Huaweiが開発した折りたたみスマートフォン「Mate XT」が、グローバル市場での発売に向けて新たな動きを見せている。従来の折りたたみスマホとは一線を画すトリプルフォールディングデザインを採用し、スマートフォンとタブレットの境界をさらに曖昧にするデバイスとして注目を集めている。
これまで中国市場で限定販売されていたMate XTだが、UAEの電気通信規制庁(TDRA)認証を取得したことで、国際展開が近づいている可能性が高まった。認証データベースでは詳細な発売日や販売地域は明らかにされていないものの、過去の報道を考慮すると、今後数カ月以内にグローバル市場でのリリースが実現する可能性がある。
すでに中国版の仕様が明らかになっており、6.4インチのメインディスプレイは展開時に10.2インチまで拡大。Kirin 9010チップセットや最大16GBのRAMを搭載し、66Wの急速充電にも対応する。この仕様がグローバル版にも継承されるのか、さらなる情報に注目が集まる。
Mate XTのトリプルフォールディング構造がもたらす新たな体験
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従来の折りたたみスマートフォンは、縦折りか横折りの二択が主流だった。しかし、Huawei Mate XTはトリプルフォールディング構造を採用し、スマートフォンの使い方をさらに広げるデザインとなっている。この構造により、Mate XTは一般的なスマートフォンサイズから、タブレットを超える大画面へと変形可能だ。
Mate XTのディスプレイは、6.4インチのメインスクリーンを展開すると最大10.2インチまで拡大する。途中の7.9インチ状態では、ノートパソコンのような画面サイズとなり、作業用途にも対応しやすい。単なる「折りたためるスマホ」ではなく、用途に応じたサイズへ可変できることが特徴だ。
また、ディスプレイはOLED LTPOパネルを採用し、120Hzのリフレッシュレートや440HzのPWM調光に対応するため、目への負担を軽減しつつ滑らかな映像表示が可能となる。特に、折りたたみスマートフォンの多くは折り目の影響が懸念されるが、Huaweiはこれを最小限に抑える独自のヒンジ技術を開発しているとされる。
この3つ折りデザインがどの程度の耐久性を備えているのかは、長期間の使用を経て明らかになるだろう。しかし、これまでの折りたたみスマホとは異なる形状が、使い方の幅を大きく広げることは間違いない。特に動画視聴や電子書籍、クリエイティブな作業を行う際には、シームレスに画面サイズを変えられるMate XTの特性が大きな利点となるだろう。
Kirin 9010チップセットの実力と期待されるパフォーマンス
Huawei Mate XTにはKirin 9010チップセットが搭載されており、これがデバイスの処理能力を大きく左右する。KirinシリーズはHuaweiが自社開発するチップセットブランドであり、過去のフラッグシップモデルに採用されてきた。最新のKirin 9010は、前世代よりもさらに進化したプロセス技術を採用し、電力効率とパフォーマンスの向上が図られている。
具体的なアーキテクチャについての詳細は公式には明かされていないが、Kirin 9000シリーズの流れを受け継ぎ、AI処理や画像処理の分野で強化されている可能性が高い。また、最大16GBのRAMと1TBのストレージオプションが提供されるため、複数のアプリを同時に開いてもスムーズに動作し、ストレージ容量に関する制限も少ない。
一方で、Kirinチップセットは5G通信への対応に関して制限があると指摘されることがある。Mate XTがグローバル市場で発売される際に、5Gモデルが提供されるのか、4G限定となるのかは重要なポイントだ。現在の市場では5G対応が当たり前となっているため、通信性能の部分がどのように設計されるのかが注目される。
また、ゲームや映像処理など、高負荷な作業時の発熱対策も重要となる。Huaweiは過去のフラッグシップモデルで冷却システムに力を入れてきた経緯があり、Mate XTにも同様の対策が施されている可能性がある。折りたたみスマホは通常のスマホよりも内部スペースに制約があるため、放熱性能がどこまで最適化されているかが、実際の使用感に大きく影響するだろう。
Mate XTのグローバル展開がもたらす影響と市場の反応
Huawei Mate XTが中国市場からグローバル市場へ展開されることは、折りたたみスマートフォン市場において大きな変化をもたらす可能性がある。現在、SamsungのGalaxy Z FoldシリーズやGoogleのPixel Foldが市場をリードしているが、Huaweiが新たな形状のデバイスを投入することで、競争がさらに激化することが予想される。
特に、Huaweiの折りたたみスマホはこれまでも技術的な完成度の高さが評価されてきた。Mate Xシリーズではヒンジ部分の耐久性やディスプレイの品質に力を入れており、今回のMate XTもその流れを継承していると考えられる。UAEのTDRA認証を取得したことで、今後さらに多くの国で認証を受ける可能性があり、販売地域が拡大することも期待される。
しかし、グローバル展開に際しては、OSやアプリ環境がどのように提供されるかも注目すべきポイントとなる。Huaweiは独自のHarmonyOSを推進しているが、Googleのアプリやサービスが利用できないことが一部のユーザーにとって課題となる可能性がある。一方で、Huawei独自のアプリエコシステムが充実してきており、代替手段が増えていることも事実だ。
また、価格設定も市場の反応を左右する重要な要素だ。折りたたみスマートフォンは一般的に高価格帯となるが、Mate XTがどの価格帯で提供されるかによって、競争力が大きく変わる。特に、トリプルフォールディングという特殊なデザインを採用しているため、他の折りたたみスマホと比較してどのような価格戦略を打ち出すのかが注目される。
Huawei Mate XTのグローバル市場での反響は、折りたたみスマホの未来を占う重要な指標となるだろう。新しいデザインが市場に受け入れられるかどうか、そして既存の競合モデルとどのように差別化されるのか、今後の展開に期待が高まる。
Source:Gizmochina