ガジェットの進化が停滞しつつある中、サムスンが開発中とされる三つ折りスマートフォンが注目を集めている。現時点では未確認のリーク情報に過ぎないが、もしこのデバイスが実現すれば、従来の折りたたみスマートフォンの枠を超えた新たな使用体験を提供することになる。

韓国の情報筋によると、「Galaxy G Fold」と呼ばれるこの三つ折りスマートフォンは、2025年後半から2026年初頭にかけて登場する可能性が高い。サムスンは過去数年にわたり、「Flex G」と名付けられた三つ折りディスプレイのプロトタイプを技術見本市で公開しており、それがついに製品化される形となる。

ディスプレイアナリストのロス・ヤング氏によれば、パネルの出荷は2025年第4四半期まで開始されない見込みで、発表時期はGalaxy Z Foldシリーズと近い時期になると予測されている。「Galaxy G Fold」は約9.9インチの大型ディスプレイを採用し、折りたたむことでコンパクトな形状にも変化可能。現在の折りたたみスマートフォンよりもさらに多用途なデバイスとなるだろう。

競合するファーウェイの「Mate XT」と似た構造を持ちながら、サムスン独自のディスプレイ技術がどこまで進化しているのかも気になるポイントだ。特に、折りたたみ部分の耐久性や、重量感がどの程度抑えられるのかがユーザーにとって重要な要素となる。

また、現行の「Galaxy Z」シリーズとどのように差別化されるのかも興味深い。サムスンはすでにGoogleやOnePlusといった競合メーカーと市場を争っており、新たな三つ折りスマートフォンがどのような位置づけで登場するのかが今後の注目点となる。

サムスンはこれまで多くの折りたたみディスプレイの試作品を披露してきたが、それを製品化することに意味がある。単なる技術アピールではなく、実際に市場での成功を狙うのであれば、ユーザーの期待を超える革新が求められるだろう。

「Galaxy G Fold」に採用されるとされるFlex Gディスプレイとは

サムスンが技術見本市で公開してきた「Flex G」ディスプレイは、一般的な折りたたみスマートフォンとは異なる構造を持つ。従来の折りたたみデバイスは二つ折りが主流だったが、「Flex G」は三つ折りであり、左右のディスプレイを内側に折り込むことでコンパクトに収納できる仕組みだ。この設計により、広げた際にはタブレットサイズの大画面が利用できる一方、持ち運び時には通常のスマートフォンサイズに収まる可能性がある。

このディスプレイ技術はすでに技術展示会で公開されており、CESやSID Display Weekなどの場で実機のプロトタイプが披露されてきた。ディスプレイアナリストのロス・ヤング氏によると、サムスンは過去3年間にわたって「Gタイプの多重折りたたみ」技術を開発し続けており、量産化に向けた準備が進められていると考えられる。パネルの量産開始は2025年第4四半期とされており、実際の製品化には一定の時間がかかる可能性がある。

一方で、「Flex G」の最大の課題は耐久性だ。折りたたみ回数の増加により、ヒンジ部分の摩耗やディスプレイの折り目が強くなるリスクがある。これに対し、サムスンは新たな保護フィルムを開発し、従来の折りたたみスマートフォンよりも耐久性を向上させるとされている。ファーウェイの「Mate XT」との比較では、サムスンの技術がどこまで進化しているのかが今後のポイントとなるだろう。

「Galaxy G Fold」はどのような体験をもたらすのか

もし「Galaxy G Fold」が実際に市場に投入されれば、従来のスマートフォンや折りたたみ端末とは異なる新たな体験を提供することになるだろう。最大の特徴は、約9.9インチの広大なディスプレイを持ちながら、折りたたむことで持ち運びやすさを確保できる点だ。これにより、スマートフォンとタブレットの境界がさらに曖昧になり、用途に応じた柔軟な使い分けが可能になる。

また、折りたたみの構造を活かしたマルチタスク性能も期待される。例えば、広げた状態で複数のアプリを同時に表示し、分割画面で作業ができる可能性がある。これにより、ノートPCの代わりとしても利用できる場面が増えるかもしれない。特に、デジタルノートやクリエイティブ用途での活用が考えられ、従来のスマートフォンとは異なる使い方が広がるだろう。

さらに、従来の折りたたみスマートフォンよりも大画面の恩恵を受けるエンタメ体験もポイントだ。動画視聴や電子書籍、ゲームプレイにおいて、これまでにない没入感を提供できる可能性がある。しかし、ディスプレイが大型化することで重量が増し、持ち運びに負担がかかる点は懸念材料となる。サムスンがこの課題をどのように克服するかが、最終的なユーザー体験を大きく左右する要素となる。

「Galaxy Z Fold」との棲み分けはどうなるのか

サムスンはすでに「Galaxy Z Fold」シリーズを展開しているが、「Galaxy G Fold」が登場した場合、どのようにラインナップが整理されるのかは不透明だ。「Z Fold」は現在、GoogleのPixel FoldやOnePlus Openといった他社の折りたたみスマートフォンと競争しているが、新たな「G Fold」が加わることでシリーズ全体の方向性が変わる可能性がある。

一つのシナリオとして考えられるのは、「Z Fold」が従来の折りたたみスマートフォンの進化系として継続され、「G Fold」はより実験的なハイエンドデバイスとして展開されることだ。例えば、「G Fold」はクリエイターやプロフェッショナル向けの特別な機能を搭載し、「Z Fold」は一般ユーザー向けの実用的なモデルとして位置づけられる可能性がある。

また、価格面での差別化も考えられる。「G Fold」が三つ折り構造を採用することで、より高価格帯に設定されるとすれば、Z Foldがスタンダードな折りたたみスマートフォンとしてのポジションを維持する形になるかもしれない。これにより、サムスンは複数の折りたたみスマートフォンを同時に展開し、異なるユーザー層に向けた製品展開を行うことが可能になる。

今後、「Galaxy G Fold」がどのような形で正式発表されるのかは不明だが、これまでのリーク情報を踏まえると、サムスンが折りたたみスマートフォン市場をさらに拡張しようとしているのは明らかだ。これまでの技術を結集し、どこまで実用的なデバイスを実現できるかが、今後の注目点となるだろう。

Source:Gizmodo