2024年6月、大手テクノロジー企業が結集して設立したUltra Accelerator Link(UALink)コンソーシアムは、Nvidiaの独自技術NVLinkに対抗する新たな業界標準を構築することを目指している。この動きに、Appleが新たに加わったことが確認された。

UALinkはデータセンター内のAIアクセラレーター間で高速かつ低遅延の通信を可能にし、AIワークロードの効率化を大幅に向上させる可能性を秘めている。Appleの参加は、自社のAIチップ開発プロジェクト「プロジェクトACDC」へのUALink技術の採用を示唆するもので、TSMCやBroadcomとの連携を通じてデータセンター向けAI能力を強化する意図が伺える。

2025年第1四半期には、最大200Gbpsの接続を実現するUALink 1.0仕様が登場予定であり、AI業界の革新を加速する重要な役割を担うと見られている。

AppleのUALink参入が意味する技術的革新とその狙い

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AppleがUALinkコンソーシアムに加わったことで、業界全体に影響を与える可能性が高まっている。UALinkは、データセンター内のAIアクセラレーター同士を結ぶ新たな通信標準として、レーンあたり最大200Gbpsという高速接続を可能にする。

この技術は、Nvidiaが提供するNVLinkと同様に、低遅延かつ高効率な通信を目指しているが、UALinkは複数の企業が共同開発を行うことで、オープンかつ広範な利用が期待されている点が異なる。AppleがUALink技術を採用する背景には、同社が自社のAIチップ開発プロジェクト「プロジェクトACDC」を推進していることがある。

これにより、Appleはデータセンター市場においてNvidiaの優位性を崩し、独自の影響力を築くことを目指している可能性が高い。一方で、これまでNVLinkが事実上の業界標準として位置づけられてきたことを考えると、UALinkの普及にはまだ課題が残る。こうした動きがデータセンター市場全体の競争をどのように変化させるのか、注視する必要がある。

プロジェクトACDCがもたらすAI分野の新たな可能性

プロジェクトACDCは、Appleが自社のAI技術をデータセンター向けに最適化し、次世代のAIワークロードに対応するための取り組みとされている。このプロジェクトでは、TSMCやBroadcomといったパートナー企業との協力を通じて、高度なAI処理能力を持つチップの開発が進められている。

特に、UALink技術の統合により、Appleはデータセンター内でのAIアクセラレーターの効率的な運用を目指しているとみられる。このプロジェクトが成功すれば、Appleは単なるハードウェア開発企業を超えて、AIインフラストラクチャの主要プレーヤーとしての地位を確立する可能性がある。

ただし、これが実現するためには、技術的な課題や市場競争の克服が必要であり、特に既存のプレーヤーであるNvidiaとの競争は避けられない。Appleがどのようにこれらの障壁を乗り越え、新たな可能性を創出するのかが、今後の注目ポイントである。

AI業界におけるUALink普及の課題と展望

2025年第1四半期に発表予定のUALink 1.0仕様は、最大1,024台のアクセラレーターを接続可能な性能を備え、次世代のAIワークロードに対応するための基盤となる。しかし、UALinkの普及には依然として多くの課題が存在する。

特に、NvidiaのNVLinkが既に多くのデータセンターで採用されている現状を踏まえると、UALinkが市場で競争力を発揮するためには、技術的優位性やコストパフォーマンスを明確に示す必要がある。Apple、Alibaba、Synopsysなどの企業が新たにUALinkコンソーシアムに参加したことで、業界全体での支持が広がりつつあるが、これが実際の採用にどこまでつながるかは未知数である。

Kurtis Bowman氏が言及した「次世代インターコネクトの業界標準」を実現するには、UALinkが現行の技術や市場ニーズにどれだけ迅速に適応できるかが鍵となるだろう。

Source:TechRadar