AMDは2月28日にRadeon RX 9070およびRX 9070 XTを発表予定だが、リファレンスデザインの「Made by AMD(MBA)」モデルは販売されない可能性が高い。マーケティング資料にはリファレンスデザインの画像が含まれていたが、最新のバナーには「アーティスティックレンダー。購入不可」と明記されており、公式のリファレンスカードが市場に出回らないことを示唆している。

この決定は、AIB(アドインボード)パートナーへのシリコン供給を優先する意図があると考えられるが、MSRPでの購入が困難になる可能性もある。既にリーク情報では、RX 9070が649ドル、RX 9070 XTが749ドルとされているが、公式発表が待たれる状況だ。AMDは新アーキテクチャRDNA 4を採用し、AIやレイトレーシング機能を強化するとされており、NVIDIAのRTX 50シリーズの不安要素を背景に市場での優位性を獲得できるかが注目される。

AMDのリファレンスモデル消滅が意味すること

AMDがRadeon RX 9070シリーズでリファレンスデザインの「Made by AMD(MBA)」モデルを販売しない可能性が高まっている。マーケティング資料に掲載されていたリファレンスデザインの画像には「アーティスティックレンダー。購入不可」と明記されており、これまでの世代とは異なる販売戦略が取られることを示唆している。

従来、AMDのリファレンスモデルは、基準となる冷却設計や動作仕様を提供し、ユーザーが比較しやすい指標となっていた。特に、価格面でもMSRP(メーカー希望小売価格)に準拠することが多く、コストパフォーマンスを重視するユーザーには魅力的な選択肢だった。しかし、今回のRX 9070シリーズでは、この基準がなくなるため、AIB(アドインボード)パートナーによるカスタムモデルのみが市場に出回る可能性が高い。

この変化により、ユーザーが入手可能なモデルは各社のカスタム設計のみに限定される。AIBパートナーのモデルは、独自の冷却機構やオーバークロック仕様を持つため、性能面では強化されるケースが多い。一方で、価格競争の激化により、MSRPでの購入が難しくなる可能性もある。これまでリファレンスデザインを好んでいた層にとっては、選択肢が狭まることを意味する。

RX 9070シリーズのスペック予測と市場への影響

RX 9070およびRX 9070 XTは、AMDの新アーキテクチャRDNA 4を採用し、AIアクセラレーションやレイトレーシング性能が強化されるとされている。RX 9070 XTは、16GBのVRAM(256ビットインターフェース)を備え、4,096基のストリームプロセッサを搭載すると噂されているが、AMDからの公式発表はまだない。

価格についても、リーク情報によればRX 9070が649ドル、RX 9070 XTが749ドルとされている。しかし、これらの価格は暫定的なものであり、正式な価格設定は今後の発表を待つ必要がある。加えて、スペインの小売業者による誤掲載やB&Hの予約ページ削除など、不確定な情報も多く、現時点では確定的な情報とは言えない。

一方、NVIDIAのGeForce RTX 50シリーズは、ROP不足やブラックスクリーン問題、16ピンコネクタの溶解問題といった課題を抱えている。これにより、AMDにとっては競争力を高める絶好のタイミングとなる可能性がある。特にRX 9000シリーズが、消費電力や価格の面で競争力を発揮すれば、ユーザーの選択肢として強力な存在となるかもしれない。

AIBパートナー製モデルの展開とユーザーの選択肢

AMDがリファレンスモデルを販売しない場合、すべてのRX 9070シリーズはAIBパートナーによるカスタムデザインとなる。すでにAsusはPrimeおよびTUF Gamingエディションを発表しており、今後も他メーカーからさまざまな仕様のモデルが登場することが予想される。

AIBパートナーのモデルは、標準仕様のものからオーバークロック仕様、独自の冷却システムを備えたものまで多岐にわたる。特にハイエンドモデルでは、大型ヒートシンクやトリプルファン構成が採用されることが多く、リファレンスデザインよりも冷却性能が向上する傾向にある。一方で、価格がMSRPよりも高騰する可能性があり、コストパフォーマンスを重視するユーザーにとっては影響が大きい。

また、各メーカーの設計によっては、基板のサイズや電源コネクタの仕様が異なるため、互換性の問題にも注意が必要だ。特に小型PCケースを使用しているユーザーにとっては、リファレンスモデルのコンパクトな設計が魅力だったが、それがなくなることで選択肢が限られることになる。

今後、AMDがリファレンスデザインを完全に廃止するのか、特定のモデルに限定して提供するのかは不明だ。しかし、AIBパートナーの多様なモデル展開により、より高性能な選択肢が増えることは確かだろう。ユーザーにとっては、自身の用途や予算に応じて、最適なモデルを選ぶことがこれまで以上に重要になってくる。

Source:Tom’s Hardware