Appleが発表したiPhone 16eにはMagSafeが搭載されていない。この点について一部のユーザーから批判が集まっているが、Appleはターゲット市場にとって重要な要素ではないと考えているようだ。

実際、AppleはiPhone 16eの比較対象としてiPhone 11を挙げており、主な購買層はMagSafe未搭載のモデルを使い続けてきたユーザーと推測される。さらに、夜間充電が主流の一般消費者にとっては、充電速度や方式の違いは大きな関心事ではないとAppleは見ている。

iPhone 16eがMagSafeを省いた理由とは

AppleがiPhone 16eでMagSafeを省いたことは、一部のユーザーにとって驚きだった。MagSafeはiPhone 12以降のモデルに搭載され、ワイヤレス充電の利便性を高める重要な機能とされてきた。しかし、Appleは「iPhone 16eのターゲット層はMagSafeを気にしない」と明言している。

Appleは、iPhone 16eの発表時に比較対象としてiPhone 11を挙げた。これは、同モデルを長く使用しているユーザーを主な購買層と想定している可能性がある。iPhone 11にはMagSafeが搭載されておらず、従来のLightningケーブルを用いた充電が一般的だった。そのため、iPhone 16eのターゲット層はMagSafeの有無を意識しない、あるいは不要と考えている可能性がある。

また、MagSafeは最大15Wでのワイヤレス充電を可能にするが、従来のQi規格では7.5Wに制限される。しかし、多くのユーザーは夜間に充電するため、充電速度の違いを大きな問題としない。AppleがMagSafeを省いたのは、コスト削減とターゲット層の使用スタイルを考慮した結果といえるだろう。

iPhone 16eにUWBやThread Radioがない影響

iPhone 16eではMagSafeだけでなく、Ultra Wideband(UWB)とThread Radioも省かれている。UWBは「探す」アプリを使う際、AirTagや他のAppleデバイスを高精度で見つけるための技術であり、Thread Radioはスマートホーム機器との連携に用いられる。

UWBがないことで、AirTagの位置特定の精度が低下する可能性がある。たとえば、UWB対応のiPhoneでは数センチ単位で位置を特定できるが、非対応のモデルではBluetoothを用いたおおまかな位置情報に頼ることになる。ただし、地下駐車場のような環境では、UWBを搭載していても十分な精度が得られないケースもあるため、多くのユーザーにとって大きな影響はないかもしれない。

一方、Thread Radioの非搭載により、Matter対応のスマートホーム機器との通信が制限される。しかし、現時点でThreadを活用したデバイスはまだ普及段階にあり、一般的なユーザーにとっては影響が小さいと考えられる。Appleは、iPhone 16eのターゲット層がこれらの機能を重視しないと判断したのかもしれない。

iPhone 16eの価格が成功を左右する鍵

iPhone 16eの成功を決める最大の要素は、その価格設定にある。MagSafeやUWBの非搭載により機能面での違いが明確になっているが、ユーザーにとって最も大きな判断基準は価格だろう。

iPhone 16eの購入を検討する層は、高価なProモデルではなく、より手頃な価格帯のモデルを求めている可能性が高い。しかし、機能を削減したにもかかわらず、価格が期待よりも高ければ、Android端末や他のiPhoneモデルとの比較が厳しくなる。たとえば、iPhone 13やiPhone 14が値下げされた場合、それらのモデルの方が魅力的に映ることも考えられる。

Appleは「特定のユーザー層に向けた製品」としてiPhone 16eを設計しているが、そのターゲット層が納得できる価格設定でなければ、市場の反応は厳しいものになるかもしれない。MagSafeやUWBが不要な層にとっても、最終的な判断基準は機能ではなく価格なのかもしれない。

Source:AppleInsider