iPhoneを使っているすべてのユーザーにとって、デフォルトで有効になっている設定が深刻なセキュリティリスクを引き起こしている可能性がある。特に、Wi-Fiの自動接続、位置情報サービス、アプリのトラッキングがハッカーの攻撃を受けやすい状態にあると専門家は警告している。
Wi-Fiの自動接続が有効なままだと、悪意のあるネットワークに知らぬ間に接続され、個人情報が盗まれる恐れがある。また、位置情報を無制限に許可していると、行動履歴が追跡され、第三者によるデータ収集や悪用につながるリスクがある。さらに、アプリのトラッキングを許可することで、デバイスIDや個人データが広告業者に流出する可能性もある。
iPhoneのWi-Fi自動接続がもたらすセキュリティリスクとは

iPhoneのWi-Fi自動接続機能は、ユーザーの利便性を向上させるために設計されている。しかし、この設定がデフォルトで有効になっていることにより、セキュリティ上の脆弱性が生じている。特に「イーブルツイン攻撃」と呼ばれる手法によって、悪意のあるネットワークに意図せず接続し、個人情報が盗まれるリスクが高まる。
イーブルツイン攻撃とは、正規のWi-Fiネットワークと同じSSIDを持つ偽のアクセスポイントを作成し、ユーザーを騙して接続させる攻撃手法だ。たとえば、カフェや空港などの公共Wi-Fiを利用しようとした際に、実際のWi-Fiとそっくりな名称のネットワークが表示されると、ユーザーは違いに気付かずに接続してしまう可能性がある。このとき、攻撃者は通信内容を盗み見たり、不正なデータを送り込んだりすることができる。
この問題を防ぐには、Wi-Fiの自動接続を無効にし、信頼できるネットワークのみを手動で選択することが重要だ。また、VPNを利用することで、通信を暗号化し、悪意あるネットワークへの対策を強化できる。特に公共の場では、安易にWi-Fiを利用せず、携帯回線を使うなどの対策が求められる。
位置情報の無制限な共有がもたらす危険性
スマートフォンの位置情報サービスは、マップアプリや天気アプリなどの利便性を向上させる一方で、大量の個人データが収集される要因にもなっている。iPhoneでは、多くのアプリが位置情報へのアクセスを求めるが、これを無制限に許可すると、ユーザーの行動パターンが把握され、第三者によって悪用される危険がある。
2025年1月に404 Mediaが報じた内容によると、Gravy Analyticsという企業が収集していた膨大な位置情報データがハッキングされた。このデータには、スマートフォンを利用する人々の正確な移動履歴が含まれており、サイバー犯罪者による悪用が懸念されている。このようなデータは、個人の行動パターンを分析するために利用されるだけでなく、不正アクセスや詐欺行為の材料としても活用される可能性がある。
位置情報の管理は、プライバシーを守るために欠かせない。特に、不必要なアプリに対して「常に許可」を設定するのは避け、「使用中のみ許可」や「許可しない」に変更することが望ましい。必要のない位置情報履歴は削除し、端末の設定を定期的に見直すことが、情報漏洩のリスクを軽減する鍵となる。
アプリのトラッキングがもたらすデータ流出の実態
近年、多くのアプリがユーザーの行動を分析し、ターゲット広告やデータ販売のためにトラッキングを行っている。iPhoneでは「App Tracking Transparency(ATT)」という仕組みが導入され、ユーザーが明示的にトラッキングを許可しない限り、アプリがデータを収集することはできない。しかし、初期設定を変更していない場合、アプリによっては依然として多くの情報を取得される可能性がある。
アプリのトラッキングが許可されていると、ユーザーIDやデバイスID、メールアドレス、閲覧履歴などのデータが収集され、広告ネットワークやマーケティング企業に提供される。これにより、ターゲット広告が表示されるだけでなく、個人の行動パターンが企業によって詳細に記録されることになる。さらに、データが第三者に売却されるリスクもあり、意図しない形で個人情報が拡散する可能性がある。
トラッキングの制御は、プライバシー保護に直結する。「Appにトラッキングの要求を許可」の設定をオフにすることで、アプリがデータを収集できないように制限できる。個々のアプリごとにトラッキング設定を確認し、不要なアプリの権限を削除することも重要だ。iPhoneを利用する際は、利便性とプライバシーのバランスを考慮しながら、適切な設定を行う必要がある。
Source:Daily Mail