Appleは、iCloud.comのウェブインターフェースに大規模なアップデートを実施した。
目玉となるのは、ダークモードの追加だ。
これにより、ユーザーのデバイス設定に応じたライトモードやダークモードの色調が適用される。

さらに、iCloud.comの背景色をカスタマイズできる機能も導入されたが、
これらの機能はiOSやmacOSでは既に長らく利用可能だったものだ。

iCloud.comに追加された新機能の概要

AppleはiCloud.comのウェブインターフェースに大規模な機能拡張を加え、ユーザー体験の改善を図っている。今回のアップデートでは、ダークモードの導入やインターフェースのカスタマイズ機能が追加され、ユーザーが自分の好みに応じて背景色を変更できるようになった。また、Notesアプリにおいてピン留め機能が追加され、重要なメモを素早く参照できるようになった。さらに、iCloud Driveでは共有ビューがサポートされ、ファイル共有がより効率的になっている。

これらの新機能は、長らくiOSやmacOSでは利用可能だったものであり、ウェブ版iCloudにおいては大幅な遅れを取っていた。今回のアップデートにより、iCloud.comは他のAppleプラットフォームに少し近づいたといえるが、まだ完全な統合には至っていない。特に、メッセージアプリなど、いくつかの主要な機能は依然としてウェブ版では提供されていない。Appleはこの遅れを取り戻すために、サービス面での改善を急いでいる。

ダークモードの導入とその背景

今回のアップデートの目玉となるのは、ダークモードの追加である。AppleはすでにiOSやmacOSにダークモードを導入しており、ユーザーの間で好評を得ていたが、ウェブ版iCloudへの対応は遅れていた。iOSではすでにiOS 13の時点でダークモードが導入されており、今回のiCloud.comへの追加はかなり遅れた形となる。

このダークモードは、ユーザーがすでに設定しているデバイスの表示モードに自動的に同期する仕様であり、ライトモードかダークモードかをユーザーが再設定する必要がないのが特徴だ。これにより、夜間や暗い環境での作業がより快適になると期待されている。Appleは、ハードウェアの売上が鈍化する中、サービスの強化を進めており、今回のアップデートもその一環として位置づけられる。

iCloudウェブ版の遅れとiOS・macOSとの差異

iCloud.comのウェブインターフェースは、長らくiOSやmacOSのネイティブアプリケーションに比べ、機能面で大きく劣ってきた。今回のアップデートによって、ピン留め機能やダークモード、背景カスタマイズ機能がようやく追加されたが、これらはすでに他のAppleプラットフォームでは一般的に利用されていた機能である。

特に、ダークモードがウェブ版iCloudに追加されるまでの遅れは顕著であり、iOSでは2019年にリリースされたiOS 13で初めて導入された。AppleがこれまでiCloud.comを「後回し」にしてきた理由として、メインターゲットがiPhoneやMacのユーザーであること、そしてウェブ版を利用する場面が限られていることが考えられる。しかし、今回のアップデートでその差は少し縮まったものの、依然として機能の格差は残っている。

サービス拡充に向けたAppleの戦略

Appleは、ハードウェア販売が成熟期を迎える中、サービス事業の拡充に注力している。iCloudはその戦略の一環として、クラウドストレージやメール、写真のバックアップなど多くの機能を提供している。しかし、ウェブ版iCloudは、これまでその強化が遅れていた。今回のアップデートは、こうしたサービス事業の強化を目指すAppleの姿勢を示すものである。

とはいえ、iCloud.comにはまだ大きな課題が残っている。たとえば、Appleのメッセージアプリはウェブ版で利用できない。これは、AppleがiOSデバイスの社会的ロックインを維持するためであると考えられており、ウェブ版でのサービス拡大には限界があることを示している。今後のAppleの戦略としては、他プラットフォームへのサービス提供拡大が期待される一方で、競合他社との差別化をどのように維持していくかが注目される。