スマートフォンのパフォーマンスを評価するベンチマークツール「AnTuTu」の1月ランキングが発表された。ハイエンド部門ではMediaTekの最新チップセット「Dimensity 9400」を搭載したvivo X200 Proが平均スコア2,896,624を記録し、トップに輝いた。これに続いたのはSnapdragon 8 Elite搭載のOnePlus Ace 5 Proで、わずかな差で2位となった。

全体のランキングでは、トップ10のうちSnapdragon 8 Eliteを搭載したデバイスが5機種、Dimensity 9400が3機種と、両チップセットの競争が激化している。ミッドレンジ部門では、Dimensity 8400搭載のRedmi Turbo 4が圧倒的なスコアでトップを獲得。タブレット部門ではSnapdragon 8 Gen 3搭載のRed Magic Novaが最速の座についた。

このランキングは、スマートフォンの処理性能におけるトレンドを示しており、MediaTekとQualcommの競争がますます熾烈になっていることが浮き彫りになった。次の世代のチップセットが登場することで、さらなる性能向上が期待される。

Dimensity 9400とSnapdragon 8 Eliteの性能差はどこにあるのか

今回のAnTuTuベンチマークでは、vivo X200 Proがトップの座を獲得したが、Snapdragon 8 Elite搭載機とどの程度の性能差があるのかが注目される。ランキング2位のOnePlus Ace 5 Proとのスコア差はわずか8,431ポイントで、数値上の違いはごく僅かだ。しかし、チップセットのアーキテクチャや最適化の面では、異なるアプローチが取られている。

Dimensity 9400は、MediaTekの最新技術を採用し、Cortex-X5をメインコアとして搭載。さらに、効率コアも大幅に強化され、消費電力を抑えながら高いパフォーマンスを発揮する。一方のSnapdragon 8 Eliteは、Qualcomm独自のカスタムコアを採用し、GPU性能を特に強化。ゲーミングやAI処理において優れたパフォーマンスを発揮する設計となっている。

これらの違いが実際の使用感にどう影響するかは、用途によって異なる。例えば、ゲームプレイ時のフレームレート安定性ではSnapdragon 8 Eliteが優位に立つ可能性があるが、電力効率や発熱の抑制ではDimensity 9400の最適化が活きる場面もある。どちらのチップセットもトップクラスの性能を持つが、求める体験によって最適な選択が変わることになるだろう。

ミッドレンジスマホの勢力図に変化をもたらすDimensity 8400

ハイエンドモデルの競争が激化する中、ミッドレンジ市場でも変化が生じている。特に、今回1位となったRedmi Turbo 4に搭載されるDimensity 8400は、従来のミッドレンジ向けチップセットとは一線を画す性能を持つ。

Dimensity 8400は、オールビッグコア構成を採用し、従来のミッドレンジモデルと比較して処理能力が向上。これにより、上位機種に迫るパフォーマンスを発揮しながらも、価格を抑えたモデルが登場することになった。また、Snapdragon 7+ Gen 3を搭載したOnePlus Ace 3Vがこれまで優位に立っていたが、今回のランキングではRedmi Turbo 4が大きく差をつけた。

この結果から、ミッドレンジ市場においてもMediaTekの影響力が拡大していることが分かる。これまでSnapdragon 7シリーズが主流だったが、Dimensity 8シリーズが高性能化し、競争が激化。今後、よりハイエンドに近い体験を提供するミッドレンジスマホが増えていくことが予想される。

タブレット市場で際立つSnapdragon 8 Gen 3の存在感

スマートフォン市場とは異なり、タブレット市場ではSnapdragon 8 Gen 3が圧倒的な存在感を示している。今回のランキングでは、Red Magic NovaとOppo Pad 3 Proの2機種がトップを争い、いずれもSnapdragon 8 Gen 3を搭載していた。

タブレット向けに最適化されたSnapdragon 8 Gen 3は、処理性能だけでなく、発熱やバッテリー効率のバランスを考慮した設計となっている。特に、ゲーミングやクリエイティブ用途に適したチップセットとして、パワーユーザーのニーズに応えている。

一方、Dimensity 9300+を搭載したiQOO Pad2 Proやvivo Pad3 Proも上位にランクインしており、MediaTekもタブレット市場において確実にシェアを広げている。特に、AI処理やエネルギー効率を強化したモデルが増えており、タブレット市場も今後さらなる競争が予想される。スマートフォン市場以上に、最適化や用途別の性能差が顕著に現れるのがタブレット市場の特徴だ。

Source:GSMArena