AMDがついに次世代GPU「Radeon RX 9070 XT」と「RX 9070」の販売時期を正式に発表した。2024年第4四半期の決算報告において、CEOのリサ・スー氏はRDNA 4アーキテクチャを採用したこれらのGPUが2025年3月初旬に発売されることを明言。

この新シリーズは、前世代のRDNA 3と比較して大幅に向上したレイトレーシング性能を持ち、AIによるアップスケーリング技術「FSR 4.0」を初めてサポートする。これにより、より高品質な4Kゲーミングが広く普及する可能性が高まる。

また、NvidiaのGeForce RTX 5070 Tiと競合することが予想されるが、実際のパフォーマンスがどこまで迫れるのかは未知数。AMDは2月末にRDNA 4専用イベントを開催予定で、ここでさらなる詳細が明らかになる見込みだ。

RDNA 4アーキテクチャの進化とは? レイトレーシング性能の向上とFSR 4.0の可能性

AMDの新GPU「Radeon RX 9070 XT」と「RX 9070」はRDNA 4アーキテクチャを採用し、大幅な進化を遂げている。特に注目すべきはレイトレーシング性能の向上と、新たなアップスケーリング技術「FSR 4.0」の搭載だ。

レイトレーシングに関しては、AMDはRDNA 3と比較して「大幅な向上」を強調している。従来、AMDのレイトレーシング性能はNvidiaのRTXシリーズと比べると劣勢とされてきたが、今回のRDNA 4ではハードウェアレベルでの最適化が施されている可能性が高い。これにより、よりリアルな光の反射や影の表現が実現し、最新のAAAタイトルでも快適なゲーム体験が期待できる。

また、FSR 4.0も大きな注目ポイントだ。AMDは過去のFSR 2.0やFSR 3.0で、ソフトウェアベースのアップスケーリング技術を強化してきたが、RDNA 4ではAIを活用した新技術が導入される見込みである。これにより、AIの推論能力を活かしつつ、より鮮明で滑らかな映像を提供できる可能性がある。

特に、従来のFSRでは対応していなかった一部のタイトルにも適用されるようになれば、利用価値は大きく向上するだろう。AMDは、これらの技術革新をもとに「メインストリームの4Kゲーミング」を目指している。

現状ではNvidiaのDLSS技術がアップスケーリングの分野で優位にあるが、FSR 4.0がどこまで肉薄できるかが今後の焦点となる。NvidiaのRTX 5000シリーズと比較したとき、FSR 4.0がどの程度のクオリティを実現するのか、ゲーマーの関心が集まるところだ。


Radeon RX 9070シリーズとNvidia RTX 5070 Tiの比較 対抗できる性能を持つのか?

AMDのRadeon RX 9070 XTとRX 9070は、NvidiaのRTX 5070 Tiと競合するポジションにある。では、実際にどのような比較ができるのか。

RTX 5070 Tiは、Nvidiaの最新アーキテクチャ「Blackwell」を採用しているとされる。これにより、DLSS 3.5やより高度なレイトレーシング性能が搭載される見込みだ。特にDLSSは、過去の世代と比較してAIによる補完機能が強化され、よりリアルなフレーム補間や解像度の向上が期待されている。

一方、AMDのRadeon RX 9070シリーズは、AIによるアップスケーリング技術としてFSR 4.0を導入するため、対抗可能なポテンシャルを秘めている。また、価格面も比較のポイントとなる。NvidiaのミドルクラスGPUは、近年高価格化が進んでおり、RTX 4070 Tiの発売当初の価格も高めだった。

これに対し、AMDは競争力のある価格設定を行う傾向があるため、Radeon RX 9070 XTやRX 9070もコストパフォーマンスに優れた製品となる可能性がある。これが事実なら、特に価格を重視するユーザー層にとって魅力的な選択肢となるだろう。

一方で、Nvidiaが持つ圧倒的なエコシステムも無視できない。DLSSの強力なサポート体制、RTコアによる安定したレイトレーシング処理、さらにゲーム開発者との緊密な連携により、Nvidia製GPUは最適化された環境で動作することが多い。この点では、AMDがFSR 4.0とRDNA 4の性能をどこまで実用レベルに引き上げられるかが鍵となる。

3月初旬の発売を前に、ベンチマーク結果や実際のゲーム動作が明らかになれば、これらのGPUの本当の実力が見えてくるだろう。競争が激化する中で、AMDがどのように市場にアプローチするのか注目したい。


RDNA 4は本当に4Kゲーミングを「メインストリーム化」できるのか?

AMDはRDNA 4の発表に際して、「4Kゲーミングをメインストリームに届ける」と述べている。しかし、これは本当に実現可能なのか。

現在、4Kゲーミングは高性能なGPUとCPU、そして適切なディスプレイ環境を必要とするため、一部のハイエンドゲーマー向けのものとなっている。RDNA 4ではレイトレーシング性能の向上とAIアップスケーリングが導入されるが、それだけでメインストリーム市場に4Kを普及させるのは難しい。特に、ゲームタイトル側の最適化やシステム全体のボトルネックも考慮する必要がある。

また、過去のAMD製GPUでは、高解像度での安定したパフォーマンスを求めるユーザーからは、Nvidiaの方が優れていると評価されることが多かった。例えば、RTX 4080とRadeon RX 7900 XTXを比較した場合、NvidiaのDLSS 3によるフレーム生成技術が4K環境では非常に有効であった。FSR 4.0がどこまでこれに迫れるかが、RDNA 4の成否を決める重要なポイントとなるだろう。

もう一つの課題は消費電力だ。4Kゲーミングでは高性能なGPUが求められるが、その分、発熱や消費電力も増加する傾向がある。AMDは過去のRDNA 3世代で効率的な設計を追求してきたが、RDNA 4でも同様のアプローチが取られるかはまだ不明だ。もし、消費電力とパフォーマンスのバランスをうまく調整できれば、Nvidia製品との差別化ポイントになる可能性がある。

結局のところ、AMDが本当に「4Kゲーミングをメインストリーム化」できるかどうかは、実際のパフォーマンスと価格次第だ。FSR 4.0がDLSSに匹敵する技術として確立され、適正な価格設定がなされれば、4Kゲーミングの普及に大きく貢献することになるだろう。今後の詳細発表に期待したい。

Source:NotebookCheck