Appleは2025年の幕開けとともに、過去最高の四半期収益と1株当たり利益(EPS)の記録を更新した。2024年12月28日に締めくくられた同社の会計年度第1四半期では、売上高が1,243億ドルに達し、前年同期比4%増となった。特に、iPhoneの売上が691.38億ドルと全体の約56%を占め、業績を大きく押し上げた。

一方で、MacとiPadの売上は低調で、それぞれ89.87億ドル、80.88億ドルにとどまったが、Appleのサービス部門は263.4億ドルを記録し、四半期ベースで過去最高を更新した。EPSは2.40ドルに達し、前年同期比10%の増加となった。CEOのティム・クックは、ホリデーシーズンの強力な製品ラインアップが業績を後押ししたと述べている。

iPhoneが収益の柱に―価格戦略と市場動向の影響

Appleの最新の決算では、iPhoneが売上全体の約56%を占めるという結果が示された。これは過去の傾向と一致するものの、最新モデルの価格戦略がどのように影響したのかが注目される。特に、iPhone 15 Proシリーズではチタン素材を採用し、高性能なA17 Proチップを搭載することで、ユーザーの買い替え需要を喚起したと考えられる。

また、Appleは為替の影響やインフレを考慮し、特定の地域で価格調整を行ったことも影響した可能性がある。例えば、日本では円安の影響を受け、上位モデルの価格が引き上げられたが、それでも販売は好調を維持した。この背景には、Appleのブランド力に加え、カメラ性能やバッテリー効率の向上といった実用面での進化が寄与したとみられる。

一方で、新興市場における販売動向にも変化が見られる。インド市場では、Appleが直営店を開設し、ブランドの浸透を図る動きが加速している。これにより、今後の売上構成比に影響が出る可能性も考えられる。iPhoneが引き続きAppleの成長を牽引することは間違いないが、価格戦略や地域別の市場動向がどのように作用するのかは、今後の決算でも注目すべきポイントとなるだろう。

MacとiPadの低迷―新モデルの投入が鍵となるか

Appleの決算で明らかになったのは、MacとiPadの売上が全体の約14%にとどまったことだ。特にiPadは、前年同期と比べても大きな伸びを見せることができなかった。これには、アップグレードサイクルの長期化や、新型モデルの投入タイミングが影響していると考えられる。

2024年のホリデーシーズンには、AppleがiPadの新モデルを発表しなかったことが需要減少につながった可能性がある。加えて、M3チップを搭載したMacのラインアップは登場したものの、MacBook Airシリーズの刷新がまだ行われていないことも影響していると考えられる。ユーザーの多くは、新プロセッサの性能向上を期待しているものの、現行モデルとの差がそこまで大きくないと判断した結果、買い控えが発生した可能性もある。

ただし、2025年にはAppleが新しいiPad ProやMacBook Airの発表を予定しているとの報道もあり、これが業績回復の鍵となるかもしれない。特に、OLEDディスプレイを採用した新型iPad Proが登場すれば、ディスプレイ品質の大幅な向上が期待され、クリエイター層などの関心を引く可能性が高い。Appleがこれらの市場をどのように再活性化するのか、今後の動向に注目が集まる。

サービス部門が急成長―Appleの新たな収益源としての可能性

今回の決算で特に注目されたのは、Appleのサービス部門が四半期ベースで過去最高の売上を記録したことだ。Apple TV+、Music、Podcast、Fitness+といったサブスクリプションサービスが堅調に推移し、総売上の約21%を占めるまでに成長している。これは、Appleがハードウェアだけでなく、エコシステム全体でユーザーを囲い込む戦略が成功していることを示唆している。

特にApple TV+は、オリジナルコンテンツの拡充が功を奏し、映画やドラマのヒット作が続いたことが加入者数の増加につながったとみられる。また、Apple Musicも高音質ストリーミング機能の強化や独占コンテンツの提供を進めており、競争が激しい市場で独自のポジションを確立しつつある。

加えて、Appleのサービス部門の成長は、ハードウェアとの相乗効果によるものとも考えられる。iPhoneやiPadの普及に伴い、Apple Oneなどのバンドルプランを利用するユーザーが増加しているため、今後も安定した収益源となる可能性が高い。Appleがこの分野をどのように拡大し、新たなサービスを展開していくのかが、今後の成長を占う鍵となるだろう。

Source:NotebookCheck