OnePlus 13は、ハードウェアやパフォーマンスにおいて高い評価を受けている。しかし、アメリカ市場での拡大を目指すうえで、一つの大きな問題が立ちはだかっている。それは、キャリアとの提携不足だ。

アメリカでは、スマートフォンの多くがキャリアを通じて販売されており、消費者の選択にキャリアの意向が大きく影響する。過去にOnePlusはT-Mobileとの提携を試みたが、プリインストールアプリの追加やソフトウェア更新の遅延といった問題が発生し、ブランドのアイデンティティと合致しなかった。

AppleやSamsungは、キャリアとの関係を巧みに活用し、市場での地位を確立してきた。OnePlusが今後アメリカ市場で成長するには、キャリアとの協力体制を強化し、ブランド戦略を見直す必要がある。果たして、OnePlusはこの最後の壁を乗り越えられるのか。

過去のキャリア提携がうまくいかなかった理由

OnePlusは過去にT-Mobileと提携し、アメリカ市場でのシェア拡大を試みた。しかし、結果としてこの取り組みは長続きしなかった。その理由の一つに、OnePlusのブランドイメージとキャリア主導の販売スタイルが相容れなかったことが挙げられる。

T-Mobile版のOnePlus端末には、キャリア独自のプリインストールアプリが追加されていた。OnePlusは本来、シンプルでクリーンなソフトウェア体験を提供することを強みとしていたため、この仕様変更はブランドの価値観とズレが生じた。また、ソフトウェアアップデートもT-Mobile経由で提供されるため、最新の機能がすぐに反映されず、アップデートの遅れが発生した。こうした影響により、OnePlus端末の本来の魅力が損なわれた。

さらに、アメリカ市場でキャリアと提携するためには厳格なネットワーク認証をクリアする必要がある。特にVerizonやAT&Tでは、特定の周波数帯への対応が求められるだけでなく、mmWave 5G(超高速通信)への最適化も必須だ。しかし、OnePlus 13はmmWave 5Gに対応していないため、大手キャリアの認証を得ることが難しくなっている。このような技術的なハードルも、OnePlusがキャリア市場での展開を難しくしている要因の一つである。

AppleとSamsungはなぜキャリア販売で成功したのか

OnePlusが苦戦する一方で、AppleやSamsungはキャリア市場での影響力を強めてきた。その成功の鍵は、キャリアとの関係性を巧みに利用しつつ、独自のブランド価値を確立したことにある。

AppleはiPhoneをキャリア専売とすることで、AT&TやO2といった大手キャリアとの関係を強化しつつ、マーケティング戦略を完全にコントロールした。キャリア販売を通じてiPhoneの普及を促進しながらも、端末の価格や仕様に関してApple側が主導権を握ることで、ブランド価値を維持することに成功した。一方、Samsungはキャリア販売に積極的に対応しつつも、マーケティング予算を投じて製品を前面に押し出し、店舗スタッフの推奨リストに自社端末を入れるよう働きかけた。これにより、アメリカのキャリアストアではAppleとSamsungの2社が市場の大半を占めるようになった。

これに対し、OnePlusは同様の戦略を取ることが難しい。AppleやSamsungはキャリアと直接交渉できる立場にあり、大規模な広告キャンペーンを展開する資金力を持っている。しかし、OnePlusはマーケティング投資が限られており、キャリア販売の優先順位を上げるための十分な交渉力を確保できていない。こうした違いが、OnePlusがキャリア市場での存在感を示せない理由の一つとなっている。

OnePlusがアメリカ市場で生き残るための戦略とは

現在の状況を打破するために、OnePlusにはいくつかの戦略が考えられる。その一つが、キャリアとの新たな形での提携を模索することだ。従来のT-Mobileのような大手キャリアだけでなく、MVNO(仮想移動体通信事業者)との協力関係を築くことで、より柔軟な展開が可能になるかもしれない。

また、OnePlusがアメリカ市場でのシェア拡大を目指すなら、キャリア販売に依存しない独自の販売チャネルを強化する必要がある。例えば、GoogleがPixelシリーズで行っているように、自社オンラインストアやAmazonといったeコマースプラットフォームを積極的に活用し、直接販売を拡大する戦略が有効だ。特にOnePlusは、価格競争力のある端末を提供できるため、キャリアを通さずにコストを抑えた販売手法を推進すれば、競争力を高められる可能性がある。

さらに、アメリカ市場でのブランド認知度を向上させるため、より積極的なプロモーションが必要だ。Samsungのように、大規模なマーケティング予算を確保するのは難しいが、YouTubeやSNSを活用したターゲット広告、インフルエンサーとのコラボレーションを強化することで、限られた予算の中でもブランドの存在感を高めることができる。

このように、OnePlusがキャリア販売の壁を克服するためには、新たな提携戦略とマーケティングの工夫が不可欠だ。今後、OnePlusがどのような方向に舵を切るのか、引き続き注目していきたい。

Source:Digital Trends