Appleが近く発表するとされる次期エントリーレベルiPadは、iPhone 16Eのような新たな戦略を採る可能性がある。10世代目iPadが発売された際、従来の低価格モデルとは一線を画し、より高機能なデバイスへと進化した。同様に、新型iPadもAI機能や新型モデムの搭載によるアップグレードが予想されるが、それに伴い価格が上昇する懸念もある。

エントリーレベルのiPadの魅力は手頃な価格と長寿命にあるが、Appleの近年の戦略を見ると、価格の段階的な上昇は避けられない流れかもしれない。iPhone 16EがSEシリーズとは異なる位置付けになったように、次期iPadも「エントリーレベル」の定義を再構築するモデルとなるのだろうか。

次期iPadに求められる進化 AI機能の搭載は現実的か

Appleは近年、AI技術の導入を加速させている。iPhone 16Eが発表された際にも、AI機能の強化が注目されたが、iPadにも同様の進化が求められる。しかし、現行の10世代目iPadは旧型のプロセッサーを搭載しており、最新のAI機能を十分に活用できるとは言い難い。これが次期モデルのアップグレードポイントの一つになるのは間違いない。

Appleが開発中とされる「Apple Intelligence」は、iOSやiPadOSへの統合が見込まれている。しかし、これらのAI機能を活かすには相応のハードウェアが必要となる。特にチップセットの刷新が不可欠であり、Aシリーズの最新世代やMシリーズへの移行が検討されるかもしれない。また、機械学習の負荷を軽減するための専用チップが搭載される可能性もある。

一方で、AI機能の充実は利便性の向上につながるが、価格の上昇を招く要因にもなる。エントリーレベルのiPadは、手頃な価格であることが強みであり、高価なプロセッサーを採用することで、そのバランスが崩れる懸念がある。Appleがどの程度のAI機能を搭載し、それをどの価格帯で提供するのかが、今後の注目点となるだろう。

iPhone 16Eに搭載されたC1モデム iPadへの影響は

iPhone 16Eの大きな特徴の一つが、新たに採用された「C1モデム」だ。このモデムは、従来のモデルよりも電力効率が向上し、バッテリーの持続時間を延ばす効果が期待されている。この技術が次期iPadにも応用されれば、特にセルラーモデルの利便性が向上する可能性がある。

現在、エントリーレベルのiPadのセルラーモデルはWi-Fiモデルよりも100ドルほど高価だ。Creative Strategiesのカロリーナ・ミラネージ氏は、この価格差がC1モデムの導入によって縮小する可能性があると指摘している。もしこれが実現すれば、より手頃な価格でセルラーモデルを選択できるようになり、iPadの使い勝手が向上するだろう。

ただし、C1モデムはコスト削減だけでなく、通信の安定性や電力管理の改善も期待される技術である。特に、タブレットはスマートフォンに比べてバッテリーの消費が激しく、長時間の使用が求められることが多いため、C1モデムの省電力性能は大きなメリットとなる。Appleが次期iPadでこの技術をどのように活用するかが、今後の焦点となる。

価格の上昇は不可避か エントリーレベルiPadの立ち位置の変化

iPhone 16Eの登場によって、Appleの製品ラインナップにおける「エントリーレベル」の概念が変わりつつある。かつてエントリーモデルといえば低価格帯を指していたが、最近では機能強化が進み、価格も上昇傾向にある。次期iPadもその流れを受けることになるのだろうか。

10世代目iPadは、発売当初は価格が上昇したものの、その後350ドルまで引き下げられた経緯がある。しかし、今回の新型iPadは、AI機能やC1モデムの搭載といった進化が期待されるため、同じ価格帯にとどまるとは限らない。特に、Appleがエントリーモデルの役割を再定義し、より高性能なデバイスとして位置付ける場合、価格が500ドルを超える可能性も考えられる。

仮に価格が上昇した場合、消費者は型落ちモデルを選択する傾向が強まるだろう。すでに10世代目iPadは価格改定が行われており、新モデルの発表後にはさらに安価で入手できる可能性がある。Appleの戦略次第ではあるが、エントリーレベルのiPadの立ち位置が変化し、消費者の選択肢が広がるかもしれない。

Source:CNET