サムスン、次世代バッテリー搭載のGalaxy Watch 9を2026年に投入か

サムスンが次世代スマートウォッチGalaxy Watch 9に、画期的なオールソリッドステートバッテリーを採用する可能性が浮上している。この技術は従来のリチウムイオンバッテリーを超える高エネルギー密度を実現し、ウェアラブル市場での競争力を飛躍的に高めると期待される。

2025年に開催されたCESでサムスン電機のCEO、チャン・ドクヒョン氏がこの技術の試作品を年末までに公開する計画を明らかにした。量産は2026年が予定されており、実現すれば複数日間の稼働を可能にし、Apple Watchなど主要競合を上回る性能を提供する可能性がある。

サムスン電機が発表したオールソリッドステートバッテリーは、従来型のリチウムイオンバッテリーを大幅に凌駕する技術として注目されている。このバッテリーは液体ではなく固体電解質を使用し、高いエネルギー密度と安全性を実現する仕組みである。特に発火リスクが大幅に抑えられるため、ウェアラブルデバイス向けに最適とされている。

CESの場で、チャン・ドクヒョンCEOは年末までに試作品を公開すると述べており、同社の研究開発が最終段階にあることを示唆した。サンプルリリースのタイミングは、消費者市場への本格投入に向けた重要なステップであり、業界全体に与える影響も大きいとみられる。特に、複数の競合メーカーが類似技術の開発を進める中、サムスンが先行して市場シェアを獲得するかどうかが注目されている。

こうした状況を踏まえれば、オールソリッドステートバッテリーがGalaxy Watch 9に搭載されれば、従来型モデルで課題となっていたバッテリー駆動時間の問題を大幅に改善できる可能性がある。しかし、量産に向けた製造コストや生産効率の課題が残されており、技術の商業化には今後も一定の時間を要するだろう。

オールソリッドステートバッテリーの採用が実現すれば、ウェアラブル市場は大きな転換期を迎える。サムスンはGalaxy Watchシリーズの中でも、特に稼働時間の延長を重視するモデルにおいて、競争優位を築くことが期待されている。Apple Watchや他社製品が2～3日間の稼働を維持している現状に対し、新技術の導入は「真の複数日使用」を可能にする。

これは、フル機能のアプリストアを搭載しながら長時間の利用を保証できるという点で、ユーザー体験を根本から変革する可能性がある。例えば、従来は長期旅行やアウトドア用途で追加のバッテリー充電が必要だったが、新しいGalaxy Watchはこうした不便を解消できると期待される。

Wareableの報告によれば、サムスンはApple Watch Ultraシリーズの動向を見据えつつ、より軽量で高機能なスマートウォッチを目指している。特にヘルストラッキングやフィットネス機能の強化と合わせてバッテリー駆動時間の延長が実現されれば、ウェアラブルデバイスの利用範囲がさらに拡大すると考えられる。

オールソリッドステートバッテリーはスマートウォッチ市場だけでなく、他の分野への応用も期待されている。サムスン電機が目指す技術革新は、スマートフォンや電気自動車といった高消費電力デバイスへの展開も視野に入れている。これはウェアラブルデバイスの持続時間の制約を超える新たな市場拡大を可能にする要素となるだろう。

さらに、従来のリチウムイオンバッテリーと比較して環境負荷が低い点も、次世代バッテリー技術が注目される要因の一つである。特に、リサイクル性や安全性の向上が見込まれるため、環境意識の高い層にとって魅力的な選択肢となる可能性がある。

一方で、同技術が普及するまでには大量生産体制の構築や市場価格の調整といった課題が避けられない。こうした技術革新の進展が今後数年間で加速するかどうかは、サムスンの技術的成果と業界全体の動向次第である。サムスンが「夢のバッテリー」を現実のものとする日は、次世代デバイス市場を大きく変える転換点となるかもしれない。