Nvidiaの最新GPU「GeForce RTX 50シリーズ」の一部に、仕様と異なるROP(ラスタライザ出力ユニット)構成が確認され、ユーザーの間で議論を呼んでいる。具体的には、RTX 5090およびRTX 5070 Tiの一部のチップに欠陥があり、仕様よりも少ないROPが搭載されているという。この問題は、複数のボードメーカーの製品に影響を及ぼしており、性能の低下が懸念されている。
Nvidiaはこの件について、影響を受けるのは全体の0.5%未満のGPUに限られ、主に生産上の異常が原因だと説明した。これにより、一部のユーザーが予想よりも低いパフォーマンスのGPUを入手してしまう可能性があるが、交換対応が可能となっている。ただし、現在の供給状況を考慮すると、交換には時間がかかることも予想される。
この問題はRTX 50シリーズのローンチ後に浮上したいくつかの課題の一つであり、電源ケーブルの不具合や安定性の問題とともに、ユーザーの間で不安を広げている。Nvidiaは迅速な対応を進めているが、依然として課題は残されている。
Nvidiaが認めたROP不足の原因—製造プロセスの盲点とは

Nvidiaは、RTX 5090および5070 Tiの一部のGPUにおいてROP(ラスタライザ出力ユニット)の不足が発生した原因を、生産上の異常によるものと説明している。具体的には、GB202およびGB203チップの一部が欠陥シリコンを含んでいたことが問題の発端となった。この欠陥は通常の品質検査で見逃され、結果としてROPの数が仕様よりも少ない状態のまま市場に流通してしまった。
ROPは、レンダリング処理においてピクセルデータの最終的な出力を担う重要なコンポーネントであり、その数が不足すると、ゲームなどのグラフィック負荷の高い処理に影響を及ぼす可能性がある。特に、Nvidiaが言及した「最大4%の性能低下」は、競争の激しいGPU市場においては無視できない問題だ。ユーザーが求める性能と実際のパフォーマンスにギャップが生じることで、満足度の低下やブランドへの不信感につながる恐れがある。
Nvidiaはすでに生産ラインの調整を行い、この問題が今後の製品には影響しないと説明している。しかし、この問題がどのような段階で発生し、なぜ市場投入前に発見されなかったのかは明らかにされていない。特に、複数のメーカーの製品に影響を及ぼしている点を考えると、品質管理体制の見直しが求められるだろう。
影響を受けたRTX 50シリーズ—交換対応は十分か
今回の問題に対し、Nvidiaは影響を受けたユーザーにボードメーカーを通じたRMA(返品交換)を案内している。しかし、RTX 50シリーズの供給不足が続く中、交換対応がどれほどスムーズに進むかは未知数だ。特に、ハイエンドモデルであるRTX 5090は需要が高く、すぐに代替品を確保できるとは限らない。
影響を受けるのは全体の0.5%未満とされているものの、ユーザーの立場からすれば、購入したGPUが本来のスペックを満たしていないこと自体が大きな問題だ。特に、高額なハイエンドGPUを購入する層は、性能を最大限に活用しようとする傾向が強いため、4%の性能低下は許容しがたい数値だろう。実際、RTX 50シリーズのパフォーマンスに期待して購入したユーザーにとっては、不具合品に当たること自体が大きなリスクとなる。
また、今回のROP不足問題とは別に、RTX 50シリーズでは他にも電源ケーブルの溶解や不安定な動作が報告されており、製品の信頼性に関する懸念が浮上している。こうした問題が重なると、ユーザーの間で「初期ロットは避けるべき」という意識が強まり、買い控えが発生する可能性もある。Nvidiaおよび各ボードメーカーは、迅速な対応を求められるだろう。
RTX 50シリーズの信頼回復は可能か—今後の課題
RTX 50シリーズのローンチ直後から相次ぐ問題を受け、Nvidiaはユーザーの信頼を取り戻す必要がある。これまでも、新世代GPUの発売後には何らかの問題が発生することは珍しくなかったが、今回のように複数の技術的課題が重なる事態は、ブランドにとって大きな痛手となる可能性がある。
特に、今回のROP不足問題は、単なるドライバの調整やファームウェアのアップデートでは解決できないハードウェアレベルの問題である点が厄介だ。ユーザーにとっては、交換対応を受けるしか手段がないため、供給不足が長引けば不満が高まることは避けられない。また、性能低下が数値以上に体感できるものだった場合、評判が悪化し、シリーズ全体の評価にも影響を及ぼす可能性がある。
今後、Nvidiaが行うべき対応としては、まず影響を受けるGPUの特定と交換プロセスの迅速化が挙げられる。また、今後発売予定のRTX 5060や5080といったモデルでは、徹底した品質管理を行い、同様の問題が再発しないことを証明する必要がある。特に、電源ケーブルや安定性の問題など、ROP不足以外の懸念事項についても透明性のある説明を行い、ユーザーの信頼回復に努めることが求められるだろう。
Source:Tom’s Hardware