米国政府がApple、Google、Metaから膨大なユーザーデータを取得していることが、スイス企業Protonの調査で判明した。この10年間で提供されるデータ量は劇的に増加し、特に2024年には過去最高の水準に達している。
Googleに対するFISA(外国情報監視法)リクエストは10年間で2,171%増加し、AppleとMetaも同様の傾向を示している。政府のデータ要求は「14アイズ」加盟国の中でも米国が突出しており、プライバシー侵害の懸念が強まっている。
Apple・Google・Metaが政府に提供するデータ量が急増 その実態とは
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米国政府がApple、Google、Metaから取得するユーザーデータの量が、過去10年間で劇的に増加していることが明らかになった。スイス企業Protonの調査によると、特に2024年にはデータ提供の頻度が急激に上昇し、わずか半年間で提供されたアカウントデータが最大675%増加している。
このデータの大半は、FISA(外国情報監視法)に基づくリクエストによるものであり、Googleに対しては10年間で2,171%もの増加が記録された。AppleやMetaも同様に、大量のデータを政府に引き渡しており、個人情報の安全性がますます脅かされる状況となっている。
一方で、企業側はデータ提供に関する透明性を確保する努力を見せているものの、実際には政府からの要求に対し応じざるを得ない状況が続いている。企業がどこまでユーザーのプライバシーを保護できるのかが、今後の大きな焦点となるだろう。
プライバシー侵害の懸念 ユーザーデータはどこまで守られるのか
データ提供が増加する一方で、ユーザーのプライバシーは本当に守られているのかという懸念が高まっている。特に、エンドツーエンドの暗号化が適用されていないデータの取り扱いが問題視されており、一部の専門家は企業が十分な保護措置を講じていないと指摘している。
Apple、Google、Metaは、プライバシー保護を重要視していると公言しているが、政府からのリクエストに対して完全に拒否することは難しい。特に、FISAや「14アイズ」協定に基づくデータ要求は法的拘束力を持ち、企業側が応じざるを得ない場合も多い。
この状況に対し、Protonのようなプライバシー保護を掲げる企業は、より強固な暗号化技術の導入を推奨している。しかし、現時点では大手テクノロジー企業がどこまでプライバシー保護を徹底できるかは未知数であり、ユーザー自身がどのように個人情報を守るかを意識することが求められている。
データ提供の拡大が示す未来 透明性の確保は可能なのか
政府がテクノロジー企業からのデータ取得を拡大し続ける現状は、今後のインターネット社会のあり方にも影響を与えるだろう。Protonの調査によれば、政府のデータ要求は政権の変更にかかわらず増加し続けており、この傾向が今後も続く可能性が高い。
透明性レポートを公表する企業も増えているが、実際にどの程度のデータが提供されているのかを完全に把握するのは困難だ。企業が公表するデータは一部に限られ、詳細な情報は公開されないことが多いため、ユーザーにとっては不透明な状況が続いている。
この流れが続けば、プライバシー保護の基準はますます曖昧になり、より厳格な規制や法整備が求められることになるかもしれない。だが、その実現には時間がかかる可能性があり、今後も企業と政府の間でデータ提供に関する攻防が続くことになりそうだ。
Source:Android Police