AMDはCESで次世代アップスケーリング技術「FSR 4」を披露し、Radeon RX 9070 GPUでのデモを通じて大幅な進化を明らかにした。FSR 4は前世代のFSR 3.1に比べ、ゴースト現象やちらつきを大幅に削減し、特に「Performanceモード」での視覚品質向上が注目される。

『ラチェット&クランク: Rift Apart』を含む実例では、透明な粒子表現や観客の描写など、現行技術では得られない明確さを示している。新技術の登場は、プレイ体験を一変させる可能性を秘めており、今後の採用タイトルに期待が高まる。

FSR 4がもたらす視覚表現の進化と新たな可能性

AMDがCESで発表したFSR 4は、現行のFSR 3.1と比較して視覚表現において大きな飛躍を遂げている。特に注目すべきは「Performanceモード」の品質改善であり、これまでは解像度を犠牲にして性能を重視してきたが、FSR 4ではその妥協が不要になった。

例えば『ラチェット&クランク: Rift Apart』の緑色の透明な部屋のシーンでは、粒子の輪郭や光の反射がFSR 4で際立ち、視覚的な没入感が大幅に向上した。また、Hardware Unboxedによるデモでは、FSR 3.1で問題となっていたゴースト現象の減少が強調された。

観客席に座る人物のディテールや階段のちらつきなど、これまでの技術では見過ごされてきた部分が改善されたことで、ゲームデザインの精緻さがより活きるようになった。この進化は、次世代のゲームタイトルが新たな視覚的表現の地平を切り開くことを予感させる。


ゴースト現象の克服とゲーム体験への影響

FSR 4が注目されるもう一つの理由は、ゴースト現象の克服にある。FSR 3.1では動的なシーンでオブジェクトの輪郭がぼやけたり、画面上に残像が残ったりする問題が報告されていた。この現象は特に高速な動きが頻繁に発生するアクションゲームやシューティングゲームにおいて顕著であり、ゲーム体験を損ねる一因となっていた。

AMDのFSR 4では、これらの問題が大幅に改善されたことがデモで示された。落下する粒子や高速移動するオブジェクトがスムーズに描写されることで、プレイヤーが目にする映像はよりリアルで滑らかになった。

これにより、視覚表現がゲームプレイに与える影響が再評価され、ハードウェアの性能向上だけでなく、ソフトウェア技術の重要性も改めて浮き彫りとなった。AMDが公開したデモの具体例は、他の技術が追随を迫られるほどの高い基準を示している。


次世代ゲームタイトルでの採用と期待される効果

FSR 4の初採用が予定されているタイトルには『Call of Duty: Black Ops 6』や『ラチェット&クランク: Rift Apart』が挙げられる。このようなビッグタイトルでの活用は、FSR 4がどのような形でゲーム体験を進化させるのかを示す試金石となるだろう。

特にリアルタイムレンダリングが求められるシーンでFSR 4の効果が発揮されることで、新技術のポテンシャルが一層明確になると予想される。さらに、Radeon RX 9070のようなRDNA 4 GPUと組み合わせた使用により、PCゲーム市場だけでなく、次世代コンソールでもこの技術が適用される可能性がある。

FSR 4が持つ効率的な処理能力は、消費電力を抑えつつ高品質な映像を提供するため、開発者とプレイヤーの双方にとって魅力的な選択肢となる。こうした動きが業界全体にどのような影響を与えるか、今後の展開が注目される。