サムスンの最新フラッグシップスマートフォン「Galaxy S25 Ultra」が発表された。新たな超広角カメラの追加や本体のサイズ・重量の調整が施され、より洗練された仕上がりとなっている。しかし、競争が激化するスマートフォン市場において、OnePlus 13のような革新的な技術の採用には至らなかった。

特に、バッテリー技術と充電性能の面では、OnePlus 13の「シリコンカーボン電池」が圧倒的に優れている。この技術を取り入れていれば、Galaxy S25 Ultraの実用性はさらに向上していたかもしれない。

サムスンのバッテリー技術はなぜ進化が鈍いのか?

OnePlus 13のシリコンカーボン電池が大きな進化を遂げた一方で、サムスンは依然としてリチウムイオン電池を採用している。この差は単なる技術力の問題ではなく、サムスン独自の開発方針や過去の経験が関係していると考えられる。

まず、サムスンはかつてGalaxy Note 7のバッテリー発火問題により、多くの製品をリコールする事態に陥った。この事件以降、サムスンはバッテリー技術の採用に慎重な姿勢を取り続けている。新しいバッテリー技術を導入する際には、長期間の耐久テストを経ることが必須となっており、それがリチウムイオン電池の継続使用につながっている可能性がある。

また、サムスンは自社のSDI(Samsung SDI)を通じてバッテリーを開発・供給している点も影響している。他メーカーと異なり、外部サプライヤーから最先端のバッテリーを採用するのではなく、自社の技術で慎重に進化させる方針を貫いている。そのため、OnePlus 13のように急速に新技術を取り入れることが難しくなっているのかもしれない。

一方で、バッテリー技術の停滞はユーザー体験に直結する問題だ。スマートフォンの進化において、画面の大型化や高リフレッシュレートの導入が進んでいるが、それに見合うバッテリー性能の向上が追いついていない。Galaxy S25 Ultraは、処理性能やカメラ機能の向上が目立つが、バッテリー技術に関しては過去のモデルと大きな違いはない。

今後、競合他社がシリコンカーボン電池をさらに進化させていく中で、サムスンがどのような対応を取るのかが注目される。


急速充電の進化がスマートフォン体験を変える理由

OnePlus 13が採用した80W~100Wの超高速充電は、わずか39分で6,000mAhのバッテリーをフル充電できる。一方、Galaxy S25 Ultraは依然として最大45Wの充電に留まっており、フル充電には約67分を要する。この違いは日常の使い勝手に大きな影響を与える。

特に、急速充電の重要性はスマートフォンの利用時間が増えた現代において顕著になっている。動画視聴やゲームプレイ、リモートワークでの利用が一般的になった今、バッテリーが切れた際にすぐに充電できるかどうかが、ユーザーのストレスを大きく左右する。

OnePlus 13のように30分以内で充電が完了すれば、朝の短い時間や移動中に素早くスマートフォンをフル充電できる。一方、Galaxy S25 Ultraの充電時間では、急ぎの場面での実用性が低いと言わざるを得ない。

サムスンが急速充電技術の進化を躊躇している背景には、安全性の問題があると考えられる。高出力の充電は発熱やバッテリー寿命の低下を引き起こす可能性があるため、企業としては安定した技術を採用することを優先しているのかもしれない。

しかし、OnePlusやXiaomi、Honorといったメーカーは、高速充電技術を独自に最適化し、安全性を確保しながら進化させている。これらのメーカーが80W以上の充電を実用化していることを考えると、サムスンも技術的に不可能とは言えないはずだ。

また、サムスンのミドルレンジモデル「Galaxy A56」が45W充電を搭載すると噂されている点も見逃せない。もしこれが事実なら、フラッグシップモデルとミドルレンジモデルの充電性能の差がなくなり、Galaxy S25 Ultraの優位性が薄れることになる。今後、サムスンがどこまで急速充電技術を向上させるのかが、次世代モデルの大きな焦点となるだろう。


ワイヤレス充電の進化とQi2時代の課題

ワイヤレス充電は、かつてサムスンが積極的に推進してきた技術だ。Galaxy S6シリーズで初めてワイヤレス充電を採用し、他社に先駆けて対応機種を拡大してきた。しかし、近年ではAppleのMagSafe技術が市場を席巻し、サムスンのワイヤレス充電技術は相対的に影が薄くなりつつある。

Galaxy S25 Ultraは、新たにQi2.1に対応するとされているが、Qi2対応の磁気充電器が必要になるため、標準のQi充電器では最大15Wの速度に留まる。これは、OnePlus 13のワイヤレス充電速度と比較すると見劣りする結果となっている。

OnePlus 13は、専用ケースを装着することで50Wのワイヤレス充電に対応しており、Galaxy S25 Ultraの有線充電よりも速い。この差は、ワイヤレス充電を主に利用するユーザーにとって、選択の決め手となるかもしれない。

また、サムスンは過去に「リバースワイヤレス充電」という機能を導入したが、その進化は鈍い。現在のGalaxyシリーズは、他のデバイスをワイヤレスで充電できるものの、出力は最大4.5Wと低く、実用性が限られている。一方で、他社はリバースワイヤレス充電の高速化を進めており、スマートウォッチやイヤホンを素早く充電できる仕組みを整えつつある。

Qi2の時代に入り、ワイヤレス充電の技術革新が求められている。OnePlusやAppleが独自の技術を進化させる中、サムスンが今後どのようなワイヤレス充電戦略を取るのかが注目される。もし、次期Galaxyモデルがワイヤレス充電の進化に本格的に取り組めば、再び業界をリードする存在になる可能性は十分にあるだろう。

Source:Digital Trends