iPhoneユーザーが、GoogleのAIリサーチツール「Deep Research」にアクセスできるようになった。昨年12月にWeb版が登場し、先月にはAndroid版が提供されたこの機能が、ついにiOSにも対応した。ただし、利用するには月額20ドルの「Gemini Advanced」プランへの加入が必要となる。

Deep Researchは、AIが広範囲のWeb情報を検索し、包括的なリサーチレポートを作成するツールだ。特定のトピックについてより深い情報を得られるため、これまでのAIアシスタントとは一線を画す。類似する機能として、OpenAIのChatGPT Pro(月額200ドル)やMicrosoftのCopilot「Think Deeper」があるが、それぞれ仕様や提供範囲に違いがある。

本記事では、iPhoneでDeep Researchを使う方法や、提供されるレポートの特徴、利用時の注意点について詳しく解説する。

GeminiのDeep Researchの特徴とは AIがもたらす新たな調査手法

Deep Researchは、通常のAIアシスタントと異なり、単なる情報生成ではなく、インターネット上の広範な情報を収集し、包括的なレポートを作成する機能を持つ。質問を投げかけると、AIは関連性の高い情報源を分析し、それらを整理した形で提示する。これにより、ユーザーは従来の検索よりも短時間で、精度の高い調査結果を得ることができる。

この技術は、従来のAIチャットボットとは一線を画す。従来のAIは、過去の学習データに基づいた回答を生成するが、Deep ResearchではWeb上の最新情報を反映した調査結果を提供できる点が特徴だ。これにより、特定のトピックに関する深い理解を短時間で得られるようになり、情報収集の手段としての価値が増す。

また、生成されるレポートには、情報の出典が明記されるため、ユーザーは元の情報を参照しながら、内容の正確性を確認できる。これまでのAIの課題であった「出典不明の情報生成」に比べ、信頼性が向上している。さらに、レポートは表や箇条書きなどの形式で整理され、Google Docsでの編集や共有も可能なため、実用性の高さも魅力の一つだ。

このように、Deep Researchは、AIによる情報生成と検索エンジンの利便性を融合させた新しいツールとして、従来のリサーチ方法を大きく変えつつある。特に、詳細な情報が必要な場面では、従来の検索よりも効率的な調査が期待できる。

iPhone版の登場が意味するもの AIリサーチの普及は加速するか

これまでDeep Researchは、Web版とAndroid版のみで利用可能だったが、今回のiPhone版の登場によって、より多くのユーザーがこの機能にアクセスできるようになった。特に、Appleのエコシステム内でAIリサーチツールが利用可能になることで、AIアシスタントの活用方法に変化が生じる可能性がある。

iPhoneユーザーの中には、GoogleのAIツールに馴染みがない層も多い。しかし、iOS環境でGeminiの機能が提供されることで、GoogleのAIエコシステムに新たなユーザー層が流入することが考えられる。特に、Appleのデフォルトの検索エンジンがGoogleであることを踏まえると、Deep Researchを通じた情報検索の習慣が根付く可能性もある。

また、iPhone版の提供は、AIリサーチツールの普及を加速させる要因となる。従来、AIを活用した情報検索は一部のユーザーに限られていたが、スマートフォン上で直感的に操作できるようになれば、より広い層に利用が広がるだろう。特に、日常的な調査だけでなく、専門的な情報収集の手段としての活用が期待される。

一方で、Apple自身も独自のAI機能の開発を進めていることから、今後、競争が激化する可能性もある。GoogleのDeep ResearchがどこまでiPhoneユーザーに受け入れられるかは、今後のAIツールの進化に大きく影響を与えることになりそうだ。

利用に伴う課題と今後の展望 AIによる情報収集の限界とは

Deep Researchは、従来のAIアシスタントに比べて優れた調査機能を持つが、いくつかの課題も指摘されている。その一つが、リクエスト数の制限だ。1日に実行できる検索回数には上限があり、継続的に調査を行いたい場合には制約となる。また、サーバー負荷の影響で、レポートの生成に時間がかかる場合もある。

もう一つの課題は、情報の精度と取捨選択の難しさだ。Deep Researchは、多くの情報源を参照するものの、それらの正確性を完全に保証するわけではない。情報の信頼性は、ユーザー自身が精査する必要があり、リサーチ結果を鵜呑みにするのは危険だ。特に、専門的な分野においては、AIの解析精度が十分でない場合があり、誤情報を含む可能性がある。

しかし、こうした課題を踏まえた上でも、Deep Researchは有力なリサーチツールの一つとして活用の幅を広げていくだろう。今後、AIの精度向上や、検索範囲の拡大が進めば、より高度な調査が可能になると考えられる。

また、Google以外の企業も同様の技術開発を進めており、AIによるリサーチツールの競争が激化することは間違いない。現在、OpenAIのChatGPT Proは月額200ドルと高額だが、今後価格競争が進めば、より手頃な価格で高機能なAIリサーチツールが提供される可能性がある。

このように、Deep Researchの登場は、AIを活用した情報収集の新たな可能性を示している。一方で、ユーザー自身のリテラシーが求められる場面も多く、今後の技術進化とともに、どのような形で情報収集が変わっていくのか注目したい。

Source:ZDNET