RTX 5070 Tiの正式発表を受け、最新世代のGPU市場は再び活気づいている。NVIDIAの新モデルはGDDR7メモリを搭載し、前世代からの大幅な進化をアピールしているが、ライバルであるAMDのRX 7900 XTXと比較してどの程度の実力を持つのかが注目されている。

一方、RX 7900 XTXはすでに実績のあるハイエンドGPUで、特に高解像度でのゲームプレイにおいて強みを発揮している。VRAMの大容量やメモリ帯域幅の広さなど、NVIDIAの新型と異なるアプローチを採用しており、用途によってはより優れた選択肢となる可能性がある。

この記事では、両GPUのスペック、ゲームパフォーマンス、ベンチマーク結果を詳細に比較し、それぞれの強みと弱みを明らかにする。最新の技術を活かすならどちらを選ぶべきなのか、購入前に知っておくべきポイントを解説する。

RTX 5070 TiとRX 7900 XTXのアーキテクチャの違いが生む影響

RTX 5070 TiとRX 7900 XTXは、異なるアーキテクチャを採用しており、それがパフォーマンスや使用感に直接的な影響を与えている。RTX 5070 TiはNVIDIAのAda Lovelaceアーキテクチャを採用し、GDDR7メモリを搭載している。一方、RX 7900 XTXはAMDのRDNA 3アーキテクチャを採用し、GDDR6メモリを使用する。

これらの違いは、ゲームやクリエイティブ用途での挙動にどのような差を生むのだろうか。RTX 5070 Tiの強みは、レイトレーシング性能とDLSS 4のサポートにある。新世代のDLSS技術により、レンダリング負荷を抑えながらフレームレートを向上させることが可能となる。

一方、RX 7900 XTXは、より広いメモリバス(384-bit)と大容量VRAM(24GB)を活かし、高解像度でのゲームプレイや3Dレンダリングで優位に立つ。特に4K解像度以上の環境では、メモリ容量がパフォーマンスに直結する場面が増えるため、RX 7900 XTXの方が安定したフレームレートを維持できるケースが多い。

ただし、RTX 5070 TiのGDDR7メモリは、従来のGDDR6よりも帯域幅が向上しており、高速なデータ転送が可能になっている。これにより、メモリボトルネックが発生しにくくなり、特にDLSSを活用した場合において、RX 7900 XTXに匹敵するか、それ以上のフレームレートを実現できる可能性がある。結局のところ、どのGPUが優れているかは、用途によって異なると言える。

実ゲームでの性能比較 1440pと4Kの違いとは

RTX 5070 TiとRX 7900 XTXの実際のゲームパフォーマンスは、解像度によって異なる結果を示している。特に1440p(2K)と4Kの環境では、それぞれのGPUが持つ強みが異なり、適した用途が変わる点が興味深い。

1440pでは、RTX 5070 Tiが非常に安定したフレームレートを発揮する。最新のDLSS 4技術を活用することで、フレームレートの向上が見込めるため、より高いパフォーマンスを実現できる。一方、RX 7900 XTXはネイティブの性能で優位性があり、1440pでも高いフレームレートを維持しやすい。

例えば、『Cyberpunk 2077』ではRTX 5070 Tiが124 FPS、RX 7900 XTXが137 FPSと、約10%の差がある。しかし、DLSS 4を有効にすれば、この差はさらに縮まる可能性がある。一方、4K解像度ではRX 7900 XTXの大容量VRAMと広いメモリバスが威力を発揮する。

例えば『Stalker 2: Heart of Chornobyl』では、RX 7900 XTXが46 FPS、RTX 5070 Tiが41 FPSとなり、RX 7900 XTXの方が安定したパフォーマンスを維持している。この違いは、特にVRAMを大量に消費するタイトルで顕著になり、RTX 5070 TiはGDDR7の高速転送で食らいつくものの、メモリの絶対量ではRX 7900 XTXに及ばない。

最終的に、1440pのゲームを中心に遊ぶのであれば、DLSS 4の恩恵を受けられるRTX 5070 Tiは魅力的な選択肢となる。一方、4K以上の高解像度でプレイしたい場合は、RX 7900 XTXの方が安定したフレームレートを提供する可能性が高い。

コストと入手性 価格の違いが選択肢に影響を与えるか

GPUの性能だけでなく、価格と入手性も選択の大きなポイントとなる。RTX 5070 Tiは749ドルの希望小売価格(MSRP)が設定されているが、実際の市場では供給不足が懸念されており、値上がりする可能性がある。一方、RX 7900 XTXはMSRP999ドルだが、現在の市場価格は1,134.99ドルと上昇している。この価格差は、購入の決め手に大きく影響を与えるかもしれない。

RTX 5070 Tiは価格面での魅力があるが、供給が追いついていないため、発売直後は手に入れにくい状況が続く可能性がある。特に新世代のGDDR7メモリを搭載していることから、初期ロットの生産数が限られていると考えられ、プレミア価格がつくことも予想される。

一方、RX 7900 XTXは2022年11月に発売されたモデルであり、供給は比較的安定しているものの、需要の高さから価格が高止まりしている。また、消費電力の違いも考慮すべきポイントだ。RTX 5070 TiはTDP 300W、RX 7900 XTXはTDP 355Wとなっており、後者の方がより強力な電源ユニットを必要とする。

電源コストや発熱対策を考えると、RTX 5070 Tiの方が扱いやすいという意見もあるだろう。結局のところ、価格と入手性を考慮すると、RTX 5070 Tiが魅力的に見えるが、購入の難しさがネックになる。一方、予算に余裕があり、すぐに入手したい場合は、RX 7900 XTXが現実的な選択肢となるかもしれない。

Source:PC Guide