既にAndroidのウェアラブルデバイスで実装されていた技術に追いついただけに過ぎない。この差異は、両社が健康管理においてどのように技術を先導しているかを浮き彫りにしている。

トレーニングロード機能:GarminやCOROSが先駆者

Apple Watch Series 10で新たに導入された「トレーニングロード」機能は、ワークアウトの強度や持続時間が身体に与える影響を測定するというものだ。このデータに基づき、ユーザーは自分の運動量を最適化し、効果的なトレーニングプランを立てることができる。

しかし、この機能もまた新しいわけではなく、すでにGarminやCOROSなどのスマートウォッチメーカーが長年提供しているものである。特に、アスリート向けのデバイスでこの種のフィードバックは一般的であり、Appleはこれに遅れて参入した形だ。

興味深いのは、Googleも同様の機能をPixel Watch 3で「Fitbit Cardio Load」として追加予定である点だ。つまり、Appleがウェアラブル市場で新機能として打ち出したトレーニングロードも、実際には競合他社のスマートウォッチに既に存在していた技術を取り入れたに過ぎないのである。

専用カメラボタンの復活:HTC EVO 3Dからの影響

iPhone 16シリーズで新たに登場したカメラコントロールボタンは、ユーザーの期待を集めている。このボタンは、iPhoneのフレーム上に配置されており、簡単なタップやスワイプでカメラモードの切り替えや調整が可能だ。しかし、この機能もまたAppleが最初に導入したものではない。

この専用カメラボタンの先駆者は、2011年に登場したHTC EVO 3Dである。このデバイスは、3Dコンテンツの撮影機能を搭載し、カメラ専用の物理ボタンを備えていた。iPhone 16のボタンは、より近代的なタッチ式ではあるが、雨天や濡れた手では反応しづらいという点で物理ボタンに劣る。

HTC EVO 3Dは市場で大きな成功を収めたわけではなかったが、この古いAndroidデバイスからの技術が、約10年後にAppleのフラッグシップモデルに再登場したことは興味深い現象である。

AI搭載のビジュアルインテリジェンス:Google Lensの進化版か?

iPhone 16で新たに導入された「ビジュアルインテリジェンス」は、カメラや画面に映った物体や文字を認識し、瞬時に情報を提供する機能である。例えば、レストランの前を通過すると、その評価や口コミが表示され、コンサートのポスターをカメラに向ければ、即座にカレンダーに予定を追加できるという。

だが、この機能はGoogleがすでに「Google Lens」として提供している技術を踏襲したものである。Google Lensは、カメラで捉えた画像を解析し、関連情報を瞬時に表示するという機能で、すでにAndroidユーザーにはお馴染みのものである。

さらに、Googleが今年導入した「Circle to Search」機能は、画面上の一部を丸で囲むだけで情報が表示されるという進化形だ。Appleのビジュアルインテリジェンスは、この技術を更に発展させたものに見えるが、その根本的なアイデアはAndroidが先行していたことは明白である。