サムスンは、Galaxy S24シリーズ向けにOne UI 7の第4回ベータアップデートを公開した。このアップデートでは、Galaxy S25シリーズで先行導入された新しいカメラ機能が追加され、特に動画撮影機能が強化されている。

最も注目すべきは「LOG動画撮影」機能の搭載だ。LOGは、色補正を施さないフラットな映像を撮影できるモードで、後から自由にカラーグレーディングを行える。これにより、映像制作にこだわるユーザーにとって、より本格的な編集が可能になる。また、Galaxy S24シリーズ全体には「AIフィルター」機能も導入され、カメラの色調補正を細かくカスタマイズできるようになった。

このアップデートには、カメラ機能以外にも、UIの不具合修正やセキュリティパッチの更新が含まれている。現在はインドや韓国でベータテストが進行中であり、正式リリースが待たれる。

Galaxy S24 Ultraの「LOG動画撮影」がもたらす映像表現の進化

Galaxy S24 Ultraに追加された「LOG動画撮影」機能は、映像の色補正を行わず、より多くのディテールを保持する撮影モードである。これにより、撮影後の編集で自由にカラーグレーディングが可能になり、プロレベルの映像制作がスマートフォンで実現できる。AppleがiPhone 15 Proで導入したことでも話題になったが、サムスンがこの技術を採用したことで、モバイル映像制作の幅がさらに広がることになった。

LOG撮影の特徴は、撮影時に色補正が一切適用されないため、映像がグレーがかったフラットな仕上がりになる点だ。しかし、これが強みであり、ハイライトやシャドウの細部まで豊富な情報を記録できる。これにより、編集時に色のバランスを細かく調整し、自分の意図する映像表現を追求できる。特に、Adobe Premiere ProやDaVinci Resolveといった編集ソフトを活用すれば、映画のような仕上がりも可能だ。

従来、LOG撮影はプロ向けのカメラに搭載される機能であり、スマートフォンでは一部の高性能機種に限定されていた。Galaxy S24 Ultraがこの機能を取り入れたことで、スマートフォンの映像撮影がさらに本格化する可能性が高い。さらに、サムスンの「ギャラリー」アプリには、自動でカラー補正を行う「Correct Color」機能が追加されており、編集知識がなくても簡単に色調を調整できる点も魅力だ。

この機能の追加は、スマートフォンを単なる撮影ツールではなく、編集まで完結できるクリエイティブなプラットフォームへと進化させる重要な一歩と言える。今後のアップデートで、より高度な撮影設定や編集機能が充実すれば、スマートフォンによる映像制作の可能性はさらに広がるだろう。

AIフィルターの柔軟な調整機能で写真表現の幅が拡大

Galaxy S24シリーズ全体に追加された「AIフィルター」機能は、カメラの色調補正を高度にカスタマイズできる新しいツールである。従来のフィルター機能は、あらかじめ決められたプリセットを適用する形だったが、今回のアップデートでは、より細かい調整が可能になり、撮影者の意図を反映しやすくなった。

特に注目すべきなのは、ユーザーが独自のフィルターを作成できる点だ。スマートフォンのギャラリー内から好きな画像を選ぶと、AIがその画像の色調や雰囲気を分析し、同じカラープロファイルを持つフィルターを生成してくれる。この機能により、自分好みの色合いを簡単に再現できるだけでなく、SNSや動画コンテンツの制作にも活用しやすくなった。

さらに、サムスンのAIフィルターは、Appleの「フォトグラフィックスタイル」と似た機能を持つが、調整できる項目がより細かいのが特徴だ。色温度、コントラスト、彩度などを自由に調整でき、シーンごとに最適なカラーバランスを追求できる。従来のスマートフォンカメラは、自動補正によって撮影環境に合わせた最適な色合いを提供することが多かったが、今回のアップデートにより、ユーザーの意図に合わせた柔軟な調整が可能になった。

この機能の追加により、スマートフォンで撮影した写真の表現力が大幅に向上することは間違いない。特に、色表現にこだわる人にとっては、手軽にプロのような仕上がりを実現できるツールとなるだろう。今後のアップデートでさらなる改良が加えられれば、スマートフォンの写真撮影がよりクリエイティブな領域へと発展していく可能性がある。

One UI 7の改良で使い勝手が向上し、正式リリースへの期待が高まる

今回のアップデートでは、カメラ機能の強化だけでなく、One UI 7全体の改善も行われている。特に、ロック画面やAOD(Always On Display)のUIエラー修正、クイックパネルの表示改善、指紋認証時のカクつき修正など、日常的に影響を与える細かい不具合が解消された点は大きい。

これらの修正は、一見すると地味なアップデートに思えるが、日々スマートフォンを使用する上での快適さを大きく左右する要素である。特に指紋認証のカクつきは、ロック解除のたびにストレスとなる問題だったため、これが解決されたことで、よりスムーズな操作が期待できる。

また、グループアラームのエラー修正も実施されており、特定の条件下でアラームが正常に機能しなかった問題が解消された。このような細かい改良が積み重なることで、One UI 7の完成度が高まり、最終的な正式リリースに向けて期待が膨らむ。

現時点では、インドや韓国でのベータテストが進行中だが、安定性が確保され次第、他の地域にも展開される見込みだ。過去のOne UIのアップデートを見る限り、サムスンはフィードバックを迅速に反映し、完成度を高める傾向にあるため、今後のアップデートでさらに細かいブラッシュアップが行われる可能性もある。

正式リリースがいつになるかは不明だが、現在のベータ版の進捗を考慮すると、近いうちに正式版が発表される可能性は高い。Galaxy S24シリーズのユーザーにとっては、より快適な操作性と、強化されたカメラ機能を楽しめるようになることは間違いないだろう。

Source:Digital Trends